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途切れた真実

ルシアンとカイルは

ジャマル事件と横領容事件の関連をまとめていた。

①同じ魔法式

②魔法痕跡が消されていた

このことから同一犯の可能性が高い

だがジャマル事件の犯人と思われるヴィクトリアは既に死亡

ジャマルの事件が3年前、横領容事件は5年前

カイルたちはヴィクトリアについて調べることにした。


ヴィクトリアの調査報告書には

ヴィクトリアは天涯孤独で幼いころ両親と弟を含む家族全員を亡くしていて

他に身寄りのいなかった彼女は教会に身を寄せていた。

遺体と遺品はその教会に渡されたとされていた。


ーー教会・墓地

一つの墓の前で熱心に祈りをささげている女性がいた。

その墓に刻まれた名前はヴィクトリア・レイヴンクロフト

ルシアン

 「すみません。ヴィクトリアさんのお知り合いの方ですか?」

女性

 「ええ。あなた方は?」

カイル

 「突然すみません。警察のものです。

  お話を伺ってもよろしいでしょうか?」

女性

 「警察・・・ここではなんですから教会の方でお話いたします。」


ルシアンとカイルは教会の隣にある住居の一室で待つように言われ

部屋で先ほどの女性が来るのを待っていた。

カイルは部屋に飾られている写真を眺め、

ルシアンはヴィクトリアの調査書を読み返していると

女性が宝石箱とネックレスを持って部屋に入ってきた。


女性

 「お待たせしてすみません。

  改めて私はマーガレット・クレンと申します。

  ヴィクトリアお嬢様のことでお話をとのことでしたね。」

ルシアン

 「お嬢様?」

マーガレット

 「はい。ヴィクトリアお嬢様はもともと由緒ある男爵家のお方です。

  私は乳母をしておりました。」

カイル

 「そのお嬢様がなぜ教会に?」

マーガレット

 「・・・もう16年前になりますが男爵家に強盗が押し入り

  男爵家のご家族、使用人が殺され屋根裏に隠れていて

  難を逃れたヴィクトリア様お1人は助かりました。

  私はその日は旦那様のお使いで隣村まで出かけていました。」

マーガレット

 「私が駆け付けた時には全てが終わった後で

  亡くなられたご家族の前で呆然と表情もなく佇んでいる

  お嬢様の姿が忘れられません。」

マーガレット

 「他に頼る当てがなかった私たちは教会に身を寄せました。」

ルシアン

 「そうだったんですね・・・

  そのお持ちになって宝石箱とネックレスは

  ヴィクトリアさんのものですか?」

マーガレット

 「はい。そうです。

  ネックレスはお嬢様が肌身離さず常に付けていたものです。

  宝石箱は鍵がかかっていて開きません。」

挿絵(By みてみん)



ルシアンは宝石箱とネックレスを調べた。

宝石箱は鍵穴はない。宝石箱の裏には溝があった。

ネックレスは赤いルビーの宝石のネックレスだった。

宝石のルビーを観察していると魔法式が刻まれていることに気づいた。

宝石箱の裏にルビーを近づけた時、魔法式が光り宝石箱の鍵が開く音がした。


宝石箱の中には指輪やブローチ、そして鍵が入っていた。


ルシアン

 「マーガレットさん。この鍵は何の鍵かわかりますか?」


マーガレット

 「おそらくお嬢様の部屋の机の鍵だと思います。」

 

ーーマーガレットの部屋

 机の鍵穴に鍵を差し込みまわす。

 鍵が開き引き出しの中には数冊の本が置かれていた。」

 

 本はヴィクトリアの日記だった。

 そこには男爵家の悲劇の詳細が書かれていた。

 〇月〇日

 「今日もまたあの方々がいらっしゃった。

  お父様の所有する土地を開発のため売ってほしいと

  何度もお父様に会いにきている」

  

 「お父様は先祖代々の土地を手放すことはできないと言っている」

 

 〇月×日

 「今日は見知らぬ男たちが屋敷の周りをうろついていた

  明日は乳母のマーガレットとあの子もお使いで隣町にいってしまう。

  心細い。」

 

