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第三十八話

「イザベル様、クララさん、おはようございます」

「お、おはようございます」

「「おはようございます」」


 私たち四人は、それぞれ一礼をしながら朝の挨拶を交わす。

 マルグリット様はまだ少し硬いけれど、私たちと挨拶をする際に優しい笑みを浮かべる。

 ナタリーさんの方もまだまだ緊張が残っているけれど、私たちに柔らかい笑みを見せてくれる。

 二人とも私たちと一緒に行動するようになってから、肉体的にも精神的にも気を張らなくてよくなり、毎日のように感じていた疲れもなくなったそうだ。

 そのお蔭もあってか、マルグリット様もナタリーさんも一日一日が過ぎていくごとに、身体から余分な力が抜けて柔らかい笑みが増えた。

 すると、二人の雰囲気が変化し柔らかい笑みを浮かべる事に周囲の人たちも気付き始め、徐々に二人に対する印象が良い方向に変わり出す。

 それに比例して、殿下や側近たち色ボケ男共の印象も変化し始めた。

 嫌がらせをしているマルグリット様を(いさ)め、嫌がらせを受けていたナタリーさんを気遣い、身分の差を気にする事なく親身になって助ける素晴らしい殿下たち。

 そんな賛辞を学院で受けていたのに、今では少し懐疑的に見られている。

 それというのも、あの食堂での私の言動が少なからず影響しているらしい。

 私がまずが確たる証拠を出せと反論した時に、殿下たちやローラが証拠を出す事なく、マルグリット様を一方的に責め立てた続けた。その様子を見ていた生徒たちが、証拠もなしにマルグリット様を犯人にしたがっているのでは?と、色々懐疑的に思うようになったそうだ。

 その結果、徐々にではあるが、殿下や側近たちを支持する人が減ってきているとの事。


「今日のお出掛けが楽しみ過ぎて、昨日はなかなか寝付ける事が出来ませんでした」


 マルグリット様が嬉しそうな笑みを浮かべながら、心の底から楽しそうに言ってくれる。

 そんなマルグリット様の言葉に、ナタリーさんも嬉しそうに笑みを浮かべて続く。


「私も同じです。今日が楽しみで楽しみで、なかなか寝られませんでした」


 ナタリーさんは、魔法学院に入学するために故郷を離れて王都に来て、勉強に付いていこうと毎日必死で、遊びに出掛ける事がなかなか出来なかったと聞いている。

 そこに殿下たちの付き纏いが加わり、学院外で殿下たちと出会うのが怖いからと、休日は寮の自室に籠っていたそうだ。

 それを知った時、殿下や側近たち色ボケ男共をぶん殴りたくなったのは言うまでもない。


「やっぱりそうですよね。私も、友達と一緒に遊びに出掛けるという事が、こんなにも楽しいものだとは思いもしませんでした」


 マルグリット様とナタリーさんから漏れ出た想いに、私とクララの涙腺が刺激されて、目元からキラリと光る水がスーッと流れてしまう。

 それをマルグリット様とナタリーさんに見られないように、サッと目を(ぬぐ)って光る水を消し去る。

 私とクララはニッコリと笑みを浮かべ、楽しそうに笑みを浮かべている二人に、今日一日のスケジュールを詳細に説明していった。

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