制裁と考察
モグラのグルスに案内され寝床まで行く
「ここは俺とエムルの寝床として使ってる。今日からお前もな。レイと出稼ぎ組の二人は少し離れたところにある小屋が寝床だぜ」
なかなか趣がある寝床だな
崖の下の岩場を掘って洞穴の住居かぁ。原始人の生活みたいだ
まぁさっきまで野ざらしで寝ていた私よりかはマシか
「グルスとエムルは洞穴なのにレイのグループは小屋なのか?」
「俺は手と目にハンデがあるし、エルムは幼すぎて稼ぎが悪いからな。立場が良くないんだ」
そうかそうか私もその立場が悪いグループの仲間入りか
そろそろいいかな?
私は菩薩の微笑みのような表情をグルスくんに向けて話しかける
「このモグラ野郎! こんな地獄みてぇな所に連れてきやがって! モグラの穴にてめえを埋めて上からコンクリかけて生き埋めにされてぇか? オオ!?」
グルスの尖った鼻を軽く捻りながら制裁を与える
「な、なんだコンクリって。鼻はやめてくれ鼻は! すまねえって! だが家なしで生活してたら遅かれ早かれレイに目を付けられてたぞ。あいつはこの村の家なしを仕切ってるんだ。役人とのコネもあるから下手を打ったらこの村から追い出されるんだ」
「クソめ、役人とのコネがあるならまともな仕事を斡旋してもらえや!」
「元犯罪者らしいからな、コネがあっても仕事につけねえんだよ」
あああああああああ
まっ、いっか。少し感情を爆発させたら大分冷静になれた
「そっかぁ、グルスくんも苦労してるんだなぁ。一緒に頑張ろうぜ!」
「何でそんな変わり身が早いんだお前は、不気味な奴だな・・・・・・」
「おや? 君の言葉でなんか怒りの感情がフツフツとぶり返してきたぞぉ、ぐへへ」
「許してくれって、そうだお前今日メシ抜きだろ。俺のを半分分けてやるよ? な?」
「無礼者! 粗末な畜生メシ半分で許されるわけがないでしょう! 第一わたしにメシを分けたら君のお腹が溜まらないじゃないか。グルスくんが腹を減らしてると思うと私はとても悲しい」
「厳しいのか優しいのかはっきりしない奴だ。飯の時間だから俺はそろそろ行くぜ。飯を食ったらもう寝るだけだから自由に行動しててくれ」
そう言い残すとクルスは晩飯を食いに杖を片手に歩いて行った
さあ一人になったところで考察タイムだ
ここの環境はすこぶる悪い、レイとかほざく鱗女が仕切っていて自分勝手な秩序やヒエラルキーを振りかざしてやりたい放題やっている可能性が高い
役に立つやつは優遇して小屋に、稼ぎの悪い奴らは洞穴に生活させてるのがいい例だ
夕飯も平等に配分されてる可能性は低いな。レイの体はふくよかで血色も良かったがグルスはどうみても痩せすぎていた
日雇いの仕事などは全部レイが斡旋して、私たちが指示された作業をする流れらしい
仕事の報酬はレイから私たちにに支払われるとグルスは言っていた。普通は本人に直接渡すよな雇用側は。ピンハネされてると見てまず間違いないだろう。仮に私がから揚げの能力で金を稼いでもロイヤリティを請求されるのは間違いないな
冗談ではない! 至福を肥やす豚に金を払う行為は私が最も嫌いとするところだ
「しばらくは大人しく様子を見て、弱みでも握るしかないな」
レイのグループを出るという選択肢もあるが、レイは自分のグループに適さない家なしは徹底的に叩き潰すらしい。散々嫌がらせをされるか、役人とのコネで冤罪等を被せられ村を追放されるのだ。
とりあえず住処の周辺の探索をするか。いざ逃げ出す決断をした時に逃走ルートを作っておこう
探索をしていると草場の陰からシクシクとか細い鳴き声が聞こえて来た
「幽霊の類は得意ではないのだがね」
勇気を振り絞り、恐る恐る声のする場所に行くと、そこに居たのはちっちゃい女の子。ハーフエルフのエムルが声を押し殺して泣いているのであった