 〇月×日

   ・

   ・

   ・

   ・

 〇月△日

 「あれから何日経っただろう。

  あの日私と弟はかくれんぼをして遊んでいた。

  私は屋根裏部屋に隠れて弟を待っていた。

  でもいくら待っても弟が来ないので

  下の様子を見に行くことにした。

  そして、両親、弟、家の者が無惨な姿になっているのを発見した。

  窓から賊たちが逃げていくのが見えた。

  そのとき雲が流れ月明りで賊の顔が確認できた。」

  

  

日記の最後の1冊

 □月〇日

 「今日教会のチャリティーイベントであの男を見つけた。

  あの顔を忘れたことなどない。

  あの日わたしから家族を奪った賊の顔を!!」

  

 □月×日

 「あの男の名前が分ったジャマル・カレイ

  ジャマルはお父様の土地を混乱に乗じて安く手に入れ

  その土地の開発が成功して今では実業家の仲間入りをしていた。」

  

 □月△日

 「ジャマルにどうにかして罪を認めさせ罰を与えたいが

  無力な私ではどうすることもできない。」

  

 □月〇日

 今日、一人の紳士が私に声を掛けてきた。

 「君は復讐したいのだろう?」

 私は何も話していない。

 なのにその人は全て知っていた。

 

 「その方は復讐の手伝いをしてくれることになった。

  まずはジャマルに近づくためレイモンド子爵の紹介で舞踏会に行ける

  ことになった。このチャンスを絶対に逃がさない。」

挿絵(By みてみん)

  

ルシアン

 「・・・これでヴィクトリアがジャマルを殺した理由と

  レイモンドがその犯行に関与していることがわかった」

カイル

 「それだけじゃないぜ。俺たちの知っている

  ある人物も関わってる。」

そういうと一枚の写真を差し出した。

そこにはルシアンを襲ったルシエドとヴィクトリア、マーガレットの

三人が写っていた。

ルシアン

 「マーガレットさん。この男性は?」

マーガレットさん

 「ああ。名前はルシエドといって私と一緒にレイヴンクロフト家に仕えていて

  あの事件の日は私と隣街にいっていたので無事だったのよ。

  あの子も身寄りがなかったから私たちと一緒に教会へ

  確か今はある貴族の家で使用人をしていたはずです。」

  

カイル

 「これでいろいろピースは揃ったな。

  レイモンドのところに乗り込むか?」

ルシアン

 「そうだな。レイモンドに会いに行こう

  そのために大学に行く。」

カイル

 「大学?」

 

 マーガレットにお礼を言って

 ルシアンとカイルはローテリアル大学に向かった。

 

 レイモンドはローテリアルに多額の寄付をしている。

 大学は近く開催する大学主催の講演会にレイモンドを招待する予定だった。

 その招待状を届ける役目を貰いに来たのだ。

カイル

 「何で一学生のお前がそんなに簡単に招待状を預けてもらえるんだよ?」

ルシアン

 「それは俺が首席で誰かと違い勤勉だからじゃないか?」

カイル

 「ああそうだったな。お前首席だったな。

  調査でいつも飛び回ってるににいつ勉強してんだよ・・・」

ルシアン

 「話はこれくらいにして早速、レイモンドに会いに行こうか」

 

ーーレイモンド邸


レイモンド

 「やあ。ルシアンくん。

  わざわざ招待状を持ってきてくれてわるかったね。」

  

ルシアン

 「いえいえ。

  ちょうど僕もレイモンドさんとお話したいことが

  あったので。」


レイモンド

 「話?何かね」


ルシアン

 「3年前に殺害されたジャマルさんのことはご存じですよね?

