「盤面の向こう側」
書斎で研究資料をまとめていた
エイドリアンは人の気配を感じ
顔を上げる。
男
「例の証人は処理しました。」
男は報告書をエイドリアンの机に置く。
エイドリアン
「そうか。」
そのあとは言葉もなく興味もないのだろう。
男は一礼すると部屋から出て行った。
しばらくしてエイドリアンは椅子から立ちあがり
先ほどの報告書を持ち
おもむろに書棚に向かった。
壁一面の書棚のある本の前でとまる
その本を手前に差し引いた。
ガチャと言う音と共に本棚が移動し
奥にドアが現れる。
エイドリアンはドアを開け中に入る
細い通路を抜けた先に
大きな机が一つと
小さなテーブルとテーブルを挟み
1人掛けの椅子が二つ向かい合っていた。
テーブルにはゲームの途中のチェス盤がある。
壁にはびっしりと本が並んでいる。
本は全て禁書や貴重な魔法関連の書籍ばかりが並ぶ。
エイドリアンは大きな机の椅子に座り
ながら報告書に目を通す。
報告書
対象者:ウォルター・バーンズ
処理内容:殺害完了
特記事項
ウォルターとの戦闘中に二人組の男に妨害される。
1人は警察官のカイル・ローレスもう一人はルシアン・櫻塚。
報告書には二人の写真と共にプロフィールが
それぞれ記載されていた。
カイル・ローレス
危険度:B
戦闘能力:A
性別:男
年齢:23歳
身長:184㎝
所属:
アシュフォード市警
特記事項
・近接戦闘に優れる
・家族構成:祖父母
・正義感が強い
・ルシアン・櫻塚と行動
ルシアン・櫻塚
危険度:B
戦闘能力:B
性別:男
年齢:21歳
身長:178㎝
所属:
ローテリアル大学 法学部(留学中)
特記事項
・補助魔法に優れる
・家族構成:母親
・兄に(故)アルフレッド・櫻塚
・カイル・ローレスと行動
エイドリアンは報告書から
ルシアンのプロフィールを抜きだし眺める。
そして机の上に置かれた
アルフレッド・櫻塚に関する資料を一瞥する。
ふいにアルフレッドの写真に触れる。
エイドリアンの口元が緩み実に楽しそうに笑った。
エイドリアンはベルを鳴らした。
執事が静かに姿を現す。
エイドリアン
「19××年のワインを。」
「……今日は祝いの日だ。」
執事
「はい。かしこまりました。旦那様」
エイドリアンはチェス盤を見て呟く
エイドリアン
「ゲームを再開しようじゃないか。アルフレッド。」
エイドリアンはチェス盤に近づき
盤上から白のキングを一瞥し、
「君がいなくなってから、退屈だったよ。」
そう言って、盤上の白のクイーンを摘み上げた。
「ようこそ、ルシアン。」
エイドリアンは静かに微笑んだ。




