第三十話
ジャンとマークにお願いをしたあの日から一週間が経った。
今日の朝二人に挨拶をしたら、真剣な雰囲気で昼食の時に返事をすると言われた。
ジャンの方は一週間変わった様子はなかったから、恐らく協力する方向でいる事は変わらないのだろう。それに対してマークの方は、この一週間ずっと悩んでいるのが見て分かるほどだった。
だが、今日の朝に挨拶した時のマークの表情を見るに、オランド子爵家としてどうするのか決断を下した事は伝わってきた。
そして、一週間前と同じように、三人で食事を共にしながら話を始めていく。
最初に口火を切ったのは、一週間変わらぬ様子であったジャンだ。
「ここは俺からいこうか。ウォルター、俺は一週間前と答えは変わらないよ。自分の家族とも十分に話し合ったし、マリーやマリーのご家族とも話し合った。その上で決断し、この結論に至った。だから、俺とマリー、コルネ侯爵家とルブラン侯爵家はマルグリット嬢とナタリー嬢の味方となる」
「……ジャン、ありがとう」
ハッキリと断言をしたジャンに、俺はお礼を言って頭を下げる。
次にマークの方を見る。マークは、俺の目を真っ直ぐに見て頷く。その顔には迷いがなく、これが俺が出した答えであるという自信を持って口を開いた。
「俺も家族とオランド子爵家として十分に話し合い、ソレーヌやデュブール子爵家を交えて話し合った。そして、俺たちもマルグリット嬢たちに味方する事を決断した」
「……友人としてとても嬉しいが、本当にそれでいいんだな?」
最終確認の為にそう聞くと、マークは真剣な表情と雰囲気で答える。
「この一週間じっくりと話し合い、この結論に至った。もう腹は据わってる。これから先何が起ころうとも、俺たちはお前たちに付いていく。行きつく先が、天国だろうと地獄だろうとな」
マークはそう言って、俺やジャンに向かってニヤリと笑う。
その不敵な笑みに、マークの男としての意地と信念を感じる。なので、俺からはもうなにも言う事はない。
「分かった。改めて、ありがとうマーク。……それじゃあ、次の段階に進もうか」
「次の段階?」
マークの問いかけに、今度は俺がニヤリと笑って返す。
「二人とも、今週末にカノッサ公爵家の屋敷へ来てくれ。勿論、マリー嬢やソレーヌ嬢の二人も一緒に連れてな。イザベラ嬢たちと顔合わせをしてもらう。それ以外にも、これからやるべき事が沢山ある」
俺がそう言うと、ジャンもマークも想定外だと少し顔を引きつらせている。
「俺もマークも、カノッサ公爵家の屋敷に行かなきゃダメなのか?」
「顔合わせなら、マリー嬢やソレーヌの二人だけで十分だろ?」
二人が息を合わせたかのようにそう言ってくる。
その姿は、イザベラ嬢やクララ嬢に招待されて、カノッサ公爵家の屋敷に初めて向かった時の俺にそっくりだった。
そんな二人に対して、いずれ慣れるし平気にもなるさと諦めに似た思いを抱く。
何故なら、実際に俺がそうだったから。
カノッサ公爵家の屋敷に通い始めの頃は、毎回のように粗相していないかと緊張していたし、カノッサ公爵やイザベラ嬢のお兄さん方の視線が気になっていた。
だが、最近は色々と慣れてきた事もあって、気を引き締める時とそうでない時で切り替えれるようになってきた。だから、二人も慣れればそうなる。
そんな事を思いながら、嫌がる二人に向かってニッコリとした微笑みを浮かべて、抵抗は無駄であるという明確な意思を伝える。
俺の意思がしっかりと伝わったようで、二人はガックリと肩を落とす。そして、来たる日への事を考え頭を抱える。
「マーク、ジャン、次の週末が楽しみだな」
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