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託された証拠

ーー車内

カイルが運転をしている。

助手席にはルシアンが座っていた。

後部座席にはゼノが

ハロルドから託された手紙を声に出して読んでいる。

挿絵(By みてみん)


ーーハロルドの手紙

ゼノへ


お前が帰国したと聞いて

近いうちに俺が俺にたどり着くと思ってはいるが

組織が俺を消しに来るのが早くなる可能性もある。

だからこの手紙を残すことにした。


金庫の中身だが

イザベラに関する資料と

アルフレッドが俺に託したものだ。


あいつが死ぬ三日前、

あいつはふらりと俺の家を訪ねてきた。

どうやら他にも何箇所かに分けて資料を隠しているみたいだった。


あいつは何も言わなかったが

恐らく組織に目を付けられたと気づいての行動だろう。


俺が言えた義理じゃないが

言わずにはいられなかった。


ーーアルフレッドの死の三日前

ハロルド

「あの組織に関わるには辞めろ・・・」

アルフレッド

 「・・・あなたが言うと説得力がありますね。」

ハロルド

 「ふざけている場合じゃない。

  本当にお前消されるぞ。」

アルフレッド

 「わかっています。

  だからこうしてあなたに託しているんです。」

ハロルド

 「アルフレッドお前、どこまで知ってる。」

アルフレッド

 「まだほんの入り口しか見えてませんよ。」

ハロルド

 「・・・わかった。それは預かるが

  必ず取りに来い。」

アルフレッド

 「わかりました。」

ハロルド

 「このことはゼノには話したのか?」

アルフレッドは微笑んだだけだった。

ーー


それからすぐにあいつが死んだことを知った。

事故死とされたが。。。

それから俺は事故ではなく事件として調査を進めた。

事件当日のあいつの足取りを追った。

調べていくといくつか不信な点があった。

詳しくは再調査資料を確認してくれ。


イザベラについてだが彼女は組織の人間だ。

それもかなりの要職についている。

そんな彼女が組織を裏切る決意をしたそうだ。

彼女についてはアルフレッドの残した資料を

見ればわかるだろ。組織に関わる話になるから

覚悟を決めてから読んでほしい。


お前たちが真実に辿りつけることを祈る。

                

                ハロルド


手紙はそこで終わっていた。

カイル

 「ハロルドさんは、いろいろすごい置き土産を

  残していってくれたものだな。」

  

ゼノ

 「二人とも知る覚悟はあるか?」

 

ルシアン

 「あるもないも。

  覚悟なら故郷を旅立ってこの地に降り立ったときから

  もうしています。」

カイル

 「何を今更、最後まで一緒に行きますよ。」

 

ゼノ

 「・・・。そうか。」

ゼノは一度目を瞑る。

 「まずは、イザベラと組織についてから始めようか。」

 

イザベラの調査資料

イザベラ・ノックス

年齢:37歳

表の顔:ローテリア王立大学 魔導理論学部 准教授

裏の顔:研究局 研究局長

専門:世界方程式・新術式開発


アルフレッドの調査ノート

彼女は表では名門校の准教授としての研究者だが

裏の顔は組織の研究局に所属している人物だ。

その中でも高い地位に就いて組織の首領にも近い立場にある。


今から1月ほど前に彼女の開催した公開シンポジウムに

参加して彼女に近づいた。

新術式についてもっと話を聞きたいと言ったら

快く研究室へ招待された。


ーーイザベラの研究室

アルフレッド

 「イザベラさん。すみません。

  大学までお邪魔してしまって。」

  

イザベラ

 「いえ。かまいませんよ。

  あなたが以前発表した論文を拝見しました。

  警察官であるあなたがあそこまでの論文を書けるなんて

  素晴らしいことだと思います。

  あの方もあなたのことをとても褒めていたんですよ。

  」

アルフレッド

 「・・・あの方もですか。ありがとうございます。

  プロのようにはいきませんが、個人的に取り組んでいます。」

  

イザベラ

 「ご謙遜を今からでも研究職に就かれたほうが良いのでは?」

 

アルフレッド

 「はは。そう言えば近く新術式について発表されるとか。」

 

イザベラ

 「ええ。発動する時間を自由に設定可能にする新術式になります。」

アルフレッド

 「それは凄いですね。発表が楽しみです。」

アルフレッドはにこりと笑いながら

 「魔法において発動する時間の設定が可能なことも

  大変な発明ですが、世界の法則を変えてしまうような

  理論が存在していたらあなたらならどうしますか?」

イザベラの顔が驚きの表情に変わる。

イザベラ

 「・・・アルフレッドさん。

  突然何を言い出すんですか。

  そんな理論あるわけないじゃないですか・・・」

アルフレッド

 「あなたは本当は気づいているんでしょ?

  あの理論の危うさとそしてあの人の本質も。」

イザベラ

 「・・・。

  何のことをおっしゃっているのか

  私にはわかりません。

  申し訳ありませんが。お帰りください。」


挿絵(By みてみん)


帰り際にメモを渡す。

そこにはアルフレッドの連絡先が書かれていた。

アルフレッド

 「いつでもかまいません。

  何か話したいことがあればご連絡ください。」

アルフレッドは一礼すると部屋を後にする。


イザベラはしばらく受け取ったメモを眺めていた。

イザベラ

 「・・・。彼に言葉にされたことで

  見ぬふりをしてきたあの方が求めている理論の

  危うさを自覚してしまった。」

一度溢れだした不信感は彼女を苦しめた。

そして悩んだ末に組織を裏切ることにしたのだった。


ーーー

アルフレッドの調査ノートの続き


彼女はもともと組織に関わるような人間じゃない。

その才能に目を付けられ利用されただけだ。

最後に見た彼女の目は迷いの色をしていた。

おそらく聡い彼女は気づいていたがそれに蓋をしていたのだろう。。。


組織...いや、あの人の怖ろしいところは

どんな人間も魅了し

自分のコントロール下においてしまうことだ。


彼女に近づいたことで

組織に感づかれる可能性が高い

急ぎ、組織について調べる必要がある。

現在わかっている組織については


首領を筆頭に

4つの局が存在している

研究局、諜報局、工作局、資金局

それぞれ役割は

研究局:魔法式研究

諜報局:必要な情報や研究対象を収集

工作局:障害を排除、証拠や資料を確保・隠滅

資金局:研究資金や設備、人材の維持


ーーー

カイル

 「イザベラは相当な覚悟で決意したんだろう。。。」

 

ルシアン

 「彼女は最後に手帳にあった理論を持ちだそうとしたんじゃないかな。」

 

ゼノ

 「そうだな。

  あの封筒に入っていたのがその一部なのかもしれない。

  解析結果を待とう。

  

ルシアン

 「これが兄さんの見ていた景色……。」

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