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ちょとつ!@異世界にて  作者: 月蝕いくり
第七章~不意打ちシューティング~
92/112

第7話 ディーヴァ達の集い

2021/12/25追加。


 事後処理は速やかに行われた。

 と言っても起きたことの説明を州都全体に放送したくらい。

 男性陣は念の為、州都内を見回りと魔物の残滓と影響を調べに回っている。

 ベルナルド氏のパーティのお陰で魔災と気付いた者は少なかった。

 魔災の厄介なところだ。

 下手に悪い状況を知れば奇跡にすがり、規模が大きくなる。

 そのため小さな魔物の群れと遭遇したことにしてくれたようだ。

 降り注いだ魔力はバシリス嬢の試作品と説明すれば何の疑問も持たれなかった。

 体内魔力の質はごまかせないため、お嬢様が手伝ったことにしている。


「……バシリスさん、普段どれだけ町中で実験してるんですか。」


「ふーふふーんふーん。」


 その様子を聞いたお嬢様が問いかけたが、鼻歌でごまかされた。

 数え切れないほどしでかした経験を思い返せば態度でわかる。

 間違いなく、最低週に三回はやらかしているだろう。

 バシリス嬢にとっての州都は、お嬢様にとってのお屋敷なのだ。


「そ、そんなことよりも今回の件ですわ。」


「試運転を狙った襲撃とは規模が違います。言葉通り死人に口なし、工作員含めて州を落とすつもりのようでした。」


 州都にはマギク州以外の観光客や商人も訪れている。

 いくら競争相手とはいえ、関係ない人々まで巻き込むのは常軌を逸していた。

 逆を言えば、フェイル州はなりふり構っていられないということだ。


「気になるのは杜撰な方法です。王国ではそれなりに距離を取って飛んでいたのですが。」


 その距離ですらお嬢様は見つけられたのだが。

 今回は、わざわざ外壁から確認できる場所まで近づいていた。

 魔災の混乱、停滞による魔力隠匿があっても迂闊と言わざるを得ない。


「確実に落とせると思っていたのかも。だとしたら、油断が過ぎる」


 指で鋼糸を弄りながらミリィ嬢が不愉快げに吐き捨てる。

 停滞を自分の意志で操れると考える事自体が傲慢だ。

 それは奇跡を願う者ではなく、その代償を押し付けられた魔物の領分。


「証拠を確保しといたのは正解だったな。ほれ、議会の時に追求する案件が増えた。」


「増え過ぎですわ! 戦争を吹っかけられたようなものですもの!」


 王国相手の領土侵犯、領民虐殺。

 マギク州の姫への暗殺未遂、州都陥落未遂。

 最後に世界そのものに対する魔災という冒涜。

 事前に悪印象をばらまいておいたが、そうでなくとも州の取り潰しコースだ。

 それどころか州長の一族郎党処刑も確実だろう。


「追い詰められたから道連れに……、と考えるにしては攻撃が甘かったです。」


 自爆覚悟というのであれば、違法火力も投じて一斉砲撃も行うべきだった。

 なのにそれを行わず、魔物と毒ガス、中途半端な暗殺者しか送り込まれていない。

 外壁付近を飛んでいたのも観測以上の意味はなさそうだ。

 これではまるで――。


「そう、墓荒らし(グレイヴン)が入り込んでいたのさ!」


 ずばーん、と大仰な効果音が入る勢いで窓から人が飛び込んできた。

 そのまま数度受け身を取って、どどんと胸を張る。

 今お嬢様達がいる場所は、州長の屋敷の中でも断崖絶壁に囲まれた場所だ。

 あんな事があった矢先、警戒レベルも最大に引き上げられている。

 そんな状況で、こんな砕けた登場の仕方をする人物は一人しか思い当たらない。


「……レオンさん、どうしてここに?」


「やっほう、エルさん! ミリィの様子を見に来たよ!」


 ミリィ嬢のような闇に紛れる服を着込んだレオン嬢。

