消えた鑑定記録
ルシアンはコーヒーを飲みながら事故報告書をぼんやりと眺めていた。
特記事項に目が留まった
「魔法発動形跡あり....?]
「事故なのに?兄さんが咄嗟に発動した?もしくは犯人?」
鑑定担当者にジェイミー・エリオットとある。
後日、カイルと一緒にジェイミー・エリオットに会いに行った。
ルシアン
「ジェイミーさん。
兄の事故報告書を見ました。鑑定担当者は、あなたですね。
事故報告書には魔法発動形跡ありと記載されていました。
詳しくお話を聞かせてもらえますか?」
ジェイミーはカイルとルシアンに椅子をすすめた。
ジェイミー
「アルフレッドのことは本当に残念に思っているよ。
優秀な彼のこれからの活躍が楽しみだったのに。。。」
ジェイミーは悲し気な表情をしながら
ジェイミー
「さて魔法発動形跡のことだったね。
お兄さんの死因はビルからの転落によっての出血性ショックから
おそらく咄嗟に魔法を発動して衝撃を抑えようとしたのではないかと
僕は考えている。」
ルシアンは手を握りしめながら
「兄は転落事故で死ぬような人間ではありません。。。」
「魔法発動形跡ですが
兄ならたとえビルから落下したとしても
魔法で致命傷になるような傷を負うわけないんです。
魔法発動跡について詳しく教えていただけないでしょうか?」
ジェイミー
「そうだね。彼はそんな人間じゃない・・・」
ルシアン
「ジェイミーさんは兄を知っているんですか?」
ジェイミー
「ああ。知っているよ。
証拠品の調査依頼を引き受けていたからね。」
カイル
「俺もよく証拠品を届けに行かされてましたからね。」
ジェイミー
「アルフレッドには無理難題をよく言われたものだよ。」
ルシアン
「そうだったんですか。すみません。
兄は事件解決のために無茶をするところがあって
ジェイミーさんにはご迷惑をおかけしてしまってすみません。」
ジェイミー
「いや、いいんだよ。
アルフレッドは少ない証拠から
難事件を解決していたよ。
それにアルフレッドは僕に言ってくれたんだ
『正確な調査結果で事件解決の糸口を見つけることができる。
君とは僕は一緒に事件を解決してるんだ』てね。」
ルシアンは驚いた表情を浮かべる。
ルシアン
「兄がそんなことを言ったんですか。
故郷での兄は人に頼ったりしたとこを見たことが
なかったので驚きました。」
ジェイミー
「・・・。そうなのか。
ああそうだ、君にことも話していたよ。
大学では法学部で優秀な成績を収めていて
将来が楽しみだと言っていた。」
ルシアンは少し泣きそうな顔をして
「そうなんですか。
故郷では兄さんが忙しくてなかなか話ができなかったので
なんだか。実感がないです。」
ジェイミーは痛ましくルシアンを見ながら
「アルフレッドは君を大切に思っていたと思うよ。
僕にも妹がいたんだ。
僕が妹の話をしたらアルフレッドは君のことを
たくさん話してくれるようになったんだよ。」
ジェイミーは少し寂しそうに微笑んだ。
窓際に飾られた一枚の写真へ視線を向ける。
そこには幼い少女と笑うジェイミーの姿があった。
「わかるよ。家族を突然失うことの喪失感は。。。」
ルシアン達も写真を見る。
ジェイミー
「すまない。話がそれてしまった。
魔法発動跡だったね。
詳細は鑑定資料を見るといい。
鑑定資料は保管庫にあるはずだよ。」
カイルがそこで当時の鑑定資料を確認したいと申し出る。
ジェイミーは了承し、上司に閲覧許可を取れたらすぐに連絡すると言ってくれた。
数日後、鑑定資料の閲覧許可が出たことと保管庫担当者には連絡してあるので
すぐにでも閲覧可能だと連絡が入る。
カイルとルシアンは急いで保管庫へ向かった。
だが、保管庫にあるはずの資料がなかった。
担当者は困惑しながら
「そんな馬鹿な……」
「昨日までは確かにあったんです」
カイルとルシアンは閲覧者一覧を確認する。
最後の閲覧者。
ジェイミー・エリオット
カイルとルシアンは顔を見合わせる。
カイル
「なぜ。ジェイミーさんが?」
ルシアン
「昨日、ジェイミーさんはそんなこと言っていなかった。
変じゃないか?」
カイル
「言い忘れただけじゃないか?」
担当者
「ジェイミーさんは資料整理の担当でもありますから、
閲覧履歴に名前が残ること自体は珍しくありません。」
沈黙。
ルシアンが顔を上げる。
ルシアンは兄のことを話すジェイミーのことを
思い出していた。
兄に対する信頼はその表情や言葉からは
本物に思えた。
だがルシアンは何か言葉にできない違和感を覚えた。




