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第二十八話

 イザベラ嬢たちと行った秘密の作戦会議の翌週、休日明け最初の登校日の昼時、俺は友人であるジャンとマークと共に昼食を取っている。


「また女性との接し方についての相談か?」

「似たようなものだ」


 ジャンに問われてそう答えると、マークが少し不満そうな様子で言う。


「なんだそれ。ウォルター、なんで俺にも聞かないんだよ」


 そんな不満げなマークに対して、俺が言う事は決まっている。


「惚気話が長くて多い男が、二人も要らなかったからだ」

「……そう言う事なら仕方ないな」


 何を隠そう、マーク・オランドもリア充なのだ。

 婚約者であるソレーヌ・デュブール子爵令嬢と非常に仲睦まじく、互いを尊重し合って大切にしている、熟年夫婦のような穏やかな雰囲気を放つ相思相愛の二人だ。

 しかもソレーヌ嬢とマークは幼馴染で、小さい頃に結婚の約束をしていたという、色々と王道設定のあるカップルだ。

 そんなマークも、自分が惚気話をするのは何も思わないようだが、他人の惚気話を延々と聞く事は出来ない。

 以前はマークも俺の気持ちを中々理解してくれなかったが、一度ジャンの惚気話を延々と聞かせ続けた結果、なにかを悟ったような穏やかな顔をしながら謝罪をしてくれた。


「それで?今日はなにについての相談なんだ?」

「ジャン、あの時話に出た“あれ”について覚えているか?」

「おいおい、俺も話に入れてくれよ」

「お前にもこの後説明するから、今は静かに話を聞いてくれ」

「……了解」


 マークは()ねた顔をしながらも、渋々了承して静かにしてくれる。

 俺とマークが話している間にジャンは思い出したようで、もしかしてという顔をしながら口を開く。


「……アルベルト殿下たちの事についてか?」

「ああ、そうだ。今回はそちらがメインになる」


 そう答えると、ジャンがそこまでなのかという表情になる。


「マジか~。……深刻なのか?」

「大分深刻だ。行く所まで行くと、国が乱れる事もあり得るかもしれない」

「「‼」」


 俺がそこまで言い切った事に、二人は動揺や驚きを隠せない。

 この話の詳細を知らないと、ちょっとした醜聞(しゅうぶん)と考える人もいるだろう。

 だが、マルグリット嬢やナタリー嬢からも実際に話を聞いた今は、ちょっとした醜聞程度で終わりそうにない。


「まあ驚くよな。現状子供たちの争いといった感じで受け止められているが、アルベルト殿下たちが一線を踏み越えていくと、もう子供の事で済まされる段階を大きく超える」


 ジャンは俺からある程度の話を聞いているので、そこまで考えなしだったのかと呆れと驚きが混ざった表情をしている。

 対するマークはというと、話の内容はよく分かっていないであろうものの、国が乱れるかもしれないという所に動揺が収まっていない。


「お、おい⁉国が乱れるかもってどういう事だよ⁉……まさか、ソレーヌが言っていたのはこの事だったのか?」

「ソレーヌ嬢から何か聞いているのか?」


 やはり女性たちの情報網は侮れない。

 素直にそう思いつつ、マークにソレーヌ嬢がなんと言っていたのかを聞いてみる。


「あ、ああ。最近アルベルト殿下やその側近の奴ら、それにローラ・ベルナール公爵令嬢が、魔法学院でよく揉め事を起こしてるってな。ソレーヌも詳しい事までは掴めていないようだったが、マルグリット・ベルナール公爵令嬢に対して言動が酷すぎると言っていた」

「その事を知っているなら話が早い。最悪の状況になるのを防ぐ為にも、二人の婚約者であるマリー嬢とソレーヌ嬢の力を借りたい。――頼む!!」

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