21.炎
ここはヴァイスの洞窟。
俺は洞窟へ戻った後、せっせと倒木や草を洞窟の中に運び込んだ。
何かの材料に使えるかもしれないからな。
そうこうしているうちに、太陽(?)が沈み夜になった。
この異世界、月(夜の星)の明かりが驚くほど強いので、植物で蓋をしているこの洞窟内でもかろうじて物が見える。
今、手元にある俺の私物をメモすると、こんな感じだ。
ちなみにこのメモは、椅子をテーブル代わりにして紙に書いている。
――――――――――――――――――――――――
草と木で作った背負い籠x1
青いナイフx4
青い槍x1
壺x1(小魚入り)
椅子x6
紙x20(メモ1地図1新品18)
鉛筆x1
定規
――――――――――――――――――――――――
ふーむ、そろそろ敷物でも作るか。
今は椅子3つ並べた上に草を敷き詰めて寝ているが、敷物があれば地面で寝ても汚れないよな。
いや、その前に動物用の罠が先だな。
当分の食糧事情を解決しなければならない。
時間も【描写物実体化】スキルも有限だから、優先順位をつけるべきだ。
――――――――――――――――――――――――
1.安定した食料確保の手段
2.安全の確保(モンスターだけでなく天候から身を守るのも含む)
3.神様からの依頼進行
4.快適な生活
――――――――――――――――――――――――
優先順位としては、こんな感じか。
とりあえず、そろそろヴァイスが活動を始める時間になる。
ボコッ!
地面から骸骨の頭が生えてきた。
「コンバンハ、尖! 今日モ、イイ天気デスネ!」
「ヴァイス! 今日も世話になるぜ!」
洞窟内が、ヴァイスの目の光により明るくなる。
「俺は今から小魚を焼くが、ヴァイスもどうだ?」
「ヨケレバ、ゴ相伴ニ預カリマショウ」
「……あれ? そういえばヴァイスって食事が必要ないんじゃ?」
「食ベラレルケレド、食事スル必要ガ無イダケデス!」
「そうか。よし、焼くぞ……」
俺は、木の棒の皮を剥いた物を、枯れ木の木片に押し付け、グルグル回転させる。
原始時代は、こうやって火起こしをしてたんだろ?
俺にだって出来るはずだ。
◇ ◇ ◇ ◇
「うっ、うっ、痛いよぉ~」
「オォヨシヨシ。痛イノ痛イノ飛ンデイケー」
俺はヴァイスに頭ナデナデされていた。
ごめんなさい。
火起こし舐めてました。
手の皮が剥け、赤く腫れたところで俺はギブアップした。
むぅ、火が使えないとなると、魚料理や肉料理が出来なくなるんだが。
どうしたものか。
「俺の【描写物実体化】スキルで、火打ち石が描けたらいいんだがなぁ」
実物の写真無しに、火打ち石を、普通の石と描き分けられる自信が無い。
というか火打ち石になる原料の石って何だ?
「【描写物実体化】スキルデ、炎ヲ作リ出ストイウノハドウデショウ?」
「炎を? 物じゃないが、いけるか?」
いや、やる前から出来ないと決めつけるのは良くない。
とりあえず試してみよう。
「『ツール表示』」
炎を起こすための燃料となる木を材料に指定し、絵を描く。
木が燃えている感じは、これでどうだろう。
簡単に描いた。残り時間55分か。
「『実体化』」
この実体化を言った後、1分~5分くらいでスキルが発動したり、しなかったりする。
……。
…………。
……ポン! シュボァアアアア!
「オオ! 炎ガ現レマシタヨ!」
「ヴァイス! お前天才!」
「尖ノスキルガ凄インデスヨ!」
俺達は、炎が現れたのを見て、手を取り合ってはしゃぐ。
それから、魚入りの壺を炎の近くに置き、壺に山菜を突っ込んで、そのまま熱した。
出来上がったスープを分けるための皿が無かったので、【描写物実体化】スキルで木のお玉を1つ、木の皿と木のスプーンを2つずつ作った。
スープは塩が入っていないから薄味だったが、久しぶりの温かい飯で、とても美味いと感じた。
次の更新は未定です。




