二十年の沈黙
レイモンドの件から数日たった
夕方署内の一室で
ルシアンとカイルは
再度、アルフレッドが残した捜査資料を
見直していた。
ルシアンはふとあることに気づいた。
何件かの報告書に☑マークがついていることに気づく。
マークがついた事件は4件
事件を時系列で並べると
20年前:馬車転覆事故
15年前:火災事故
3年前:湖の事故(ジャマル事件)
半年前:転落死
ジャマル事件は詳細がわかっていたため
他の3件について詳しく調べることにした。
転落死
発生時期:半年前
被害者:レオン・アーヴィング
性別:男性
職業:大学(研究員)
事故内容:ビルの屋上からの転落死
特記事項:
レオン氏は違法研究(違法術式)の容疑がかけられていて
調査中だった。
火災事故
発生時期:15年前
被害者:エレノア・ヴァイス
性別:女性
職業:弁護士
事故内容:
自宅が火事で全焼、
焼け跡から焼死体が発見され、
DNA検査によりエレノアと判明。
特記事項:
女史には贈収賄の疑いがあり調査中だった。
馬車転覆事故
発生時期:20年前
被害者:マティアス・ベルナー
性別:男性
職業:貴族院議員
事故内容:雨の中馬車が崖に転覆し死亡
特記事項:
汚職の容疑がかけられていた。
そして
ジャマル事件
発生時期:3年前
被害者:ジャマル・カレイ
性別:男性
職業:実業家
事故内容:ボートが転覆し、溺死
特記事項:
過去に殺人及び強盗事件に関与していたことが判明
カイル
「4人とも何かしらの犯罪にかかわっているな」
他には何か共通点は・・・
4件分となると資料もかなりの量だな。
ここから共通点を探すのは骨が折れそうだ。」
ルシアン
「いや。資料(情報)があれば探せる。」
カイル
「どういうことだ?」
ルシアン
「俺の得意魔法である【記憶の糸】を使う。
思考の整理や情報の可視化を助け、
大量の情報を瞬時に構造化できる魔法だ」
そう言うと小さな魔術書を取り出した。
その魔術書は兄の魔術書と別にルシアンが
もともと使っていいた魔術書だった。
魔術書を数ページめくり、術式を発動させる。
青白く光った魔術式が浮かび上がりその魔術式から
無数の青白いが資料へと延びる。
しばらくすると糸の色が変化した。
黒、赤、金色に変化
ルシアンはその中から赤色の糸に結び付いた
資料を抜き出した。
糸の色にはそれぞれ意味があり
黒:矛盾する内容
赤:同じ特徴を持つもの
金色:因果関係
ルシアンが資料を確認しようとした時だった
ルシアンは突然視界がぼやけ、耳鳴り
と頭痛で頭を押さえよろめいた。
カイルが慌てて肩を支える。
カイル
「大丈夫か?」
ルシアン
「ああ。すまない。
この魔法は大量演算を行うため
脳への負荷が大きいんだ。
そして魔法は答えを教えてくれる魔法じゃない。
人間なら数日かかる情報整理を数分で終わらせるだけだ。」
カイル
「そうなのか。本格的にその資料を調査する前に夕飯にしよう。」
カイル
「夕飯を近くの店で買ってくる。何がいい?」
ルシアン
「任せる。」
カイル
「了解。帰ってくるまで横になってろよ」
ルシアン
「ありがとう。そうさせてもらう。」
ーー数十分後
カイルは近くのファストフード店で買ってきた
フィッシュ&チップスとパイ(肉と野菜がたっぷり詰まっている)
を机の上に並べていた。
カイルが帰ってくるとルシアンはソファーで寝ていた。
ルシアンの寝顔を見て起きている時より幼く見える。
そういえば自分が幼いころに母がキルシニアの国の方は
年齢不詳でミステリアスな方が多いのよと話してくれたことを思い出した。
カイルは一瞬起こすか悩んだが
折角の料理が冷めてしまってはもったいないと
カイルの肩を揺らし、起こした。
ルシアン
「すまない。寝てしまっていた。」
カイル
「いいって。冷める前に食べよう。」
ルシアンとカイルは夕飯を食べ終えるとすぐに
さきほどルシアンが抜き出した資料を確認した。
ルシアン
「同じ会社名が何度も出てくる。」
カイル
「どこだ?」
ルシアン
「ファーレン。」
ファーレンは
銀行、投資信託、ベンチャーキャピタル、不動産投資信託など
複数取り扱う総合金融グループだ。
レオン・アーヴィング(研究者):研究費用の多くはこの投資から運営されていた。
エレノア・ヴァイス(弁護士):投資
マティアス・ベルナー(貴族院):融資
ジャマル・カレイ(実業家):不動産投資で利用
ルシアン
「資金の流れが一緒だ」
さらに詳しく調べたところ
被害者全員が
「事故直前に多額の送金をしていた。」
カイル
「誰かが20年間、事故を作り続けている?」
ルシアン
「20年間事故を起こしているんじゃない。」
「20年間、事故に見せかけて人を消している。複数犯?」
カイル
「……」
ルシアン
「兄さんはそのことに辿り着いた。」




