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再戦の狼煙

新聞社の件から1週間後

ルシアンは肩の傷はカイルの手当のおかげかほぼ完治していた。


ルシアンの傷が治るまでカイルとルシアンは

魔法式を安定させる特訓をしていた。


ルシアンは傷を負った右肩に負担がかからないように

注意しながらだったが意外にもカイルは教えるのが上手く

完成にはまだかかるが思い描く魔法式が描けるようになった。

挿絵(By みてみん)


ルシアン

 「カイルは教えるのが上手いんだな。

  意外だ。」

カイル

 「意外ってんなんだよ。

  俺は、ばあちゃんの手伝いで子供たちに魔法を教えてる

  からそのせいかもな。」

ルシアン

 「おばあさんの手伝い?」

カイル

 「ああ。俺のばあちゃんは魔法教室をしてるんだ。

  けっこう有名な先生なんだぜ。」

ルシアン

 「そうなのか。

  良い先生がいるからカイルは魔法が上手いんだな。

  それにカイルの魔法式は癖がなく綺麗なのもうなずける。」

カイルが照れる。

 「どうした急に褒めて。

  何も出ないぞ。」

ルシアンは笑いながら

 「はは、残念。

  パンケーキを作ってもらおうと思ったのにな。」

そんな会話を昨日したことを思い出しながら

朝の支度をしていると

ゼノがルシアンを呼びに来た。

ゼノ

 「ルシアン。朝食できたぞ。」

ルシアン

 「はい。今行きます。」

ルシアンが下りていくと

ダイニングテーブルには

美味しそうな

卵やベーコンが乗っている

パンケーキ(クランペット)が用意されていた。

ルシアン

 「あ。パンケーキ。」

ゼノ

 「どうした。クランペット嫌だったか?」

ルシアン

 「いえ、大好きです。

  いただきます。」

 「確か今日は貿易会社社長の

  ヴィクター・ローウェルに会いに行くんですよね。」

ゼノ

 「ああ。そうだ。

  アルフレッドの地図に印があったバリス港に行く。

  今日、ヴィクターはそこで商談があるようだ。」

ルシアン

 「カイルとはバリス港で落ち合うんでしたよね。」

ゼノ

 「そうだ。バリス港には車で行こう。

  俺が運転する。」

ルシアン

 「わかりました。」

ルシアンはクランペットを食べながら

ヴィクターについて考えていた。


ヴィクター・ローウェル

年齢:39歳

職業:貿易会社:社長

 

ヴィクターは主に鉱石や魔道具関係の貿易を扱う

会社の社長をしている。

鉱石を安価で仕入れ売りさばいていて

魔道具に関しては密輸も扱っていると噂される人物だ。

兄さんが最後に追っていた事件の

被害者:グレゴリー・ヘイルは

その会社の役員をしていた。


朝食後、ゼノが車を取りに行っている間に

ルシアンは自室に戻り、身支度をしていた。

ふいに机の上に置かれている懐中時計が目に入った。

兄さんの遺品の一つだ。

懐中時計を手に取る。

よく手入れがされている。

ルシアンは懐中時計を握り締め

チェーンに繋ぎベストのポケットに入れる。


ーーバリス港

船の汽笛

「ボーーーッ」

何隻もの貨物船が停泊している。

ゼノは港の空きスペースに車を停車する。

助手席のルシアンを見て

ゼノ

 「カイルとは商談がある倉庫付近で待ち合わせてる。

  まずはそこに向かおう。」

ルシアン

 「はい。」

 

港には大きな倉庫が立ち並んでいる。

その倉庫群の最奥に二人は向かう。

この時間は荷役が終わり、人影はほとんどない。

ーーB-23倉庫

ルシアン

 「ここのようですね。カイルはまだのよう・・・」

ゼノがルシアンの口を手でふさぐ。

ルシアン

 「???」

ゼノが目で倉庫の入り口を見る

ヴィクターと複数人が中に入っていく。

ゼノが手を放す。

ルシアン

 「どうしますか。カイルを待ちますか?」

ゼノは少し悩んだあと

 「・・・。

  いや。中に入ろう。

  何か嫌な予感がする。」

ルシアンはうなづく。


ーー倉庫の中

ゼノ達は積み荷の影に隠れ

ヴィクター達の様子を窺う。

 「ヴィクターさん。

  今回も良い魔法石をありがとうございます。」

ヴィクター

 「いや。こちらこそ。

  良い取引をさせていただきました。」

 「そう言えば。例の魔法石はどうですか?

