12.スキル失敗
俺のスキルについて話すと、ヴァイスは目を輝かせた。
「凄イ! コノ上等ナナイフモ、尖ガ作ッタノデスネ!」
「ああ。そういえば質問なんだが、スキルを使うとMPを消費するんだろう?」
「エエ」
「MPが尽きたら、どうなるんだ?
意識を失うのか?」
「イイエ? 単ニスキルガ使エナクナルダケデス。
休ンデイレバ、自然回復シマスヨ」
「ほぅ、それはいい事を聞いた」
俺が危惧していたのは、例えばMPが0になると気絶するのではないかということだった。
それが道端であれば、そのまま夜になってしまうと、モンスターに襲われるからな。
なので今まで、スキルの使用は極力控えていた。
これからはバンバン使うことにしよう。
「さっそくスキルを使ってみたいのだが、そこの土を使ってもいいか?」
「エエ、ドウゾ」
「『ツール表示』」
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最初に、材料の範囲を指定してください。
範囲:最大1×1×1メートル
射程:1メートル
残り:60分
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洞窟の床の土を指定し、使うことにした。
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次に、絵を描いてください。
残り:59分
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描くのはナイフ。
ただし、次は2つ描く。
今回は、2つの物を同時に実体化出来るかどうかの実験も兼ねている。
丁寧に描き、残り時間は21分。
「『実体化』」
さて、上手くいくか?
◇ ◇ ◇ ◇
・とある神の間
空の上に浮かぶ住居に住む女神の元へ、1枚の設計図と依頼書が届く。
「ナイフ2本を、土で作りたい?
土はインゴットじゃないんだな。
寝言は寝てから言うんだなぁ」
空欄に、材料が不適切、と書き、送り返した。
猫神と違い、この神には土の構成成分の知識が無い。
この【描写物実体化】は、依頼書が届いた先の神の知識次第で、スキルが失敗する事がある。
そういう時は、運が悪かったと諦めるか、もう一度描くか、
あるいは、【描写物実体化】のレベルを上げて、届き先を指定するなどすればいい。
それを新泉尖が知るのはまだ先の話である……
◇ ◇ ◇ ◇
・ダークフレイム街道・中腹
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材料が不適切
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しばらく待って、宙にそんなメッセージが浮かんだ。
むむ、失敗か。
土の種類が違っていた?
うーん、分からん。
「済まない、失敗した」
「アララ。何ヲシテイタノカ知ラナイケド、落チ込マナイデクダサイ」
気を取り直して、もう一度スキルを使うことにした。




