天上の…
みなさんの目にとまりお読み頂ければ嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
こちらの作品はカクヨムさんでも投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
side あるハイハーピーの青年???
もうずっと何も聞こえないところにいた。痛くてこわいおもいをしてから、逃げられない、助けも来ないと絶望してからずっと。
でも少し前、温かい光に包まれたのを感じた。本当は何も感じたくなかったのに。もう家族や故郷に帰れないなら死んでしまいたかったのに。
そのあと、また少したった頃音楽が聞こえてくるようになった。音楽?そう、悲鳴や怒号、嘲笑う声以外長いこと聞いたことがない。忘れかけていたもの。
思い出したことを残念にさえ感じた。現実はこわくて汚なくて醜いというのに。なんて音楽は美しいのだろう。
音楽は静かにずっと聞こえてくる。もうこわくないよ、酷い目にあうこともないよ、と語りかけるように。
希望が生まれてしまう。それだけはいやだ。また絶望するのは耐えられない。なのに、温かいものが口を通じて身体に染み渡る。何か食べ物を食べているのだろう。
美味しい?そんな言葉も忘れていたのに。美味しいものが、少しづつ与えられる。もっとほしいと思ってしまった。
ふと手に懐かしい感触と重みを感じた。
そうっと撫でると滑らかな肌触り、触れているだけでも癒されるようだ。手からなくなるのがこわい。だからずっと手を動かし続けていたら、そっと取り上げられ別な物が手に置かれた。
そこからいい匂いがする。誘われるように手を動かし口に入れる。気がつくとまた楽器が手に戻っていた。
そうこれは楽器だ。音楽を奏でるもの。本物だろうか?まだこわい。寝るのも起きるのもこわい。
目が覚めたような気持ち、朝だろうか?暖かい?身体に毛布が掛かっている。毛布?いつから?厚みのあるまだ新しい物のようで、ふかふかしていた。
自分の身体も服を纏っている。故郷で着ていたのとは違う作りだが服には違いない。
自分の周りには楽器が並んでいる?なぜ?優美な胴をした絃楽器、手を伸ばすと夢の中で触れていたのと同じ感触がした。わたしを慰めてくれたのはこの楽器みたいだ。
つぎに笛に触れてみる。音は鳴るだろうか?鳴らしてみたい。
そのときハッとした。急にこわさを思い出し、身を縮める。毛布を握りしめ辺りを見回す。
ここは何処?洞穴のようだ。牢獄のような臭くて汚い場所にいたはずなのに。ここは匂わない。反対側にも寝床らしきものがある。
こわい。こわい。その時、また音楽が流れていることに気がついた。
毛布と一緒に抱きしめていた笛を見る。つぎにいつ笛を手にできるか分からない。誘惑に抗いきれず笛をふく。思っていた通りのやさしい音色。
これが現実逃避だと分かっているが、どうしても現実に向き合えない。心が逃げるままに笛や竪琴を弾き続けた。
side ある魔狼???
散歩から帰ると相部屋?のもうひとりの住人が笛を吹いていた。なかなかの腕前だと思う。いつ正気に戻ったのか知らないが、まぁよかったのではないか?
この洞穴の主人は心配していたみたいなので、今の姿を見れば喜ぶだろう。自分もあの主人以外に話し相手が欲しかったところだ。魔族同士の情報収集の意味もある。
驚かさないように静かに様子を見る。しばらく笛を吹いて満足したのか、今度は竪琴を弾き始めた。聞いたことのない曲だが美しい調べだ。
おや、ここの主人も気がついたらしい。近づいてきた気配が止まったが、遠ざかっていく。
side 主人公
あれ、音楽が聞こえる。笛?もしかしてハーピーさん?入り口を狼さんがふさいでいる。あぁ、驚かさないようにしているのかぁ。
やっぱり狼さんは社会性のある種族だと思う。そうでないと、具合の悪かった相手を慮ったりしないだろう。
しかも音楽鑑賞しているということは、芸術に対して理解があるということ。さて、それはそうとどうすればハーピーさんをこわがらせずにすむだろう。
とりあえず、自動で流していたバックミュージックをハーピーさんの思念に合わせて合奏にしてみた。すごいな、力量が並じゃないだけに神の御前で演奏されそうな調べだ。
観客が2人だけなのがもったいないほどだ。録音したいな、あれっ、帝国で使った魔道具は?いやそんなことはあとだ。
そろそろお昼ご飯なので、お盆にスープとパンをのせて持っていく。狼さんは入り口から下がってくれた。中に入ると弾き終わったまま呆然とした様子のハーピーさん。
表情のしっかりしたハーピーさんは、はじめて見た。少し表情があるだけでこんなに印象が変わるのか。かなりの美形と思っていたが、すごい美形の間違いだった。
ゆっくりと近づきハーピーさんの前にお盆を置いて、スープをよそったお椀をハーピーさんの手に置く。スプーンも持たせるとゆっくりハーピーさんが食べてくれた。
「お…し…。美味しい…。」
小さな声だったが喋ってくれた。よかった、口にあって、と小さな声で返す。食べ終わると精魂尽きたかのようにまた寝てしまった。
狼さん、と狼さんにもスープを出しながら聞いてみる。ハーピーさんって男の人だよねと。はあ?と何言ってんだと言わんばかりの顔で見られた。
何を今更、見て分からないのか?みたいな目で見てくる。いやだって、ハーピーって女性だけだったような?
それでどうやって繁殖するんだと反論された。あれっ、でも中にはどちらかの性別のみの種族とかなかったっけ?
ほかは知らないが、魔族には男女があるという。そうか、前世の知識とごっちゃになっていたのだろう。
では、と今度はなぜハーピーさんには手があるの?と聞くとなぜないと思ったんだと聞き返された。
ハーピーにもいくつかの種族がある、しかもコイツはハイパーピーだ。手があってもおかしくない。ついでに完全な人型をとることも能力的にはできるはずだという。
あらー、なんだかこちらのハーピーさんはわたしが思っていたのとずいぶん違いそうだ。
ねえ、もしかして狼さんも人型になれるのでは?と聞くとできるけれども今はやらないという。従属の契約下では能力が上手く使えないのだそうだ。
ならば契約を解除するよ、というと驚いているようだ。あの時はずいぶん興奮していたし、見境がなさそうだったけれど今は復讐の相手を認識しているでしょう?と。
だから解除しても村とか町とか襲わないよね?と聞くと誰からかまわず襲うことはもうしないという。今は種族を守るため、敵を確実に排除したいというので解除してあげた。結界もはずす。これで自由だ。
一度帰らなくてもいいのかと聞くと、遠いからというので、だったら送るしまた来るなら迎えに行ってもいいよと言うと変な顔をしていた。
わたしにはあまり大変ではないことは、いずれ分かるだろう。
狼さんは、スープを飲みながらパンもよこせと言う。あげたけど、食費が嵩みそうなのでここにいるなら働いてくれと交渉した。
何をすればいい、というから素材を狩ってくるとか、何か作って売るとか、芸を見せて稼ぐのもありだと言うとそれは却下された。
何をして稼ぐか考えるというので楽しみができた。
たくさんの作品がある中で
お忙しい中お読みいただきありがとうございます。