  確か量産のめどが立ったらしいじゃないですか。」

ヴィクター

 「ええ。

  おかげ様でこちらの不手際で検証が遅れていましたが

  高品質ものが出来てきています。」

 「それは楽しみだ。是非性能を見てみたいですね。」

ヴィクターはにこりと笑い

 「そうですね。

  ではそこのお客様達にご協力いただきましょうか」

魔法音:ドーン

積み荷に風魔法が当たる。

ゼノ・ルシアンは前方に回避する。

ゼノ

 「随分な歓迎じゃないですか。

  ヴィクターさん。」

ヴィクター

 「これはこれは名探偵コンビの

  生き残りさんではないですか。

  相棒に会いたいでしょう。

  合わせてあげますよ。」

ルシアンはヴィクターを睨む。

ゼノは手でルシアンを制止し

 「あいにく。

  そんなに早く会いにいったら

  あいつに怒られるんでね。」

そこに大柄の男が現れる

 「遠慮することはない。

  今日、弟ともども兄の元へ

  送ってやるよ。」

ゼノ

 「お前は・・・

  研究所の時の賊か。」

大柄のベル

 「覚えてくれていて嬉しいぜ。

  さて再戦と行こうか。」

ヴィクターが後ろに下がり

複数の手下とベルが前に出る。

ゼノ

 「ルシアン、下がってサポートを頼む」

ルシアン

 「いえ。

  今回はカイルがいない分僕も戦います。」

ゼノ

 「わかった。無理はするな。」

ゼノは強化魔法を発動すると

ベルの前に進み出る。

ベルも強化魔法を発動

ゼノとベルの打ち合いが始まる。

ルシアンは解析結界を展開

 「これで結界内で発動した魔法の分析ができる」

ベル以外の構成員たちが一斉に

攻撃魔法を発動。

ルシアンは魔法防御壁を展開

完全には防ぎきれず風魔法が

ルシアンの服を切り裂く。

ルシアン

 「く。」

ゼノ

 「ルシアン!」

ベル

 「おっと、よそ見は行けないぜ。

  お前の相手は俺だぜ」

ベルの拳がゼノの頬を掠める。

ルシアン

 「大丈夫です。

  もう少しで解析が終わります。」

  

解析結界に淡い青白い文字列が浮かび上がる。

火属性術式 二名

風属性術式 一名

闇属性術式 一名

術者識別──完了。

それぞれの術者及び使用魔法式特定


ルシアン

 「よし。術者と魔法式がわかれば!」

ルシアンは強化分解魔法を発動。

次の魔法式を構築していた構成員たちに

魔法式が分解する。

ルシアンはすかさず

魔導光槍陣を発動

数十本の光槍が生成され

敵に降り注ぐ。

ドサ、構成員たちが倒れる。

ゼノ

 「やるじゃないか。

  俺も負けてられないな。」

ゼノは拳に雷をまとわせ、

高速で連続攻撃をベルに打ち込む。

ベルが後方に吹き飛ぶ。

ヴィクター

 「何をしている。

  ベル、あれを使え。」

ベルが立ちあがりながら

 「使うしかないか。

  とっておきなんだが仕方ない。」

ゼノ

 「?」

ベルが懐から魔法石を取り出し

魔法を発動、魔法陣は不気味な赤黒い光を放つ

ベルの目が赤く光り、体が一回り以上大きくなる。

全身から赤黒い魔力が噴き上がり、床板が軋む。


ゼノ

 「強化魔法石か?」

ルシアン

 「普通の魔法石の効果じゃない。

  ゼノさん。気を付けてください。」

ゼノは魔法防御壁を発動したが

ベルの拳が触れた瞬間砕け散る。

ゼノ

 「つ」

ゼノがルシアンのところまで吹き飛ぶ。

ルシアン

 「ゼノさん!」

ゼノ

 「大丈夫だ。」

ゼノはすぐに体制を整える。

ゼノ

 「その魔法石はなんだ。

  ただの魔法石じゃないな。」

ベル

 「とっておきっていっただろ。

  それに今回はお前たちを分散させてもらったからな。

  確実に始末させてもらうぜ」

ルシアン

 「分散?・・・カイルに何をした」

ベル

 「あの赤毛は俺の相棒が相手をしている

  今頃、アルフレッドに会ってるじゃないか」

ゼノ

 「なんだと」

ルシアンは拳を握りベルを睨む

 「ゼノさん。早くこいつを倒しましょう・・・」

挿絵(By みてみん)


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