16.注釈は無効
スケルトンのヴァイスによると、モンスターの生まれ方には3通りあるそうだ。
1つは、夜の星(空に浮かんでいる月みたいなやつ)の力で生まれる自然発生。
1つは、モンスター同士の交配。
1つは、ゴーレムなどの人工モンスター製造。
この3つが主らしい。
異界から悪魔を呼び出す召喚魔術がおとぎ話で語られているらしいが、夜の星による自然発生の亜種だろうとのこと。
「モンスターを倒すと、経験値を得て強くなるとか聞いたことあるか?」
「モシソウナラ、コノ一帯ノモンスターヲ毎晩狩ル奴ガデテクルデショウネ」
ステータスやレベルの概念はあるのだろうか。
「アア、デモ、スキルヲ沢山使用スレバ強化サレルトハ聞イタコトガアリマス。
ソノ際、身体能力モ強化サレルノダトカ」
スキルの熟練度上昇に応じて、ステータスが上昇するのか。
「剣術スキルを持っている奴が剣を振れば、スキルが強化されて力が増強される、みたいな?」
「剣術スキルナンテ、聞イタコトガナイデス」
ふーん、武器スキルみたいなのは無いのかもしれないな。
「尖、ソロソロ寝テハドウデスカ? 明日ノ日中モ活動スルノデショウ?」
「そうだな。そろそろ寝るか」
ヴァイスの眼の青い光が、少し暗くなる。
俺が眠りやすくなるように調節してくれたのだ。
ヴァイスの眼光?のおかげで、こうして夜の洞窟内でも、ほんの少し明るくなっている。
ありがたい。
◇ ◇ ◇ ◇
翌日。
俺は森へと向かった。
今日の目標も、スキルの実験。
同時に2つの物が作れるかどうか、だ。
前回は、そもそも材料が不適切という理由で失敗した。
今回は材料をそろえて挑む。
その前に、1つで成功するかどうか確かめなきゃな。
木の枝を集め、皿を描き、実体化させる。
成功だ。
次に、皿を同時に2枚描き、実体化させる。
何と成功した。
同時に3枚ならどうか、4枚ならどうか。
調べてみたいが、その前に調べたい事が1つある。
俺は10cmの皿を描き、そこに注釈をつけた。
実際の大きさは直径30cmです、と。
さて、どうだ?
出てくる皿は10cmか、それとも30cmか?
結果は……10cmの皿だった。
その後5回ほど注釈を変えて試してみたが、出てくるのは全て描いたサイズと同じ皿。
つまり、注釈は効果なし。
実物大に描かなければ駄目、ってことか。
参ったな。
光のペンだけでは色が表せない。
つまり模様のないツルツルの皿を描いても、それが陶器かプラスチックか、区別がつかない。
もちろん表現を工夫すれば、何とかそれっぽく描く事が出来る。
注釈が有効であれば、もっと楽が出来るのだがな。
スキルの製作者はきっと、『文字なぞ使ってんじゃねぇ!』みたいな奴だったに違いない。
まあペナルティが無いだけマシか。




