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第6話 お願い

猫巫女は、大鈴ロッドを振るう。


チリンチリンチリン


大鈴が鳴る。

霊力が高まる。

それは、ヤックニャンの黒色のオーラを弱める。

「なかなか、やりますニャン?」

疫病ネコのヤックニャンは、反応して、自ら黒色のオーラを静める。

ヤックニャンは、ひと息つく。


「さすが、大福の弟子ですニャン」

猫巫女の霊力を認めたヤックニャン。

「ワタシは、ネコナカヨ市の疫病神でしたニャン」

「…?」

「今まで、人間を憎み、厄災を望んできましたニャン…」

遠くを見つめる。

人間を憎んでいる。

ヤックニャンは言った。

強い疫病ネコを、人間は恐れた。

遠ざけた。

病気を恐れる人間は、疫病ネコに優しくなかった。

嫌われた。

疫病ネコも、人間が嫌いだ。

「提案ですニャン。お願いですニャン。招福神社の招福祭りを、猫又だけでやってほしいですニャン」

頭を下げる疫病ネコ。

ヤックニャンは、お祭りが好きだった。


第6話 お願い


人間と猫又の共存する、ネコナカヨ市。

招福祭り。

招福神社のお祭り。

人間と猫又が共に楽しむ、一大イベント。

祭り太鼓に、たくさんの屋台。

皆んなが、集まるフェスティバル。


夕方。

来栖家。

「…それで、招福祭りを猫又だけでやるって、約束しちゃったの?コミコ」

部活帰りの初日ちゃんが、戸惑いの声をあげる。

猫巫女は、疫病ネコ・ヤックニャンのお願いを聞き入れた。

叶えると、約束してしまった。


『猫又だけで、招福祭りをやる』


「大福さまも困惑してたにゃん」

身をひそめる猫巫女。

あの後、招福神社に戻って、大福さまにも報告した。

ここは、初日ちゃんの部屋。

勉強机と、初日ちゃんと猫巫女の二人分のベッドがある。

棚には、少女マンガ雑誌と、今までの宝くじ研究をまとめたファイルが並んでいる。

「大福さまは、招福神社の招福祭りは、人間と猫又のためのお祭りだって言ってたにゃん。猫又だけでは、できないって言ってたにゃん」

「それは当然よ。お祭りは、皆んなのものだわ」

疫病ネコをお祓いしに行ったはず。

お願いを聞きに行ったワケでは無いはず。

初日ちゃんは、理路整然と反発する。

「お願いされたにゃん。アタシは、お願いされたら断れないにゃん」

困る猫巫女。

招福神社で、祈願をお手伝いする。

祈願成就のお手伝いをする。

福を呼ぶ、招き猫になりたい、修行中の猫巫女。

相手が疫病ネコだって、お願いされたら叶えてあげたい。

「コミコが、そういう娘なのはわかるわ。でも、人間の私だって、招福祭りに行きたいのよ」

「あ、…ごめんにゃん。初日ちゃん」

「いいわ。今度は、私も一緒に行くわ」

初日ちゃんは、明日、一緒にネコナカヨ市の森へ行くと言う。

「説得して、お願いをやめてもらいましょう」

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