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12話 内側の脅威

白いセダンは、高速道路を走っていた。


運転席には智和。

後部座席には拓真と琴美、そして助け出した中年の女が身を寄せ合うように座っている。


挿絵(By みてみん)


(なんだったんだ、今のは…)


拓真が袖で顔の冷や汗を拭った。


誰も口を開かなかった。

エンジン音と風切り音だけが、車内を満たしている。


前方に、インターチェンジが見えた。


だが、その先で車列は完全に止まっていた。

何台もの車が折り重なるように玉突き事故を起こしている。


挿絵(By みてみん)


「……通れないな」


智和が目を凝らす。


事故現場の隙間から、

人影が這い出してくるのが見えた。


いや、それは、もはや人ではなかった。


不自然な動きで、

ワラワラと群れを成して道路に広がっていく。


挿絵(By みてみん)


「おじいちゃん!」


琴美が叫ぶ。


智和は即座にバックし、ハンドルを切った。

インターチェンジを抜け、高架を降りる。


一般道へ。


挿絵(By みてみん)


怪物達から、とにかく、距離を取る。


拓真が窓の外を見た。


並木道には無人の車が乗り捨てられ、遠くから正体不明の煙が立ち上っている


後部座席で、うめき声が上がった。


「……うう……」


中年の女が、片手を押さえて身をかがめている。


「大丈夫?」


琴美が、恐る恐る声をかけた。


女の手からは血が流れていた。どうやら奴らに噛まれたらしい。


「酷い怪我、手当しないと」


琴美がリュックサックの中から救急セットを取り出した。


手伝おうとする拓真を琴美が一瞬鋭く睨んだ。


さっき、中年の女を見殺しにして白いセダンを発車させようとした拓真に不信感を抱いているようだ。


拓真が何も言わず手を引っ込めた。苦々しい表情のまま、窓の外を見る。


琴美は辿々しい手取りでガーゼを中年の女の傷口に貼り、包帯を巻いた。


挿絵(By みてみん)


「……あ、ありがとう、お嬢さん……」


女は、か細い声でそう言った。


「……一体、何があったんですか?」


拓真が尋ねる。


女は、しばらく黙っていたが、先の惨劇を思い出しガタガタ震え始めた。

琴美が女の背中をさすると、やがて、震える声で話し始めた。


「……わ、分からないの……

娘と一緒に、大阪に行く途中で……

パーキングエリアに降りたら……

突然……あの化け物たちに……」


言葉は、途中で途切れた。


女は、再び身をかがめた。


「うう、私の娘は……」


目の焦点がズレる。

そのまま力なく崩れ落ちた。

そして、動かなくなった。


「……どうしたの?」


琴美が不安そうに覗き込む。

女は目を閉じて気絶している。

呼吸が不自然に乱れている。


拓真が女の傷口を見た。傷口が緑色に変わっていく。


拓真の背筋に嫌な予感が走った。


「父さん、一旦、病院に行こう、いや、警察の方が良いか…」


拓真の提案に智和が頷いた。


挿絵(By みてみん)


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