第4話 大福さま
招福神社の祈願は、簡単。
まず、お賽銭を入れる。
ふぁさり。
今回のお賽銭は一万円札だ。
そして、祈願希望をお祈りする。
「野球部の関東大会必勝だぜ」
伊集院くんは、強気にお祈りする。
その後、修行中の猫巫女が大鈴ロッドを鳴らす。
チリンチリン
「これで、準備は完了にゃん」
この後、招福神社の御神木の前で願いを叶えるのだ。
…この前の恋愛祈願は、失敗だったが。
猫巫女は、思い出して、下を向く。
「おいおい。猫巫女。どうしたんだぜ?」
「落ち込んでいるにゃん。でも、次こそは、祈願成就させるにゃん!」
気を取り直した猫巫女は、必勝祈願のためにどうするか、伝えようと思う。
しかし、必勝祈願って、どうするんだっけ?
つい、忘れてしまう。
「どうしたの?コミコ」
初日ちゃんが、心配そうな顔をしている。
「え、えっとにゃん…っ」
忘れたと言い出せない猫巫女は、慌てふためく。
「必勝祈願は、願いを叶えたい者が、招福神社の御神木の下で、お辞儀をするのニャア」
おおらかな女性の声がする。
「おお、そうかだぜ」
伊集院くんは、ズボンのポケットから、スマホを取り出す。
「野球部のナインを呼び出すぜ」
そう言って、野球仲間に電話をする。
第4話 大福さま
招福神社には、偉い猫神さまがいる。
大福さま。100歳。
猫又のふくよか美人。
真っ白な猫耳と猫の尻尾。
ツインカラーの紅白髪。
オカメ顔の少し美人である。
猫巫女のお師匠さまだ。
「大福さま、ありがとうございましたにゃん」
猫巫女は、頭を下げる。
「忘れたのニャア?忘れたのニャア?」
「…わ、忘れましたにゃん」
「お主は、まだまだ、これからだニャア」
大福さまは、偉い猫神さま。
紅白の着物を身にまとう。
昔から、招福神社の祈願成就をしてきた。
そのご利益は、とても凄い。
しかし、長年に渡る祈願成就の連続で、その力は弱まってしまった。
今は、弟子の猫巫女に招福神社を任せている。
「猫巫女には、これからに期待しているニャア」
招福神社では、代々猫又の巫女が、参拝者の祈願のお手伝いをしている。
猫巫女には、頑張ってもらわないといけない。
「修行頑張りますにゃん」
「確かに、修行は、まだまだ必要ニャア」
大福さまは、ポンと手を叩く。
「そうだニャア」
「?」
「疫病ネコ祓いに挑戦してみるニャア?」
「…や、疫病ネコ祓いにゃん?」
びっくりしてしまう、猫巫女。
疫病ネコとは?
「疫病ネコは、人間の運気を下げるといわれているネコ妖怪ニャア。その厄祓いをして、全体的運気を向上させるニャア」
人間の運気を下げる、疫病ネコ祓い。
それを、大福さまは、オススメしてくるのだった。




