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第三十七話

 学業と味方作りに集中した一週間が終わり、心休まる楽しい休日が始まった。

 今日はウォルターさんが屋敷に来る予定はないので、クララやマルグリット様たちを誘って、王都内の様々な場所に遊びに行く。


「他の誰かと遊びに行くなんて、この世界では初めてじゃない?」


 クララがそう言って楽しそうに笑い、私も楽しみな気持ちから自然と笑みが浮かぶ。


「そうね。今から楽しみで仕方ないもの。今度は学院で親しくしている子たちも誘って、スイーツ巡りでもしましょうか」

「それいい。あの子たちにとっても、憧れのイザベラと休日にも合う事が出来るし、美味しいスイーツも食べられるしで一石二鳥ね」


 ニヤリと笑って揶揄(からか)うクララの頭を、右手を手刀の形にして軽く叩く。


「憧れのって言われても……。特別な事をしたつもりはないし、一人一人に対して普通に接しているつもりよ?」

「あの子たちがイザベラの何に惹かれたのかは、正直私にも分からないわ。それこそ、公爵家という貴き血筋に生まれた事で得た、生来のカリスマ性があるんじゃない?」

「カリスマ性って…………」


 私はなに言ってるんだと呆れた表情になるが、クララは少し真面目な表情で続ける。


「そうは言うけど、この世界は剣と魔法のファンタジーよ?そういった目には見えない力が、地球より働いても不思議じゃないと思うけど」


 そう言われると何も言い返せない。


「……でも、クララの言うカリスマ性は私にはない。それは私が一番分かってるわ」

「自分の事は自分が一番分かってるってよく言うけど、案外気づけていない事は多いものよ。他の人から見たイザベラには、本人が気づけていない魅力がいっぱいあるって事」

「そういうものなの?」

「ええ、そういうものよ」


 前世からの親友であるクララがそう言うのならば、私にはカリスマ性があるのだろう。

 公爵家という貴き血がこの身体に流れているお蔭なのか、カリスマ性という人を惹きつける力が私に備わっているのなら、今世の遠い先祖たちに深く感謝しなくてはいけない。

 それから、その貴き血を絶やす事なく次代に残してきたお爺様やお婆様、お父様やお母様たちにも感謝しなくては。

 その後も色々な話題でクララと談笑を続けていると、扉が三度ノックされ、マルグリット様たちが屋敷に到着したと報告が入った。

 私たちは談笑を中断して、玄関までマルグリット様たちを迎えに行く。

 王都で遊ぼうと声を掛けた時に判明したのだが、マルグリット様は王都の色々な場所に遊びに出掛けるのは初めてで、さらには友達と一緒に遊んで休日を過ごすのも初めてだという事。

 今までは、ベルナール公爵家での教育や王城での王妃教育など、毎日が分刻みのスケジュールで忙しくしていたそうだ。

 だから友達も出来なかったし、外に遊びに出掛ける事もなかったと。

 そんなマルグリット様に目一杯楽しんでもらいたいと、私たち三人はどんな所に連れて行こうかと色々と話し合った。

 全ては、マルグリット様の王都デビューを楽しい思い出にしてもらうために。

 これから楽しい思い出を私たちと一つ一つ積み重ね、マルグリット様が笑顔で幸せに過ごせるようにするため、私とクララは気合を入れ直して屋敷の両扉を開いた。

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