失いたくないもの
ルシアン達の前には
全身から赤黒い魔力が噴きあがり
人間とは思えない威圧感を放つ
ベルが立ちはだかる。
ゼノ
「ルシアン。
ベルの実力をみたい。
援護を頼めるか。」
ルシアン
「はい。任せてください。」
ゼノ
「よし。俺が合図したら魔法防御壁を
俺にかけてくれ」
ルシアン
「はい。わかりました」
ゼノはベルに向かい走り始める
右手で魔法を発動体制に入る、右手でルシアンに合図を送る
ルシアンが魔法防御壁を発動
ベルの拳が魔法防御壁に触れる。
ガシャン!?
魔法防御壁が砕け散る。
ゼノ・ルシアン
「!?」
ゼノはかまわず
魔力を圧縮して雷の槍を形成しベルへ解き放った。
ベルが拳で薙ぎ払い。
そのまま拳を地面にたたきつける。
地面が歪み、強大な衝撃波が二人を襲う。
ドン!
ルシアンたちは壁にたたきつけられる。
ゼノはすぐに立ちあがってルシアンのもとへ
ルシアン
「ゼノさん。
人間の範疇を超えてます。
正面から突破は難しいです。」
ゼノ
「そうだな。
何か策はあるか?」
ルシアン
「分析の時間を稼いでください。
必ず反撃の糸口を見つけます。」
ゼノ
「わかった。
時間を稼ぐ。」
ゼノは身体強化と防御壁を発動すると
再びベルの前へ
ベル
「どうだ。この力は凄いだろ。」
ゼノは笑う。
「確かに凄いが俺のスピードについてこれるかな」
ゼノの足元から魔法陣が出現
魔力を脚部へ集中させて瞬間的に加速し
ベルへ拳を入れる。
ドン。バシ。ドン。
ゼノは連打する。
ゼノ
「おかしい。当たっているのに
手ごたえが全くない。
むしろ鉄の壁を殴ってるみたいだ」
ベル
「どうした終わりか?」
ベルの右ストレートがゼノの腹に決まる。
バリン、防御壁が割れる。
ゼノは後方へ距離を取る。
ベル
「今度はこっちから行くぜ」
後方ではルシアンが
魔力視の魔法を発動し、
ベルの周りの魔力の流れを解析
ルシアン
「やはり魔力の流れがおかしい。
魔法石から魔力が供給されているはずだ
それさえわかれば」
そのとき
ベルの右手に巨大な魔力の剣が形成
されゼノへ振り落ろされる。
ゼノは咄嗟に右へ回転してよける。
しかし腕に無数の切り傷が出来る
ゼノ
「避けたのにこの威力か」
ルシアンの目が魔力の流れを読む
ルシアンが叫ぶ
「ゼノさん。
ベルの右肩を狙ってください。
そこに魔法石があります。」
ゼノ
「わかったやってみる
ルシアンはあいつの魔装解除を頼む」
ルシアンがうなずく。
ゼノは足元に魔法陣を展開
ダン!!
ゼノが勢いよく空中に飛び
右手に雷をまとわせる。
ルシアンが魔装解除魔法展開
ベルの右肩集中させ魔装を一部破壊
ルシアン
「今です。!」
ゼノが勢いよくベルの右肩に向けて
拳を叩き込む。
ピキ、ピキ
魔法石にひびが入るが破壊までには及ばない。
ベルがすかさず
ゼノに向けて拳を打ち込む。
ドン!