 王国貴族の一員にしてグラウンド一味頭目の娘、その実態はお嬢様の学友だ。

 手練が揃っているにも関わらず、躊躇ない侵入にバシリス嬢が固まっている。


「姐御、心配しすぎ。……ぐえっ。」


「可愛い妹分の古巣が騒がしいって聞いたから!」


 圧倒的な胸部がミリィ嬢の頭部を圧迫した。 

 束縛を嫌う猫人がそれを許すはずがない。

 思い切り鋼糸で首を狙うが、ひょいひょいと避けられている。


「……頭が痛くなってきましたわ。エルさんのお知り合いですの?」


「ええ。身元は私が保証します。」


「お初にお目にかかります。フェルベラント王国グラウンド領領主が娘、レオン・サー・グラウンドと申します。火急の用ゆえ、礼を失することはご容赦願います。」


 額を抑えて呻くバシリス嬢を前に、レオン嬢が名乗りを上げた。

 ドレスは着用していないため、騎士としての礼を行い身分を明かす。

 解き放たれたミリィ嬢は距離を取って警戒モードに入った。


「バシリス・レグル・マギクですわ。こちらも戦後処理のため、ろくに歓迎できずに申し訳有りません。」


 緊急時のやり取りは簡素ながらも身分に応じたもの。

 お嬢様は信じられないものを見るような目をした。


「あのレオンさんがきちんとした挨拶を!?」


 学園時代、お忍びと称して振り回されていたのが嘘のようだ。

 授業中も散々叱られ、特に礼儀作法に関しては泣きついてきたというのに。

 まるで信じられない、偽物ではなかろうかと疑う視線にレオン嬢が唇を尖らせる。


「あたしだって成長するよ! ……ごめん嘘、急遽カリストさんに叩き込まれました。」


 側に内心を読むことに長けるフォクシ嬢が控えているのだ。

 即座に本当のことを打ち明ける。

 若干瞳が虚ろになっているため、かなり強めに教育を受けたのだろう。


「……ミズールさんでなくて良かったですね。」


 だが、まだマシな方だろう。

 地位あるもの(ノブレス)は(・)責務を負う(オブリージュ)を旨とするミズール嬢が教師ならば。

 守り通すもののために攻撃力を身に着けた彼女は非常に怖い。


「やめて想像したくない。……んん! そんなことより、さっきの襲撃に関してだけど、どうも墓荒らし一派が絡んでるみたいなんだよね。」


 不吉な想像はこれ以上したくないとばかりに話題を戻す。

 グラウンド一味として今回参加した闇組織、及びフェイル州に潜り込んだらしい。

 その結果、墓荒らしと名乗る一派が双方に働きかけたことが確認できた。

 流石裏の世界においてなお無名、存在しないと言われる組織だ。

 どさどさと鞄から計画表の束が取り出される。


「フェイル州の州長、及びその取り巻き。暗殺組織ビーイ並びに誘拐組織キナップ。その辺りがやり取りしてた手紙がこっちね。」


 手紙の内容は今回の流れを記したものだ。

 僻地を飛ぶ周期を狙い、魔災を引き起こす。

 魔物が州都を落とし、全ての生命を喰らい尽くせば証拠は残らない。

 その折ついで(・・・)に人工勇者作成手順の確認も行える。


「人攫いは、ミリィが睨み効かせてくれて助かったよー。」


 人が足りないようならキナップに攫わせたスラムの住人を追加で配置する。

 方法が確立した後は、人工勇者軍を作ってヴィオニカ連邦国を平定。

 更に数を増やし、フェルベラント王国を攻め滅ぼす。


「……質が落ちたんじゃなくて、姐御が噛んでた。」


「ああもう! 緊急議会案件ですわ!!」


 有力情報過多でバシリス嬢が悲鳴を上げる。

 ここまで来るともはや通常議会を待っていられない。

 だが、現在州都は僻地を飛んでいる。

 議会を開く要望を出し、議会都市へ向かうにはいささか時間がかかる。

 その間に追加の襲撃が来ないと断言できないのだ。

