怖い人
モグラの獣人の住処に向かう
たいして広い村でもないしそう時間はかからないだろう
夜目が効かず杖をついて歩く割にはスイスイとスムーズにモグラの獣人は前を歩いていく
私が引き止めるまではぎこちない歩き方だったんだけどな
これゃあ一杯喰わされたのか
「随分と足取りが軽くなったな? 何か理由でもあるの?」
「俺の右側に大きな石があるだろ? あと10歩ほど歩いた所には大きな木がある。もう俺の黄金ルートに入ったからな」
疑ってすまねえええええ。猜疑心の塊のような男なんだ私は
ちなみにこのモグラの家なしとは同情だけで協力関係を結んだわけではない
から揚げで店をやる際に必要な税金や出店ルール、顧客情報を知りたかったのだ。仕事が無いみたいなので労働力としても有効活用出来そうだしホームレスなら安く買い叩けるだろう
「着いたぞここが俺の住処だ。おーい帰ったぞ」
「グルス、あんたねえ目が悪いんだから夜はあんま出歩くんじゃないよ。おや、そいつは誰だい?」
「こいつは今日この村に来た家なしだ。野宿をしていたんで勧誘してきたんだ」
「やっほー、よろしくね。気に入らなかったら言ってくれればすぐ出ていくからさ。あんま気を遣わなくていいぞ」
出迎えてくれたのは皮膚に鱗がついている30代後半くらいの女性だった
顔の半分をスカーフのような布で覆っている
「体は健康体なんだろうね? 働けない奴を養う余裕はここにないよ」
「至って健康だよ、ただ体力はある方ではないね。まぁ自分の食い扶持くらいは自分で稼ぐさ。寝る場所を貸してもらえればいい」
「それなら構わないよ。アタシのことはレイって呼びな。ここにはアタシとグルス以外にあと三人いるんだが、二人は出稼ぎの仕事にいってしばらくは戻らないよ。 エムル! 新入りだ! さっさと来な!」
「ご、ごめんなさいレイさん」
「呼ばれたらすぐ来るんだよ! ほんとに使えない子だねえ、穀潰しが!」
呼ばれて出てきたのは六才くらいの小さな女の子だった
耳が少し尖っているがそれ以外は普通の人間とほぼ変わらないというかとても可愛らしい顔だ
「スープの支度はもう出来たんだろうねぇ?」
「あ、あのまだ途中で呼ばれたからここにき」
「馬鹿! 鍋に火をかけてる途中で何でここに来てるんだい! 火事になったら責任とれるのかい!」
「ごめんなさい」
「これだからハーフエルフは嫌なんだよ常識ってもんがない、こんな厄介者のガキはさっさと消えてほしいね」
「お、おい子供相手に言い過ぎだろ」
グルスが止めに入る
「なんだいグルス、アタシに逆らうのかい? 誰のおかげでここで生活できると思ってんだい。ここが気に入らないならあんたも出て行っていいんだよ」
「す、すまねえレイ。勘弁してくれ」
「フン、あんま生意気な口を聞くんじゃないよ。アタシがここの頭だ。新入りのおっさんアンタもここで生活したいんだったらアタシに逆らうんじゃないよ。まだ働いてないアンタは今日は晩飯は無しだ。飯が食いたかったらアタシに貢献するんだよ」
「寝床に案内するぜ、今日はレイの機嫌がすこぶる悪い行くぞ」
グルスが小声で私に話すと私はその指示に従ってついていく
エムルと言う名の少女は半泣きになりながらもスープの支度に戻って行った
ひぃぃぃ、こんなとこ来なきゃよかったよ




