リン、フェンリルになる!
ギルドに報告に戻ったオレ達は、リチャード親子に感謝されたあとギルドを後にした。そして久しぶりに亜空間の家に帰ったオレは、自分の部屋の大きなベッドでそのまま深い眠りに落ちてしまった。
“ケン!” “ケン!”
オレは自分の名前を呼ぶ声に目を覚ますと、そこは真っ白な空間だった。恐らく神界なのだろう。頭に柔らかい感触を感じたオレは、上を見るとそこにはリンがいた。
「目が覚めたようですね。マスター。」
「ここは神界?」
「そうですよ。エリーヌ様がお話があるようですよ。」
「エリーヌ様は?」
「ここにいますよ。ケン。」
横を見るとエリーヌ様がオレの顔を覗き込むようにしていた。オレは慌てて起きた。
「いいんですよ。別に気にしなくても。」
「ええ。それで何か用ですか?」
「そうね。大したことではないけど、一応あなたに伝えておいた方がいいと思ってね。」
「何ですか?」
「実は、ここ最近魔族の動きが活発化してるのよ。帝国の時のようにね。」
「まさか。また、神の中の誰かが魔族を唆してるんですか?」
「その可能性があるわね。だから、一応教えておこうと思ってね。」
「誰なんですか? その神は!」
「それがなかなか尻尾を出さないのよ。嫌よね。」
ここでオレは気になることを聞いてみた。
「一つ聞いてもいいですか?」
「な~に?」
「オレもみんなと同じように普通に歳をとるんですよね? まさか不老不死とかじゃないですよね?」
「どうしてそんなことを気にするの?」
「だって、みんなが年を取っていくのに人間のオレが年を取らないのは変じゃないですか?」
「それなら心配ないわ。今の肉体はちゃんと年を取りますから。」
「なら、不老不死ではないってことですよね?」
「そうね。今の肉体では違うわね。でも、普通は死んだあと天国や地獄のような場所に行って、一定の期間を過ごした後に再び転生するんだけど、あなたは違うわね。」
「それってどういう意味ですか?」
「だって、あなた地球で死んだあと天国にも地獄にもいかずにすぐに転生したでしょ?」
「そうですけど。」
「それ以上は知らなくていい事よ。」
「わかりました。じゃあ、平和を乱す神の件、何かわかったら教えてください。」
「わかったわ。あと、リンが指輪は嫌だっていうから、創造神様にお願いしてフェンリルにしてもらうから。いいわね?」
「フェンリルですか?」
「そうよ。神獣のフェンリルよ。可愛がってあげてね。」
そこでオレは夢から覚めた。オレのベッドにはフェンリルの姿のリンがいた。まるで子犬だ。モフモフが可愛くて思わず抱きしめてしまった。
「マスター! 苦しいですから!」
「喋れるのか?」
「はい。でも、喋るのはマスターと2人だけの時だけにします。」
その後再び寝た。そして、目が覚めるとオレの部屋に女子4人衆がいた。子犬の姿のリンを順番交代に抱きかかえている。
「ローザ! 今度は私の番よ! 早く抱かせて頂戴!」
「ミレイさんの次は私ですよ!」
「ケンが起きたにゃ!」
「おはよう! みんな。」
「おはよう。ケン兄ちゃん。この子犬、どうしたの?」
「エリーヌ様から預かったんだよ。」
「エリーヌ様からですか? ケン様、またエリーヌ様にお会いになったんですか?」
「まあね。それ犬じゃないよ。フェンリルだから。」
「フェ、フェンリル様————!!」
何故かミレイが慌てて跪いた。
「どうしたの? ミレイ!」
「獣人族にとって、フェンリル様は神様のような存在にゃ!」
「ミレイ。普通にしても大丈夫だから。」
「ホ、本当にゃ?」
「ああ、オレが許す!」
「なんかよくわからないけど、許された気がするにゃ。」
その場が笑いに包まれた。その後、食堂でみんなで一緒にご飯を食べた後、再びオリント共和国に向かうことにした。
「ミサキはオリント共和国に入ったことがあるのか?」
「ないけど。でも、噂は聞いたことがあるわよ。」
「どんな国にゃ?」
「昔はオリント王国だったの。でも、前国王のオスラと貴族達が横暴で、数年前に革命が起きたのよ。」
「前国王オスラの一族や貴族達はどうしたんだ?」
「国王のオスラや酷かった貴族達は処刑されたわ。そのほかの王族や貴族達は、そのまま平民となって生活していると思うわよ。」
「奴隷制度とかないのか?」
「以前はあったけど、民主化してからはなくなったようよ。」
オレとミサキの話を他の3人が真剣に聞いていた。特にローザは自分が奴隷になった経験があるので、心配そうな顔をしていた。そんな話をしながら進んでいると、いつのまにか国境まで来ていた。
食べすぎたにゃー!
何を食べたの?
ローザのお尻にゃ!
えっ?!
桃のことにゃ!




