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第4話 偽りの勇気

幻想世界

孤独でも愛するぬいぐるみたちと祖父の言葉に心を支えられてきた少年ヒナタ

彼は元の現実から、ぬいぐるみであるレオンに導かれて、この地に降り立った

全ては、幻想世界を救うため…

様々な思惑が入り乱れる中、少年の心が世界を照らし出す――

ドラゴンを退治した翌日

ヒナタは恩のある市場に戻ってきた


「おじさん!あのときは、ありがとう!」

「おう!坊主!元気そうで何よりだ!」

おじさんは気前よくあいさつする


「ちゃんと仕事もできたし、報酬ももらえたよ!」

「そうか!よかったな!俺も助けた甲斐があるってもんだ!」

ヒナタの背中をドンっとたたくおじさん


「それで、何かお返しがしたいんだけど…」

「ああ~いい、いい!そういうのは、むずかゆくてしょうがねえ!」

「そうだな…ここで買い物してくれりゃ俺としても大助かりだな…」

そう抜け道を用意するおじさん


「わかった!じゃあ…この…トマトが欲しいな!」

「トマ…トマルのことか?」

おじさんは聞きなれない言葉に首を傾げる


「トマル…う、うんそれで!これで足りる…?」

寄り合い所で教えてもらったお金の価値で自力で計算するヒナタ


「おう!トマルが二つ、ちょうどだな!まいどあり!」

そうして、お世話になっているレイの自宅へ戻る

その帰り道、トマルをかじりながら物思いに耽る


――そっか…異世界だもんね…名前は違って当然か…一個一個覚えていかなきゃ…

そう意気込むヒナタ


その道中で


「あっ!ヒナタさん!」

「へなちょこのお兄ちゃんだ!」

エルとアルがいた


「やあ、エルちゃん…アルくん…こんにちは!」

目線を合わせるように屈んで挨拶をするヒナタ


「こら!アル!そんな言い方失礼よ!」

「へへーん!誰かに助けられないと何もできないなんて、へなちょこじゃないか!」

そう言って、アルは駆け出して行った


「ごめんなさい…うちの弟が失礼を…」

「いいよいいよ、今日も元気だね!アルくん」

まるで気にしていないかのようにヒナタは笑顔で返した


「そういえば…エルちゃんたちはいくつになるの?」

「十歳になりました!でもママはいくつって聞くと怒るの…」

元気よく答えるエル


「そっか…ちゃんとお姉さんしてて立派だね!ママさんは…そっとしといてあげてね…」

レイのことも気遣っておく


「そうだ!レオン…あの赤い猫は見なかった?」

「あの子なら…村の子どもたちと遊んでくれてる!」


「え……?」


エルの言葉に強烈な違和感を抱くヒナタ


――あの、レオンが進んで子どもの相手を…?どんな心境の変化?

――…念のため、確かめておこう


「どこにいるか、教えてくれるかな?」

「いいよ!アルもそこに行ったと思う!」

そういって駆け出すエル


嫌な予感を胸にヒナタはエルの後を追った



♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



そこは森に近い村の空き地

そこに少年と少女たちは集まっていた


「すごーい!猫さん喋ってる!」

「よーし、今日から俺の子分にしてやるぞ!」

「ダメだよ…これは、旅のお兄さんの友達なんだから…」

子どもたちの反応は三者三様だ


かくいうレオンは


「ふん…ところでお前たち、この森の伝説を知っているか?」

「伝説って?」


そう聞き返すのはアルだ

「なんでも、竜の住処に隠されているそうだ」

「どんな敵でも倒せる竜のつるぎ、それを振るうものは勇者となり、名を馳せると…」


「勇者!?」

「すげえ!!俺たちの誰かが勇者になっちまうのか!」

「すごい剣なのね!」

特に男の子たちは大盛り上がりだ


「でも…竜が守ってるんでしょ?危ないわよ…」

「アルくんのお父さんとお母さんも襲われたってわたしのお母さんも言ってたよ」

「俺たち子どもには無理か…」

女の子の指摘に、他の子どもたちは諦めムードになる中


「諦めるのは早い…話はここで終わりではないのだ…」

レオンは続ける


「ちょうど今の時期、竜は産卵後で食糧を蓄えるために巣を空けている…昨日、俺がこっそり確認してきた」

「ほんとに!?」

「でも帰ってきたら…」

まだ不安の声が上がる


「まだ、終わりじゃない…昨日、そこの少年の両親はなぜ生き延びたか知っているか?」

アルは目を見開く


「そうだ!炎の獅子!それに助けられたって、母ちゃん言ってた!」

「すごいんだぜ!めちゃくちゃ強いドラゴンのブレスなんてへっちゃらで、逆にドラゴンを骨も残さず焼き尽くしたんだ!」

アルは大興奮しながら、その時聞いたことを話す


「ほんとか?話ができすぎだぞ!」

「でも…ドラゴンは本当に出たらしいよ。冒険者のお父さんたちが、アルくんの両親が襲われた場所に行ったって…それに、ものすごい熱で何かが焼き焦がされた跡があったって…」

ガキ大将のような子が反論するが、大人しい男の子がそう言った


「じゃあ…まじなのかよ…」

「ほんとうに…眉唾じゃないんだ…」

「なら!竜のつるぎだって!勇者の話だって本当かも!!」

子どもたちは大盛り上がりだ


「さて、"勇気"ある若者たちよ…勇者の試練を受けようという者は名乗り出よ」

そうレオンは唆す


「はい!はい!俺だ!俺がなる!」

「いや、僕だ!もう…縮こまってるだけの僕じゃない!」

ガキ大将の子や大人しい子が名乗りを上げる



「違う!勇者になるのは…俺だ!」



誰よりも大きな声で宣言したのはアルだった


「父ちゃんだって…母ちゃんだって…強いんだ…俺だって…一人でも戦えるってこと…証明してやる!」

そう決意するアル


「危ないよ!大人たちは森には入っちゃ駄目だって…」

近くの少女が止める


「早く、剣を手に入れるといい…大人に見つかっては、先に取られてしまうぞ」

少女たちの制止を遮るように、レオンは唆す


「お前たち!大人たちには絶対に言うなよ!」

「僕が…勇者になるんだ!」

「いや、俺だ!」

そう言って三人の少年は森へ向かっていった


その後、レオンは何かを唱える


「リセット――」


シュピーン


その場に残った子どもたちと、森に入った子どもたちにも、何かをかけた


「あれ…なんで私たちここに…」

「何かと話してたような…」

「アルくんたちは…そうだ!勇者の伝説を信じて森に!」

今あったことを、誰に言われたか、忘れてしまう少女たち

しかし、目前に迫る危機に少女たちは慌てていた


そんな彼女らを背にレオンはヒナタの元へ向かった

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