初恋
私が彼女を見たのは廊下を歩く姿だった。凛と前を向き歩く姿に目を奪われた。生まれて初めて一目惚れをした。こっそり見ていた彼女は笑顔が可愛くて、いつも元気で見ているととても癒された。
「宰相ー。また飲み会なってますよ?いい加減2人でって誘ったらどうですか?」
目で追い出して2年…今年奇跡的に直接の部下になった彼女を食事に誘うのは難しかった。今まで自分から女性に声をかけたこともないし、誘うなんて以ての外だった。それがこんなにも片思いを長引かせている理由だが。
「どう声をかけたらいいのか。食事に誘うと飲み会になってしまうし。はぁ…」
「あんな仕事出来るのに、鈍感娘には全くスキルを発動できないの何でですか?!見てるこっちがモヤモヤしますよ。」
ごめんと呟くとあの鈍感も問題ですけどね!って慰めてくれる。ある日また飲み会になってしまった会に遅刻して行くと、ステラ嬢が可愛い顔をして出迎えてくれた。え?ご褒美?
「宰相すいません。気付いたらステラ嬢めっちゃ酔ってるみたいで。」
「危ないの?うわっ!ステラ嬢?!」
「膝枕して?」
私に膝枕をしてくれと強請ってくる。これは拷問?ご褒美?どっち…。諦めさそうとしても全く聞かないので膝枕をしながら皆と会話をしていると、気付いたら彼女は眠ってしまったようだ。本当可愛いな。髪を撫でると手の平に擦り寄ってきて、可愛すぎてヤバいのだが。周りはニヤニヤしてくるし…早いとこどうにかしないと。
「ステラ嬢帰りますよ?起きて。起きない…どうしようか?」
「困りましたね。」
「んん…」
「あ、起きた?」
起きたと思ったら抱っこと抱きついてくる。良い匂いがマズイ。触るわけにはいかないから、女性職員が剥がしてくれるが離れない。
「持って帰ってもらえますか?」
「捕まらない?」
「嫌われてはないから大丈夫だと思いますよ。何ならあわよくばいっちゃってくださいい。」
煽らないでよって思いながら連れ帰る。首に抱きついて離れないので、抱きかかえて中に運ぶ。家の使用人たちにもニヤニヤ見られるし、何もできないの本当ツライんだから。服どうしようか…このままで許してもらおう。
「ステラ嬢?大丈夫?」
朝起きてしばらく見つめていたが、そろそろダメかとステラ嬢を起こす。眠いとくっつく彼女を襲わないよう理性を総動員する。私は神に試されているのか?
起きた彼女は普通に朝ご飯を食べ帰って行ってしまった。そこまで意識されていないのかと…私はもうどうしたらいいのかわからない。こんなに恋愛下手だとは自分でも思ってもいなかった。何年かけても良い仲にはなれない気がする…。
「あの…私と結婚しませんか?」
「します。」
は?幻聴?結婚て聞こえた?幻聴でも返事は1つだ。するに決まっている。何度かやり取りをして幻聴では無かったようだと安心する。本当に結婚してくれるのか?彼女の瞳に愛のような物は何も見えない。たった1日で何があったのかわからないが、この幸運を逃さない。
すぐさま陛下にお願いして婚約書類を用意してもらった。喜んで用意してくれて大変ありがたい。幼い頃から知っている私が片思いしていたのも知っていたし、ついに落とせたのか!と喜んでくれた。こんなに皆知ってるのに本人には全く響いてないのが切ない。最近は王宮内から社交界にも広がり誰も挑まなくなったと言うのにね。
家に誘い理由を聞くと賭けだと。まさかそんな事で求婚してもらえるなんて!ステラ嬢の父上ありがとう。千載一遇の大チャンスを頂け、彼女の家族にも一生尽くそうと決めた。
「宰相!おめでとう!ポンコツ卒業ですね!!」
あ、うん。何か複雑だよね。結局私は自分から行っていない。唯一昔から友達の補佐官には話したが、そんなの手に入れば一緒と祝ってくれた。
彼女の両親も少し変だったけど、我が家の両親も変だからいいか。そうこうしていたら彼女が荷物を持って我が家にやって来た。怒涛の幸せすぎて本当怖い。
一緒のベッドに寝ても全く手が出せず、自分のポンコツ具合に辟易してしまう。悩みは全く尽きない。