 それでも目を釣り上げて、バシリス嬢は緊急議会開催の書類の作成を始めた。


「レオンさん。墓荒らしが関係してきたということは、私の所在がバレたということでしょうか?」


 確かにお嬢様は目立つ。

 そのため極力認識阻害をかけ、姉弟子達がフォローしている。

 とは言え、どこかでボロをだしていたかもしれない。

 眉を寄せたお嬢様に、レオン嬢は首を振って返した。


「それが変なんだよね。王国側からの手紙も人員も、黒いのは入り込んでないはずだから。」


「つまり、以前からこちらに移っている派閥が居たということですね。」


 橋を分解するところまでは王国側からも可能だ。

 だが、連邦国内部での行動となれば王国民という身分が邪魔をする。

 その上他国では自身の力を十全に発揮できるはずがない。

 何せ巨人の呪いは王国そのものに根付いているのだ。


「推測の範囲だけど、そうだと思う。裏世界ならともかく、州に働きかけるなんて普通できないんだけど。」


「その墓荒らし(グレイヴン)とやら、魔災の魔物ではなく組織なのですわね。昨今の王国が混迷している原因ですの?」


「ええと、あの、王国のほうではどうも、私を手に入れてお父様とお母様を言いなりにさせようとしてるらしくて……。」


 お嬢様の口からは非常に説明しづらい。

 何せ自分が原因で国政が混乱し始めているようなもの。

 ただ、もともと悪いのは墓荒らしなる組織を作った面々だ。


「溺愛されていると伺ってますものね。それにしたって安直な手を考えるのですわ。」


「王国のほうの墓荒らしはそんな感じ。で、こっちの書面にちょくちょく出てくる墓荒らし。」


 事件は王国ではなく連邦国で完結している。

 手紙の差出人は墓荒らしと記されており、言葉巧みに今回の騒動を誘導していた。

 当然、フェイル州の州長へ宛てられたものも含まれている。

 それだけなら、こんな凶行に出られるはずがない。


「……この手紙自体が刻印(・・)ですね? 思考誘導でなはく、洗脳に近い痕跡です。」


「うん。危なすぎたから、あたしでも壊すしかなかった。」


 ほんの僅かに残った術式の欠片。

 羊皮紙に編み込まれた真銀は高度な技術による刻印魔法として成立していた。

 獅人の心すら蝕みかける魔法とは、一体どれほど世界に負荷をかけたのか。


「うえ。お前と居ると、非常識ばっかだな……。」


「望んでいるわけではありませんからね?」


 きつくなったお嬢様の表情は、事の重大さを物語る。

 墓荒らし、と名乗る相手はどの手紙も筆跡が違った。

 込められている残存魔力も異なっている。

 つまり、既に組織だっているということだ。

 他者を尻尾きりに使うところは王国と同じだが、ここにも違和感があった。


「末端こそ王国らしい行動でしたが、裏で何人も関わってきている、という点が気になります。」


 どれだけ用心しても、お嬢様たちは一通二通の書簡にはたどり着けただろう。

 その折に墓荒らしと記されていれば、やり方から王国側からの動きと錯覚する。

 ところが蓋を開けてみれば、それを遥かに超える大事だ。

 連邦国内に同組織が存在するなど、想定外。

 レオン嬢が居なければ、気づかなかいところだった。


「そうなんだよねー。王国だったら一人二人の暴走でしょ? こっちじゃ少なく見積もって十人は関わってるもん!」


 関わる人数が増えれば、それだけ自分たちが危険に晒されるということ。

 彼らは他人の足を引っ張るだけで、歩調を合わせることは無かった。

 稀に手を組むことはあったが、全ては自滅のための行動(のろい)だ。

 単純に土地を離れたため性質が変わったのか。

 それとも時間を重ねて変質しているのか。


「少なくとも、闇組織に墓荒らしなんてなかった。」


 連邦国の闇で育ってきたミリィ嬢が断言し、レオン情も首肯した。