ゼノが吹き飛び床にたたきつけられる。
ゼノは咄嗟に受け身をとったが衝撃が体を襲う。
「く。」
ルシアン
「ゼノさん!!」
ベル
「そろそろ。終わりにしようじゃないか」
ベルの周りの赤黒かった魔力が黒く変わり
全身を覆う。
ベル
「おおおお」
ゼノがルシアンの元に走る
ゼノ
「ルシアン、最大出力で
魔法防御壁を展開及び解析結界を発動してくれ」
ルシアン
「わかりました。」
ゼノ・ルシアン魔法発動
二層の魔法防御壁と結界が二人を包む
ベルが拳を振り上げ
2人に近づき
連打攻撃が放たれる
ルシアンはその間も解析を進める。
ルシアン
「供給量がどんどん増えている
ただその分身体への負荷が大きくなっているはずだ」
ピキ、ピキ、
防御壁に亀裂が徐々に入る。
あと少しで破壊されると思った時だった
突然、ベルが苦しみだし
後方へ下がる。
ゼノ
「どうしたんだ?」
ルシアンが魔力視発動
「あ。わかりました。
魔法石からの魔力供給が体の限界を超えたんです。」
「今がチャンスです。
ゼノさん。全力でもう一度右肩を狙ってください。」
ゼノ
「わかった。」
ルシアンがゼノの背中に手を当てる。
温かい魔力が流れ込む。
ゼノ
「魔力共有か。助かる。」
ゼノは魔力を脚部へ集中させて瞬間的に加速し
瞬時にベルに迫り、右肩に雷刃を放つ。
パリン。魔法石が砕け散る。
ベル
「ぐは」
ベルの体に周りの黒い魔力の霧は拡散され
ベルが倒れこむ。
ゼノ
「やったか」
それを見たヴィクターが逃げ出す。
ルシアン
「ゼノさん。ヴィクターが逃げます。」
ゼノ
「そうはいくか。」
ゼノが雷の槍を投げる。
グサ!
ヴィクターの足にささり
倒れこむ。
ルシアンがヴィクターに近づき
「カイルはどこだ」
ヴィクター
「ふん。」
ルシアンはヴィクターに向けて
火魔法を放つと
ヴィクターの顔の横に当たる
「く。」
ルシアン
「次は当てるぞ。。。」
ヴィクター
「わかった。言う。
C-10倉庫だ。」
ルシアンはそれを聞くと走り出す。
ゼノ
「待て。ルシアン。
一人で行くな。」
ルシアンは立ち止まらず倉庫から出て
カイルのところに向かう。
ーーゼノとルシアンが到着する20分前
カイル
「どうやらルシアン達はまだのようだな。」
カイルはあたりを見渡す。
倉庫作業員に混ざり
1人の男が目に入った。
カイル
「あいつ。。。」
男が走りだす。
カイルは追いかける。
男がC-10倉庫に入るのを見たカイルも中に入る。
倉庫の中央に男が立っていた。
カイルが男の前まで進む。
男
「やっと来たか。
カイル・ローレス」
カイルは怪訝な顔をする
「・・・。お前ゼノさんを襲った賊か」
男
「そうだ。
俺はノア・シェパードだ。」
カイル
「組織の奴が名前を名乗っていいのかよ」
ノア
「問題ない。お前はここで消えてもらう」
カイル
「・・・。やれるならやってみろよ」
カイルは身体強化を発動
ノアに殴るかかる。
ノアは幻霧結界を発動。
途端に周りが霧に包まれる。
カイルはあたりを警戒する
霧の四方から音波(波動)がカイルめがけて
せまる。
カイルは腰を落とし腕で防御する
ドン。ドン。ドン。
カイル
「くそ。こういう時
ルシアンがいたら解析してくれるのにな。
・・・あれを試してみるか」
カイルは魔法陣発動(周囲に結界は張られる)
その間も音波攻撃は続く。
カイルは防御しながら意識を集中させる
カイル
「そこだ。」
カイルの右手から魔法「レゾナンス・リフレクト」が展開
音波が反射される。
ドン。
霧がはれ、ノアが膝をついているのが見えた。
カイル
「やったぜ。ルシアンに教えてもらったのが
こんなに早く役立つとはな。」
ーールシアンとの魔法特訓中
ルシアン
「俺ばっかり、教わったんじゃ。悪い
何か習得したい魔法はないか。」
カイル
「うーん。そうだな。
ルシアンから教わるならやっぱり
解析魔法かな。」
ルシアンは少し考えてから
「解析障壁はどうだ。
攻撃を受けるたびに
障壁が敵の魔法式を解析する魔法だ」
カイル
「いいんじゃないか。
それなら前衛で前に出る俺でも
有効そうだしな」
ーー倉庫
カイル
「どうした。もう終わりか。
一緒に署まで来てもらうぞ。」
ノア
「・・・」
ノアがポケットから魔法石を取り出し
何かつぶやく。
ノアは青白い光に包まれる。
カイルは咄嗟に距離を取る。
ノアが分裂し、カイルを取り囲む。
カイル
「幻影か。どれか一体が本物だろう。」
カイルは分裂したノアの一体に向けて拳をはなつ
バン!!
