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9話 パーキングエリア

智和は車の中で待ち、拓真は琴美を連れてパーキングエリアの女性トイレに向かった。


挿絵(By みてみん)


パーキングエリア内はやけにひっそりとしていて人の気配すらなかった。


琴美を女性トイレの中に案内し、拓真は売店に向かった。


開放感のあるパーキングエリアの売店は、異様に静かで物音一つしない。


拓真は冷蔵ケースの前に立ち、缶コーヒーを一つ手に取る。

いつもの銘柄だ。


挿絵(By みてみん)


無人のようにも思われる売店のレジに向かうと、店員がカウンターの内側でしゃがみ込んでいた。


何かを床に落としたのだろうか。


ガサゴソと音をたてながら背中だけが見えている。


「すみません」


反応はない。


「……」


拓真は小さくため息をついた。


店内に他に客はいない。


忙しい時間帯でもないというのに、こんなこともあるだろうか。


自動精算機へ向かい、缶コーヒーを置く。


挿絵(By みてみん)


だが、画面は反応しなかった。


「……故障かよ」


仕方なく、もう一度レジに戻る。


「あの、これ買いたいんですけど!」


少し声を張った。


それでも、店員はしゃがんだままだった。


その代わり、むしゃむしゃ、と湿った音が聞こえてきた。


何かを噛み砕くような音だ。


拓真の眉がわずかにひそめられる。


「……もしもし? 聞いてます?」


声をかけながら、カウンターの下を覗き込んだ。


そこには、

倒れた客の上に覆いかぶさる店員の姿があった。


店員の顔の下半分は、赤く濡れている。


口元から、赤黒い液体と、ちぎれた肉片のようなものが床に滴り落ちていた


「……っ!」


拓真は息をのみ、思わず半歩退いた。


拓真の声に反応し、店員がゆっくりと顔を上げる。

虚ろな目が、拓真を捉えた。


挿絵(By みてみん)


   ※


トイレの個室を出た琴美は、手を洗っていた。


そのとき、

後ろの個室から、低いうめき声が聞こえた。


「……?」


不審に思い、ドアに近づく。


「大丈夫ですか?」


軽く、トントンとノックした。


返事はない。


ドアの中からは相変わらず何かのうめき声が聞こえる。


気分が悪いのだろうか?


挿絵(By みてみん)


「あのー、誰か呼びましょうか?」


琴美が声をかける。


次の瞬間、

ドアがゆっくりと内側から開いた。


琴美が現れた人影を見上げる。


個室の中に入っていたのは、

顔色の悪い女だった。


口元は赤く、目は焦点が合っていない。


挿絵(By みてみん)


女は、琴美を見た。


そして、ゆっくりと、近づいてくる。


「ひっ!」


琴美は後ずさり、女がジリジリと詰め寄る。


琴美はトイレの隅へ追い詰められていった。

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