 これらの書類を盗ってくるにあたり、大まかに調べたのだろう。

 目先の危機は回避できたが、新しい問題が生じた。


「魔力探ってみたんだけどさ。途中から消されてたんだよね。地域もバラバラ。」


「直接体内魔力を観測するまで、誰が所属しているのか解らないということですか。」


 少し行動を見せればボロを出す王国とは趣が違う。

 議会で状況を動かしてあぶり出す策は使えない可能性が出てきた。

 そもそも本当に墓荒らし(グレイヴン)なのだろうか。

 名を騙ることで、責任を押し付けている闇組織の一派であることも否めない。

 ぎゅうとお嬢様の眉間にシワが寄り、強く瞼を閉じる。


「……考えれば考えるほど、可能性が増えてまとまりません……。」


 名前が偶然一致した可能性もあるが、嫌らしい手口は同じ。

 愉快犯や模倣犯で無いことは確かだ。

 王国に関係していると解れば、連邦国での肩身は狭くなる。

 戦争が終わっているとは言え、過去の想いは簡単に消えない。


「とりあえず、手元にある体内魔力は覚えました。見かけ次第殴ることができれば楽なのですが。」


「さっすが、学園でも覚えるのは速攻だったもんね、エルさん。」


 いくら考えても可能性のみ。

 決定打となる情報がない。

 程なくして思考を中断、碧の瞳が開かれた。


「法治国家で怖いことを仰らないでくださいまし。後ろ盾になろうにもエルシィさんの存在は公表していませんの。」


 当然するつもりはないが、ぐっさりと釘を刺された。

 突然道行く人を殴り始めれば、悪いのはその場で殴ったほうだ。

 前段階として確執があれば法廷なりで考慮されるが、それまで悪人扱いは免れない。

 たいていの人はそう言った娯楽(・・)を求め、流されてしまう。


「解ってます。元凶の根でもないのに、闇雲に手を出すことは私の契約にも関わりますので。」


「そう言えばあったねー、竜人の契約と制約。守らないと、魔力が激減するんだっけ?」


 種族そのものに根付いた決まりごと。

 人の形には過剰な魔力を操るために行われる枷の移動。

 それが竜人の契約と制約だ。


「良くて自意識の消滅、悪くて即死に至ります。」


 真っ白い空間でお嬢様はそれと向き合った。

 あれはもう一つの心臓だ。

 体内魔力という血液を全身に行き渡らせるための器官。

 これがあるからこそ、世界の中で自分という個を保てる。


「……例え、お父様とお母様であってもこれからは逃れられません。」


 移動させて固定した枷を壊してしまえば、その負担は心臓にかかる。

 大抵の竜人は本能で知るが、お嬢様は知識として解析している。

 だからこそ、世界からの断絶を通じた裏技を思いつけたのだ。


「そりゃ重い。あの化け物じみた二人が王国に縛られちまうわけだ。」


 お母様も裏技を有しているだろうし、お父様にも伝えているはずだ。

 それでもしょせん裏技止まり、正規の方法ではないので限界がある。

 だから国に縛られなかったお嬢様に託された。

 古い友が作り上げ、守っていこうと定めた二人の選択。

 ある意味お嬢様にとって血の繋がらない兄のようなものだ。

 最も国である以上、比喩として少々おかしいが。


「降り掛かった火の粉です。こうなれば王国も連邦国も変わりはありません。」


「じゃ、あたしはもうちょーっと探り入れてみるね。ミリィ、エルさんのことお願い。」


「嬉しいですけれど、無理はしないでくださいね。」


 しゅぱ、と手を上げるとレオン嬢は再び窓から出ていった。

 ミリィ嬢がべぇ、と舌を突き出して見送っている。

 さすが猫人、主人に対しても礼節など知ったことではない。


「……ところでエルさん? 今州都は僻地を飛んでいますし、この場所にも簡単に入れないはずなのですけれど。」


「お母様絡みらしいので……。」


