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食材が届かない

ガキ共から金貨を巻き上げたおっさんは午後に入っている宿屋の井戸汲みの仕事に向かう

筋力はボーナスポイントで上げる事は出来たものの結構しんどいよなアレ


少し憂鬱な思いをしながらも黙々と職場へ足を運ぶ


「おはようございます。井戸汲みの仕事に来ました」


店の扉を開けそこそこ明るいトーンで挨拶をする


いつもならカウンターに店主のノイマンさんか奥さんのコレットさんがいるはずなんだが今日は誰もいない


しかし奥からはトタトタと室内を走る足音がせわしなく聞こえてくる


「取り込み中かな。どうしたもんか」


とりあえず一服と思いポケットから煙草を取り出した所で、後ろの扉がバタンと豪快に空けられ店主ノイマンさんが現れた


「コレット! やっぱり駄目だ! 馬車が盗賊に襲われて今日の食材の納品は出来ないとの事だ! ってあれキミは」


ペコリと小さく頭を下げる。悪いねあたしゃコレットさんじゃなくてカロットくんなんだ


「大変っすね」


「ああ。困ったもんだよほんと。今日は大口のお客様が来るんだけどこれじゃあ出せる料理がない。村のお店も当たってみたんだけど運悪く今日は干し肉や野草ばっかりでね。兎かイノシシでもあればまだ良かったんだが。ハハ」


ボリボリと大きな手で頭を掻きながら愛想笑いをする店主さん

額からはダラダラと汗を垂れ流し、いつもの様な明るいカラっとした余裕は感じられない

村中走り回ったのだろう


「あなた帰っていたのね。あら、カロットさんもこんにちは」


「こんにちは!(無駄に元気なあいさつ)」


「そうだコレット! 実は」


「話はもう聞いてますよ。他のお店も商人さんが持ってくる荷物が届かなくて困っているみたいですから。お店の食材の在庫を調べて見たけどだめですね。三日前の棚卸しの為に保存の効く食材を減らしたのが悪手でした」


暗い顔をして話す2人を黙って見届ける。中々居心地の悪い空間だ


「仕方ない。ある物で済ますしかないな。パンと干し肉くらいならあるんだ」


「ええ、後は謝るしかないですね。今日お泊りになるお客様は周辺のパトロールをしてくださる兵士さんですから良い物を食べて頂きたかったですが」


「・・・・・・」


今日は大金を稼げて中々に機嫌のいいカロットさんである

この店のノイマン夫妻は温厚で実は結構好きなおっさんである

仕方ない助けてやりますか


「すいません、差し出がましい様ですが私には特別なルートがありましてね。見慣れない品となりますが食材の仕入れが可能ですよ」


「ほんとかい! 天の助けだ。いやあ良い従業員を持って僕は幸せものだよ!」


ノイマンさんが大きな手でぎゅっと力強く握手をしてくる


「ですがリスクも大きいですよ。私の祖国の食べ物ですのでこの国の人たちの口に合うかわかりませんし何より原料がかなりお高いです。食品提供での利益はない物として見ていただきたい」


「あの、ご提案はありがたいのですが特殊な食材でしたら私たちで即日の内に調理をする事は可能でしょうか? その食材の調理法も下ごしらえも知識としてありませんので」


「ここに居るじゃあありませんか。特殊な食材の流通する国に住んでいて調理法を知っている者が。些か人格には問題がありますけどね」


ニカッっと慣れない笑みを浮かべて親指で自分を指さす


「そう言ってくれると思っていましたわ。カロットさんどうかお願いします」


「もう時間がない。とりあえず食材の手配だけ早急にお願いできるかい?」


「キッチンへ案内していただけますか。実はねアイテムボックス持ちなんですよ」


時間の余裕も無いし能力を隠すのはやめだ


機嫌がいいと色々と行動が雑になってしまうのが私の悪癖なのだ


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