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第8話 健康祈願

招福神社。

屋台の準備が進んでいる。

招福祭りが、近いのだ。


「にゃん!にゃん!」

猫巫女は、修行のため、大鈴ロッドを振るう練習をしている。

お祭りの準備の邪魔にならないように、すみっこで頑張っている。

「飼い主に、追い出された経験があったのね」

初日ちゃんがつぶやく。

あの後、少しだけ、心を開いた疫病ネコのヤックニャンは、森に住む理由を、少しだけ教えてくれた。


『人間の飼い主に追い出されたのですニャン。疫病ネコは、不吉だからですニャン』


ヤックニャンは、そのため、人間が嫌いになったという。

「落合浩美さんか…」

ヤックニャンの飼い主の名前だ。

10年以上前、当時・10歳。

今は、20代くらいの女性だろうか。

精神障害者らしい。

ヤックニャンの大好きだった女の娘。

ご主人様。

「近くの精神病院に問い合わせてみようかしら」

スマホをポケットから、取り出す。

初日ちゃんは、ネットで、近くの精神病院を探す。


「精神病院ですかニャ…?」


突然、一匹の猫又が話しかけてきた。

トラコ。

小柄な美少女猫又だ。

茶色の猫耳。猫の尻尾。

茶トラの猫又だ。

「トラコといいますニャ。精神病が、ひどくて…」

茶トラのトラコは、招福神社に『健康祈願』のため、やって来た。

精神病にかかった猫又だった。


第8話 健康祈願


招福神社の健康祈願のやり方。

まず、お賽銭を入れる。

じゃらり…。

そして、お祈りをする。

猫巫女が、大鈴ロッドを振る。


チリンチリン…


「後は、あの御神木の下で、健康になりたいと再びお祈りするだけにゃん」

猫巫女は、御神木を指差す。

「は、はい。ですニャ…」

トラコは、オドオドとしながら、御神木の下で、お祈りをした。

「こ、これで、もう宇宙人と会話しなくても大丈夫ですニャ…」

「宇宙人…?」

「あ、幻聴ですニャ…」

オドオドしたまま、トラコは言う。

トラコは、精神の病気。

頭の中から、宇宙人の声がするらしい。

宇宙人は、現実にいない。

つまり、幻聴。

「幻聴って、何だにゃん?」

「え、えっと…。説明できないですニャ。ただ、聞こえるだけですニャ」

「ただ、頭の中から聞こえてくるのが、幻聴なの?」

「そ、そうですニャ…」

トラコは、宇宙人の声が聞こえるタイプの精神病らしい。

「大変なのね」

「い、今は、精神病院に入院中ですニャ…」

幻聴が毎晩聞こえて、眠れないトラコは、精神病院に入院しているという。

「精神病院…!」

初日ちゃんは、ヤックニャンの飼い主『落合浩美』のことを聞く。

トラコは、首をかしげる。

「し、知らない人間ですニャ。でも、精神病の人間なら、退院して、精神病院に通院しているかもしれないですニャ…」

「そうなの。じゃあ、精神病院に通院している人を電話して聞いてみましょう」

再び、スマホに集中する初日ちゃん。


「トラコさん。病院に戻りましょう」


看護士の人が来た。

「は、はい。ですニャ…」

トラコは、看護士と一緒に精神病院に帰って行った。

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