「そういえばエルさんの周りは例外のほうが普通でしたわね!」


「やっぱそう思うよな。お袋のヤツ、絶対その辺り考えずに育てやがったな!」


 バシリス嬢の叫びにフォクシ嬢が仲間を得たと賛同する。

 ……お嬢様にもそうだろうなと自覚はあった。

 百歩譲ってドレスは使う場面もあるとしよう。

 だが冒険者家業にヘアアイロンやスキンケアの道具は必要ない。

 そんなかさばるものを持ち運ばずとも、タオルと湯で代用できる。


「ですから、できるだけ馴染もうとしているのに騒動に巻き込まれたり、余計な茶々が入ったり、勝手に推薦されたり……。」


 快適であればそれに越したことはない。

 だが、それ以前にまず基準となる視点を養いたかった。

 異世界から継いだ雑学知識(サブカルチャー)で補っているが、どうしても現実とズレはある。

 次第に可愛らしい声が低くなり、ずだん!と机に小さな拳が叩きつけられる。


「お父様もお母様もセラも、もっと行ったらツァーボ先生のクラスも含めて、なんで『普通』がないんですかぁ!」


 なお、強化も技も使っていない手では痛みが返ってくるだけだ。

 激痛にうずくまってぷるぷるしはじめる。

 文句を言うべきことではないので抑え込んでいた。

 考え事で頭が一杯の中、外から何度も指摘されると受け流すことも難しい。


「生まれた家系から普通じゃないからだろ。地位あるもの(ノブレス)は(・)責務を負う(オブリージュ)。報酬に早馬を作る宣言も大概なんだぞ。」


「うぐぐぅ……っ。六ツ葉を雇うにはそれくらいしか……。」


 至極まっとうな指摘と痛みにうめき声しかでない。

 そもそも異世界の記憶や知識がある時点で普通ではない。

 お転婆していたとはいえ、受けた教育も大貴族としてのものだ。


「エルさんの自作構想!? 俄然興味がわきますわね! 後で私の飛行船工房へ行きましょう!」


 緊急議会申請の書類を作ってバシリス嬢が手を止まった。

 お嬢様を見つめる目がぎらぎらと獲物を見るものに変わっている。

 彼女は機械姫と揶揄されるほどに蒸気技術狂だ。

 そんな話題を出したら食いつくに決まっている。

 お嬢様に関する過去から話を逸らすための撒き餌だろう。


『話題が脱線してるけど、次の動きに警戒って方針でいいのかい? ああ、こちらは数人、誘拐された人を保護したよ。』 


 その矢先、報告のために知恵ある聖獣(カイゼル)が飛んできた。

 ついでに本来話すべき内容へ方向修正。

 考えることが多すぎて、全員無自覚に逃避している。

 レオン嬢の持ってきた情報源が原因であることは言うまでもない。

 こほん、けほん、んん、とあちこちで咳払いの音が上がる。


「当面の方針はそうなります。レオンさんからの追加情報か、動くのを待ちましょう。」


「さっさと申請書を作り上げますわ。そして早馬の件、詳しく、詳しく伺いますわよ!?」


 バシリス嬢の執筆速度が一気に増した。

 羊皮紙の山がみるみるうちに減っていく。

 これは今日一日と言わず数日、拘束される。


「あっ、オレはゼルド達の授業準備してくるわ。」


「逃げるつもりですか!? フォクシさん用の早馬でしょう!?」


「蒸気機関の細かい計算や設計言われても流石に解らねぇんだよ!」


『とりあえずみんな落ち着いて。ほら、新鮮な空気送るから深呼吸。』


 三人揃えば何とやら、思考が混線すればなお姦しい。

 再びぎゃいぎゃい騒がしくなる室内から、ミリィ嬢はとっくに逃げ出している。

 全員糖分と急速を挟む必要がある。

 そう判断したカイゼルはモルド氏の元へと知らせに飛んだ。

……あっ、メリークリスマスです。

次回閑話を挟みます。

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