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三種のドレッシング

アラビアータの試食を終えた一同

パスタと付け合わせのガーリックトーストが完成したので残るはサラダだけだ


「サラダは手抜きでいきますよ。この野菜を千切りにして貰えますか」 


宿の食品の在庫にキャベツに似た野菜があったのでそれを使う


「パスタとパンがあれだけ美味しいならサラダが貧相でも大丈夫だろう。ザクザクザク」


「素敵なメイン料理と副菜を用意していただけただけで大助かりですよ。ザクザク」


夫妻は彼が料理の手を抜くとは思わなかった

このおっさんは今まで雇った井戸汲みの労働者と比べてとても勤勉で素行が良かったからだ

2人がキャベツをきざみ終えた様子なので仕上げにかかる

といっても、コンビニ通販で仕入れたドレッシングをかけるだけだ


ドレッシングはフレンチ、ゴマだれ、イタリアンの3つから客に自由に選ばせる。これなら手抜きでも許されるだろうと私は踏んだのだ

皿にサラダを少しずつよそい最後の試食を始める


「うん! これ凄い良いよ。3つのソースから好きなものを選んで食べるってとてもお洒落だ。僕はゴマだれが好きだな。香ばしい豆の香りとドロリとした濃厚なソースが癖になるな」


「きざんだ野菜(キャベツ)だけの野菜がソースだけでここまで美味しくなるんですね。フレンチがとっても気に入りました。チーズの香りと爽やかな酸味でいくらでも食べられそうです」


夫妻からのお許しを貰えた

キャベツモドキを千切りにしただけだから少し不安だったのだ

メニューが完成したので来客分の食材、パスタ麺、トマト缶、チューブにんにく、ドレッシング三種を購入してゴトゴトとテーブルの上に並べていく


「一食辺りの材料費の原価はパスタ1束100円。トマトソース200円。ドレッシング&バター150円くらいと見ましょう。そこから更に宿で用意するパンと野菜の代金を足してください」


余裕を持って少し多めに原価率を伝える


「円? 君の出身地の通貨の単位かい?」


「失礼しました。私の食材だけで銅貨4枚と鉄貨5枚ですね。私にもロイヤリティを頂きたいので銅貨8枚で取引します」


パンと野菜を合わせると原価は千円。更に人件費と薪やお湯代もかかるのでお店の儲けは無さそうだが仕方あるまい

これでも私は食材の手配をミスした店を助ける側なのだ


「こんな美味しいのにそんな安くていいのかい? これならお客さんもきっと満足してくれそうだ」


「食材は何人分用意しましょうか?」


「傭兵のお客様が20名ですので余裕を持って30人前ほど買わせてくださいね」


交渉成立だ! そこそこ儲かったぞ

井戸汲みはサボれたし悪い話じゃあなかった

私は食材を置いて勤務を終える事になった


「では仕事も終わったのでお先に失礼させて貰います」


「カロットくん、よければ厨房の仕事をやっていかないかい? 残業代は弾むよ」


「調理法は説明した通り簡単ですので心配しなくても誰でもできますよ。それに厨房担当の人の仕事を取るのも忍びないので」


「そっか~、カロットくん。今日は本当に助かった。やっぱり君を雇って正解だったよ。僕の目に狂いはなかった」


「あらあなた、最後の採用の判断をしたのは誰だったかしら。井戸汲みはパワーがいるから若い人を積極採用したいって聞いた気がするのだけど」


「あれ、そうだっけ? あははは」


やれやれバカップルがイチャつきおって

カロットさんは話の途中だったがひっそりとその場を後にした


「一仕事終えた所だけどまだまだやりたいことがあるんだ。初めて覚えた攻撃スキル〈から揚げ爆弾〉の性能を検証せねばならんのだ」


カロットは人気のない森に向かって進んでいった

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