  当時あなたと土地開発で争っていたライバルです。」

  

レイモンド

 「ああ。ジャマルさんか覚えているよ。

  ジャマルさんは殺害ではなく事故死だったと思うが。

  確か婚約者だったかある女性とボートに乗っていて

  不幸な事故にあったと聞いているが」

  

ルシアン

 「いえ。あれは殺人事件です。

  ボートを魔法で故意に転覆させたうえ

  さらにジャマルさんだけに水草が絡まるようにして

  溺死させたんですよ」


レイモンド

 「・・・面白い推理だがそれが本当だったとして

  私に何の関係があるのかね?」

  

ルシアン

 「ジャマル殺人の犯人であるヴィクトリア・レイヴンクロフト

  をジャマルと合わせるため舞踏会に参加できるよう手を貸しましたね。」

  あなたは土地開発の利権取得に邪魔なジャマル死をヴィクトリアを

  使って消したんだ。」

  

レイモンド

 「レイモンドの口元から笑みが消えた。

  人を殺人の共犯みたいに言うのは止めて貰えるかな?

  確かにヴィクトリアと言う女性を伯爵夫人に紹介したかも

  しれないがそれがどうして殺人の共犯になるんだね。」


カイル

 「証拠はまだあるぜ。そこに居る使用人のルシエドは

  ヴィクトリアの顔なじみだ。

  それにルシエドを使ってルシアンを襲わせたな?」

カイルはグレイ家の家紋が入ったボタンを見せた。


レイモンド

 「レイモンドはボタンを見ると一瞬目を見開いたが

  ふん。ボタンはルシエドから盗まれたと聞いている

  ヴィクトリアとルシエドが顔なじみだったのはたまたまだろう」

  

レイモンド

 「それに私がヴィクトリアの殺人を助けたという証拠がない。

  ボタンだって君が盗んだんではないかね。カイルくん。」

カイル

 「・・・俺は警察官であることに誇りを持ってる

  そんなことするわけないだろ」

レイモンド

 「警察官?てっきりチンピラかと思っていたよ。」

カイル

 「なんだって?」

ルシアン

 「カイル止めろ。今日は出直そう。」

 

 そういうとルシアンはカイルの腕をつかみ踵を返す。

レイモンド

 「兄も兄なら弟も弟だな。

  つまらない論理で私を脅すなど。」

ルシアン

 「何だって?兄さんもここに来たのか?」

レイモンド

 「あの男は論理に魅入られた怪物じゃないか。」

ルシアン

 「兄さんに何をした」

 

レイモンド

「何もしていない。

 あの男は真実だけを見ようとしていた。

 だから——」

 

ルシアンがレイモンドに詰め寄ろとしたときだった。

ドアが開き数名の警察官が部屋に入ってきた。


レイモンド

 「何なんだね。君たちは誰の許可があってここにいる」

 

ガレス

 「これは失礼。レイモンドさん。

  あなたには賄賂の罪がかかっています。」


レイモンド

 「贈賄だって?証拠はあるのかね?」

 

ガレス

 「ええ。もちろん。

  身内の不祥事で心苦しいですがね。

  警察組織内の汚職が発覚し調査の結果

  賄賂を渡していた人物がレイモンドだと

  数名の警察幹部が自白しましてね。」

  

レイモンド

 「あの女狐の差し金か!」

 

ガレス

 「・・・詳しくは署で聞きましょうか」

 

ガレスがレイモンドを連行しようとした時だった

ルシエド

 「申し訳ありませんがその男を渡すわけにはいきません」

ルシエドが液体をレイモンドに投げる

レイモンドの周りが一瞬にして氷漬けになる。

ガレスが急ぎ、氷解魔法と回復魔法を発動したが

レイモンドは既に息をしていなかった。

挿絵(By みてみん)


突然のことでルシアンとカイルなどが騒然としている

隙にルシエドは逃走。


レイモンド邸前

レイモンドが死亡解剖のためタンカーで運ばれるのを

ぼんやりとルシアンが見ている。


カイル

 「ボス。どうしてレイモンドを?」

ガレス

 「言っただろ。時が来たらいろいろなことが動き出すと。

  内々で汚職警官たちを捜査していたんだ。

  やっと自白まで持ち込んでレイモンドを逮捕できると

  思ったのにこれだよ。。。」

ガレスはそう言うと手を振ってパトカーの方へ歩いて行った。


残されたルシアンとカイル。

カイル

 「振り出しに戻っちまったな・・・」

ルシアン

 「また、真実が死んだ。

  ・・・いや。いろいろと繋がってきている

  まだやることはある。」


挿絵(By みてみん)

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