ひれ伏す
「昨日のどういう事??!」
朝から先輩方に詰め寄られている。帰り誘われたからかー。
「レオンハルト様と結婚します。」
「「「はー?!?」」」
「何で急にそんな事に?!」
「あのヘタレが??」
宰相室が衝撃に包まれる。まさかあの恋愛ポンコツがと。皆宰相に対してわりと酷くない?
「鈍感娘ついに落とされたんだな!」
「鈍感娘って!…凄く鈍感でした。全く気付きませんでした。」
「いやー永遠言えない人と気づかない人で進まないと思ったわ。」
良かったねーとお祝いされる。恥ずかしいな。国買わす為だった何て言えないし。
「私の愛しい人を困らせないでね。」
「宰相!急に別人じゃないですか?!」
「もうポンコツでは無いですよ。皆さん見守ってくれてありがとうございます。」
おめでとー!てレオンハルト様が囲まれている。やっぱり氷の宰相なんて噂でしか無かったんだな。
「今日よろしくお願いします!」
「凄く緊張する。」
「普段緊張とかしてます?」
「全くしない。今日はさすがに緊張するよ。反対されたらどうしようって…。」
「反対されないですよー。賭けは無かった事にしようとはすると思いますけど。絶対勝ち取ってみせますからね!」
私のお嫁さんは頼りになるねって笑ってくれる。可愛い…わざとなのか?可愛すぎる笑顔にドキドキさせられる。
「他の人に可愛いところ見せないでくださいね?」
「ん?セラ以外に笑わないし大事だよ。可愛いなんて言われた事無い。」
優しく微笑んでくれ口づけが落とされる。格好良い上に可愛いとか最強でしょ。
「連れてきたか?誰を連れて来たのだか!!年明ける前に降伏したらどうだ?」
「ふんっ!ひれ伏すのはどちらかしらね?さぁレオンハルト様どうぞ!」
玄関前で待たせていたハル様を招き入れる。我が家の玄関には不釣り合いな程、綺麗なハル様を見てお父様は目を見開き驚愕している。
「レオンハルト·メイナードです。本日はお時間を取って頂きありがとうございます。」
「嘘だろ…」
お父様が崩れ落ちている。国なんて買えるか!と叫んでいる。ハル様はお父様に近付き、私が手に入れますって言っている。
「ハル様?」
「一応代わりに島は用意したんだ。国が良いなら末端だけど王位継承権を持ってるからセラのために頑張るよ!少し時間はかかるかも知れないけど待ってて。」
「宰相様…ありがとうございます!」
お父様が涙ながらにハル様に縋っている。なんだこれ?
「いらないです!いらないから頑張らないで下さい!」
「島でいい?今度旅行に行こう。あ、結婚認められないと行けないね。」
「どうぞ!こんな変な娘ですが持っていってください!」
「義父上ありがとうございます。大切にします。」
さすが交渉術凄いな。相手の弱みを助け有無を言わさない感じ。最年少で宰相になるだけの事はある。緊張してると言いながら初手で黙らすなんて恐ろしいな。
「とりあえずこちらに入って貰ったら?」
「お母様!そうですね。ハル様どうぞ。」
「ありがとうございます。義父上も一緒に行きましょう。」
うんうんって頷くお父様。気持ち悪い。もうすっかりハル様にやられてしまっている。ソファーに座り改めて挨拶をしてお茶を飲む。
「レオンハルト殿は今回の賭けをご存じなのですか?」
「はい。恥ずかしながら私は恋愛に関してはポンコツと周りに言われていまして、今回賭けをしていただき感謝しております。まさか恋焦がれていた相手から求婚されるとは思ってもおりませんでした。」
「これにですか?」
「私にとっては何よりも素敵な女性です。感謝の恩をお返ししたく思いまして、国を買えと迫られる義父上の為に島を用意しました。」
「私酷い人みたいじゃない?」
「セラを手に入れる為には何だってするよ。国だって本気を出せば。」
「それはいいから!国もういらない!」
良かったって微笑まれる。どこまで本気かわからないのが怖い。私のためなら本当に取ってきそうなのがさらに怖いんだよね。
「では今日から婚約者って事で。」
「はい!よろしくお願いします。」
「もう連れて帰りますか?」
「は?」
「いいんですか?では遠慮なく。」
「違う違う!まだ婚約者なったとこですから!」
2人が残念そうな顔をしている。何故私が悪いみたいになっているのか。
「用意もありますし、さすがに今日はね?」
「お母様!さすが味方!」
「明日には送り出しますわ。」
「違うー!!」
何故だ。何故こんなに追い出そうとするのか。明日待ってるねって本気にしてるじゃない!どうするのよ!
「いやー男前だったなー!顔面強い上に良い奴だったわ。冷たい氷の宰相なんて嘘だったな。」
見送った後に家族で話をしていたら、お父様がハル様を褒めてくれる。
「そうでしょー!いつも優しいのよ。って何で早々に私を追い出そうとするの?!婚約者たってすぐ一緒に住まないでしょ?!」
「やっぱりやめとこうと思われる前に既成事実作って、返品されないようにしないと。」
「酷くない?親が言う事??!」
「親だから言うのよ。ステラちゃんはちょっと変だし、あれ?てなったら困るじゃない。」
「一緒に働いてるし全部知ってるよ!今さら変なとこないから!」
我が家の親が酷すぎる。さっさとハル様の所に行った方がいいのかも。絶対親より優しい。明日荷物もってお家に行こう。あのお家には美味しいご飯も待っている。そうしよう。
「今日からよろしくお願いします。」
朝から荷物を持ちハル様の家を訪れた。少し驚いた風だったけど気にしない。返品されないようにが我が家の方針に決まったので攻める。
「あれ?違った?」
「本当に来てくれたの?まだ嫌がるかなって諦めてたのに。」
あれ?思ったのと少し違うな。冗談だったのかと思ったけど、喜んでいるみたい。それならいいや。
「早く一緒に住みたかった。嫌じゃない?」
「嫌なものか!部屋用意しだしてはいるのだけど、まだ完成していないんだ。しばらく客室でいい?」
「同じ部屋じゃないの?」
うっ…と胸を押さえ思案している。まだ早くない?と言うハル様に1回一緒に寝たしと言ってみる。
「我慢できないよ?」
「うん。覚悟してきた。返品お断りだって。」
「もう…セラには勝てる気がしないよ。一生囚われてる気がする。」
「ねぇ、すっかり忘れてたけど。ハル様のご両親は?挨拶しないうちに来ちゃったんだけど。」
「あー私の両親は大丈夫。もう許可取ってるし、両親共に自由人なんだよね。引退した途端羽ばたいて、そのうち帰ってくるから挨拶はその時で。」
意外と苦労人なのか?じゃとりあえず同じ部屋でと荷物を運んでくれる。
「部屋完成したらまたそちらに運ぶね。」
「完成しても寝室は一緒?」
「…セラがいいなら。」
「やったー!朝ご飯食べてないからお腹空いたな。」
「ご飯用意させるから、ちょっと待ってね。」
本当面倒見がいいな。いくらでも選びたい放題だろうに何故私なんだろう。好きなのは聞いたけど、今度聞いてみよう。




