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沈黙した魔法式

イザベラ

 「このことがあの方に知られたら私の命はないだろう。。。

  だけど一度芽生えてしまったこの感情を

  抑えることはできそうにない。。。」

イザベラは手紙を握りしめながら

机の上の書類封筒を見た。

封筒には魔法式の資料のコピーが入っている。

イザベラ

 「もう、見て見ぬふりはできない。」

挿絵(By みてみん)

ーーローテリア大学 研究棟

ルシアンは現代魔法式学のレポートを提出するため

研究棟の廊下を歩いていた。

その時、廊下の奥から爆発音が響いた。

ルシアンは急いで音の方へ走っていった。


既に音を聞きつけた教授や生徒たちが集まってきていた。

ドアのガラスが飛び散っている。

ある教授がドアを開けて中を確認しようとしたが

ドアは中側から鍵がかかっていた。

ローテリア大学では魔法での鍵を開けられないように魔法がかけられいる。

しばらくして大学の総務部長がスペアキーを持って現れた。

スペアキーを使い部屋の中に入った。


中には横たわるこの部屋の利用者である

イザベラ・ノックスが倒れていたのが発見される。

急いで治癒魔法が施され、病院に搬送されたが

搬送後に死亡が確認された。


教授

「櫻塚君、悪いが怪我人はいないか確認してくれ」

ルシアン

「はい。」

ルシアンは素早く部屋に入ると中の状況を確認する。


・窓ガラスの破片や本棚の本が散らばっている

・魔法式は書かれている大きな紙が机の上に置かれていた。

・窓の鍵を確認したがそちらもドアと同じく施錠されていた。

・魔法式以外で机の上にあるものは割れたティーカップと万年筆

・来客用のテーブルの上には研究資料が置かれていた。

ルシアンは書かれている魔法式に違和感を覚えたが

それが何がおかしいのかまでは分からず、近くで観察しようとした時だった


大学関係者

 「君、確認が済んだらすぐここから出なさい。」


ルシアンは仕方なく廊下へ出ると素早く手帳に

先ほどの魔法式を記入する。


ほどなく警察が到着し、現場検証のため規制が引かれる。

警察官の中にゼノやカイルの姿を見つけ

ルシアンは手を振る。

ルシアンに気づいた二人がルシアンの方へ歩いてきた。

カイル

 「お前どうしてこんなところにいるんだ?」

ルシアン

 「・・・カイル。俺が学生だってこと忘れたのか」

カイル

 「ああ。そうだったな。いつも一緒に捜査してるから忘れてた」

ルシアン

 「それ。嘘だろ」

ゼノ

 「二人ともじゃれてないで事故のことを少しは気にしろ」

ルシアン・カイル

 「じゃれてません。」

ゼノが苦笑いする。

ゼノ

 「さて。ルシアンは被害者のイザベラについて知っているのか?」

ルシアン

 「はい。世界方程式・新術式開発を専門にしている

  この大学の准教授をしていた人です。」

ゼノ

 「新術式開発か。

  詳しくは調査結果がわかってからだが

  魔法式の暴発による事故と見ている。」

ルシアン

 「事故ですか・・・」

ゼノ

 「何か気になることでも?」

ルシアン

 「いや。たいしたことではないんですが

  部屋にあった魔法式に違和感があって」

ゼノ

 「違和感?」

ルシアン

 「何がどうおかしいのかは説明できないんですが・・・」

カイル

 「釈然としないな。

  ここでは捜査の詳細は放せないが

  気になるなら明日、署に来てくれ」

ルシアン

 「わかった。明日行くよ」

ゼノとカイルは現場検証のため部屋へ向かう。

ルシアンは魔法式のことを図書棟で調べることにした。


ーー翌日 アシュフォード署の一室

ルシアンが部屋に入る。

ゼノ

 「お。来たな。」

カイルがルシアンに事故調査書を渡す。


事故調査書

被害者:イザベラ・ノックス

性別:女性

職業:ローテリア王立大学 准教授

世界方程式・新術式開発について研究していた。

死因:爆風の圧力による「外傷性ショック死」

特記

爆心地は机上の魔法式付近と推定

それ以外からは魔法痕跡は検知されなかった。

窓とドアは施錠され部屋は密室。

よって本件は魔法式の暴発による事故とする


ルシアン

 「部屋にあった資料や本などは全部調べたのか?」

カイル

 「ああ。魔法痕跡を調査したが魔法式の描かれた紙以外

  からは調査書にある通り魔法痕跡は確認できなかった。」

ルシアン

 「そうか。たしか机の上に万年筆があったよな?」

ゼノ

 「これのことか?」

そういうと一本の万年筆をルシアンに渡す。

ルシアンは魔導書を開くと万年筆の先端に向けて解析魔法を展開。

解析結果

素材:クレーミル金属

ゼノ

 「クレーミルだって?貴重な特殊金属じゃないか

  そんな金属をどうして万年筆に?」

ルシアン

 「それは恐らく・・・」

ルシアンはまた万年筆に向けて今度は魔法探知を発動した。

すると魔法反応があった。

カイル

 「俺が魔法探知した時は反応しなかったぞ」

ゼノ

 「それアルフレッドが改造した魔法探知魔法か」

ルシアン

 「ええ。魔法探知の精度が上がっているのもありますが

  この万年筆のペン先がクレーミルだから魔法痕跡が残ったんです。」

ルシアン

 「クレーミルは特殊金属で薬品反応がおきにくいんです。」

ゼノ

 「よく知ってたな。」

ルシアン

 「科学捜査研究所の技術者、マリオに魔道具のことを話していた時に

  クレーミルの特性を教えてもらいました。」

カイル

 「マリオってこの前のハンカチと録音魔石の調査依頼を

  したマリオ・カーライルのことか?」

ルシアン

 「ああ。そうだよ。研究バカだけど優秀な技術者だよ」

ゼノ

 「万年筆に魔法痕跡があったということは何かしらの

  魔法が使われた可能性が出てきたな」

ルシアン

 「それと兄さんが残した調査対象一覧に

  イザベラ・ノックスの名前があった。」

ゼノの表情から笑みが消える。

ゼノ

 「なんだって、アルフレッドは

  イザベラを調べていた?」

カイル

 「そのことも踏まえていろいろ調査が必要そうだな」

ゼノ

 「そうだな。明日までにボス(ガレス)に

  大学の部屋の再調査許可取る。

  ルシアン。悪いが明日また署に来てくれ」

ルシアン

 「わかりました。」

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