拳が幻影を破壊し瞬間に爆発が起きる
カイル
「ち。やっかいだな。」
カイルは右手で魔法陣を描き
風魔法を発動し幻影を攻撃。
魔法は通り抜ける。
カイル
「効くのは物理攻撃のみかよ。
持久戦だな。
でもやるっきゃないよな」
カイルは次々と幻影を拳で攻撃する
バン、バン、バン
カイル
「はあ。はあ。」
ノア
「そろそろ。諦めたらどうだ」
カイル
「誰が」
今度は幻影から魔力刃がカイルを襲う。
カイルは魔法防御壁発動するが
数が多く防ぎきれない。
カイルが膝をつく。
カイルは力を振り絞り
幻影に拳を入れるが本体ではなかった。
カイルは爆発で吹き飛ぶ。
ノア
「終わりだ」
ノアが右手で魔法陣発動
黒い杭がカイルめがけて放たれる。
杭がカイルの胸に刺さり、黒い雷光が走る。
カイル
「うう。。。」
ドサ、カイルが倒れる。
バーン。勢いよく倉庫のドアが開き
ルシアンが入ってくる。
ルシアン
「カイル!!」
ノア
「一足遅かったかぁ」
ルシアンは驚愕の表情を浮かべる。
ノア
「安心しろ。お前もすぐ会えるさ」
ノアがルシアンに向けて杭を放つ
ドン。
ルシアンの目の前で防壁魔法が展開され杭が刺さっている。
後ろからゼノが現れる。
ゼノ
「ルシアン。しっかりしろ。」
ルシアン
「ゼノさん。カイルが!!」
ゼノ
「くそ、・・・」
ルシアン
「・・・」
ルシアンはポケットに入っている懐中時計を握る。
脳裏にカイルとの思い出が浮かぶ。
ルシアン
「お前のパンケーキはまだ食べてないぞ・・・」
頬に涙が伝う。
懐中時計が赤く光り、ルシアンを包む。
ゼノ
「ルシアン!!!」
ルシアンは左手に魔導書をもち
右手で魔法式を発動(古代魔法)
その瞬間
大きな火の鳥が飛び出し
ノアを飲み込む。
ノア
「そんな。馬鹿な。
ああああ・・・」
ドサ。
ゼノ
「ルシアン。お前その魔法。。。」
ルシアンの纏う赤い炎のような魔力は
激しさを増す。
ルシアン
「ううう。」
ルシアンがふらつきしゃがみ込む。
ゼノ
「まずい。魔法暴走か」
ゼノが近づこうとするが激しい魔力の前に近づけない。
ルシアンの意識は暗闇へ沈みかける。
バシ!!!
誰かが勢いよくルシアンの顔を両手で挟む。
ルシアンが目の前の人物を見る。
「何やってんだよ。
ルシアン。
パンケーキ作ってやらないぞ。」
ルシアン
「・・・うう?カイル?」
カイル
「そうだよ。
冷静なお前が何らしくないことしてんだよ。」
ルシアン
「どうして?
胸を貫かれたはずじゃ。」
カイルが上着の内ポケットから手帳を取り出す。
手帳には穴が開いている。
カイル
「お前がくれた。手帳が守ってくれたな。」
ルシアンの張り詰めていた表情が崩れた。
安堵と怒りが入り混じり、涙が止まらない。
そしてカイルを殴りはじめる。
カイル
「ルシアン。やめろ。」
ゼノが二人のそばに歩いてくる。
カイル
「ゼノさん。
ルシアンを止めてください」
ゼノは安心したように笑った。
ゼノ
「お前が悪い。
ルシアン。
思いっきりやれ」
ルシアン
「心配したんだぞ。
カイルのばか。」




