相棒の空白
ゼノ
今日は朝からアルフレッドとは別行動をしていた。
転落事故の現場で落ち合う予定だった。
調査に手間取ったため約束の時間に
遅れると連絡したが返事がない。
いつもならすぐに既読になるのに既読にもならない。
嫌な予感がする。
ゼノは足早に現場に向かった。
そして路上に倒れているアルフレッドを見つける。
ゼノは駆け出し
「アルフレッド!大丈夫か」
ゼノは急いでアルフレッドを抱き抱える。
まだ息はある。だが出血が酷い。
止血をするとともに急いで救急車を呼んだ。
そして何度もアルフレッドの名前を呼ぶ。
わずかにアルフレッドの瞼が開く
ゼノ
「すぐに救急車が来る。
心配するな。大丈夫だ。」
アルフレッド
「ゼノ・・・
×××××××××××××××」
アルフレッドの手がゼノの頬に触れ
力なく崩れ落ちた。。。
ゼノ
「アルフレッド。うそだろ。目を開けろ。
おい、聞こえてるだろ?
頼むから返事をしてくれ・・・」
雨が頬を打つ。
ゼノは時間の感覚を失っていた。
何分経ったのか。
何十分だったのか。
腕の中のアルフレッドだけが、
少しずつ温もりを失っていく。
あいつは最後に何を言っていた?
頭が鉛のように重く何も考えられない。
いつの間にか雨が降ってきていた。
雨はアルフレッドの血を少しずつ洗い流していく。
ゼノは必至でそれをさせないように抱きしめる・・・
遠くでサイレンの音が聞こえた。
ーー警察(同僚)現場に到着
その場でアルフレッドの死亡が確認され検死のため
警察署へ運ばれる。
警察署の廊下。うつろな目のゼノ
ゼノ「何人かに話かけられたが何も反応できなかった」
時間が随分とたったころカイルが着換えを持ってきた。
引きずるようにシャワー室に押し込まれて機械的に着替えた。
ガレスはあの家には帰せないと判断したのだろう
署の近くのホテルに数日泊まるように言われた。
記憶があまりない。カイルがいろいろ世話をしてくれたようだ。
ホテルのベットでぼんやりと天井を見ていたときだった
カイルが部屋に入ってくる。
カイル
「アルフレッドがキルシニアに帰る。
最後の挨拶をした方がいい。
これで会えるのは最後だ。。。」
ゼノはゆっくりと起き上がる。
ーー霊安室
棺に入ったアルフレッドが横たわっている。
防腐魔法がかけられ衣服も整えられていて
ただ眠っているだけのように見えた。。。
今にも
いつものように薄く笑いながら
「何だ、ゼノ」と声が聞こえてきそうだった。
ゼノは棺を覗き込みながら
静かにアルフレッドに語り掛ける。
ゼノ
「アルフレッド。何してるんだ?
もう起きろよ。
まだまだ解決しなくちゃいけない事件が
たくさんあるんだぞ。。。」
ゼノ
「この前、お前が食いたいって言っていた
コテージパイの作り方、お袋からわざわざ聞いたんだぞ?」
なあ。起きろって・・・起きてくれよ」
ゼノがアルフレッドの頬に触れる。
人形のように冷たい。。。
ゼノは始めて涙を流す。
アルフレッドは飛行機に乗せられキルシニアへ旅立った。
それからのゼノは
鬼気迫る様子でアルフレッドの調査を始めた。
ただ有力な手掛かりがないまま時間ばかりが過ぎる。
そんなある日ゼノはガレスに呼ばれる。
ーーガレスの執務室
ガレス
「ゼノ。アルディオン連邦へ研修へ行ってこい」
ゼノ
「断ります。アルフレッドを殺した犯人を捕まえます。」
ガレス
「アルフレッドは事故で死んだんだ」
ゼノ
「事故?あいつが転落死なんかするわけないだろ?
あなたもそれはわかっているだろ?」
ガレス
「たとえそうだとしても今のお前じゃ真実にはたどり着けない。
自分の顔を見て見ろ、酷いぞ。お前が犯罪者みたいだぞ。」
ゼノ「・・・」
ガレス
「頭を冷やせ。それはこの国じゃ無理だろう。
だから研修へ行け。
アステリア公国きっての優秀な警察官を
ここでつぶさせるわけにはいかない。わかったな。」
ゼノ「はい・・・」
ーー半年後
帰国のため飛行機の搭乗を待つゼノ
ゼノは手に持ったスマホのメッセージを目で追っている。
カイル
「久しぶりです。お元気ですか。
もうすぐ帰国すると聞きました。
帰国の前に伝えたいことがあったので連絡しました。
今、俺はアルフレッドの弟と一緒に
アルフレッドの事件を追ってます。
あなたの帰国を待ってます。
追伸:ルシアンはアルフレッドによく似てます。
」
ゼノ
「ルシアンか。どんな人物だろう。」
ゼノはスマホから目を外し。
窓の外には離陸準備を始めた飛行機が見えた。
「アルフレッド。今から帰るよ。」
捜査の続きをしよう。今度は俺たちで追う。」
搭乗開始のアナウンスが流れた。
ゼノは静かに立ち上がる。




