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第三十九話

 今日の四人でのお出掛けは、純粋に二人に楽しんでもらいたいという思いがあるのと同時に、私とクララにはもう一つの思惑がある。

 今までは学院内でだけ一緒に行動していたため、私たちの仲の良さを知っているのは学院の生徒たちだけ。だが、これから先本格的に計画を進めていくに当たり、私たちの仲の良さを色々な人に周知させる必要がある。

 その第一歩を、このお出掛けにしたいと私とクララは考えた。

 そこで、今回のお出掛けにカノッサ公爵家の馬車を使用することにした。使用する馬車には、誰が見ても分かるくらいはっきりと大きく、カノッサ公爵家の紋章が入れられている。

 カノッサ公爵家の紋章が入れられている馬車に、マルグリット様とナタリーさんが乗っている姿を見た者は、カノッサ公爵令嬢()と親密な相手であると認識するだろう。

 今回、公爵家の紋章が入れられている馬車を使う事をお父様たちに相談した所、周囲にまざまざと見せつけてきなさいと笑顔で言われた。

 お父様もお母様も、マルグリット様とナタリーさんの事を非常に気に掛けている。

 ナタリーさんの方に至っては、カノッサ公爵家の影の者や人脈をフルに使って、ご実家であるコーベット男爵家にも接触を始めている。

 コーベット男爵やご家族は、娘が元気で勉学に励んでいる事を喜びつつも、殿下や側近たちに色々な意味で目を付けられている現状に、親として複雑な心境になったそうだ。

 野心のある貴族ならば、男爵家の娘が王子と恋仲になるかもしれないと聞かされれば、その家族は色んな意味で大喜びする。

 だが、コーベック男爵家は違う。

 コーベック男爵とご家族は、貴族としてではなく家族として、愛する娘が厄介事に巻き込まれていると考えた。

 そんな愛する娘を守るために、コーベット男爵はお父様たちに助力をお願いした。公爵家の力に娘が守られているのならば、下手に自分たちが守るよりも安全と考えたのだろう。


(コーベック男爵からナタリーさんを託された以上、カノッサ公爵家の力を全て使ってでも、殿下たちから守り抜いて見せる)


 御者を務める老執事――セバスに一声掛けて、一人一人順番に馬車へと乗り込んでいく。

 全員が馬車へ乗り込み終わると、御者席に座っているセバスが馬たちに合図を出し、最初の目的地である服屋へと向けてゆっくりと動き出す。

 マルグリット様とナタリーさんは、両側のガラス窓から王都の街並みを楽しそうに眺め、目に映る景色を楽しんでいる。

 二人とも子供のように瞳をキラキラと輝かせており、お出掛けをどれだけ楽しみにしていたのか改めて伝わってきて、再び涙腺が刺激され透明な水が出てきそうになった。

 王都の大きく広い石畳の道を馬車はのんびりと進み続け、一軒の服屋の前で動きが止まった。

 目の前にある服屋は長い歴史を持つ老舗でありながら、貴族や商人たちだけでなく、平民が気軽に買う事が出来る値段の物も取り揃えている店。

 店員さんたちの接客は一流で素晴らしく、()つ親しみやすい人ばかりなのが、この店の良き所であり特徴でもある。

 お出掛け初心者である二人でも、気負う事なく楽しめるおすすめの店だ。


「さあ、着いたわ。マルグリット様もナタリーさんも、今日一日は色んなことを忘れて楽しみましょう」

「そうね、私たち四人で楽しく過ごしましょう」


 私とクララがそう言うと、マルグリット様とナタリーさんはニッコリと笑みを浮かべる。


「「はい!!」」


 私たちは四人は馬車を降り、ニコニコと笑みを浮かべるマルグリット様とナタリーさんと共に、服屋の出入り口に向かって歩き始める。

 そして、扉の取っ手を握って手前に引き、服屋の中へと突入していった。

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