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29 参拝とその後


アイリーンが兄の行動に何かを感じ取ったのと同様にベティは此処で偶然にも

リンゼイ兄妹に行き会った事でリアンの最近の変化について気付いていた。


前回の集まりの時に小間物屋の前で立ち止まってリボンに見入っていたリアンは確か ”シリル・リンゼイ様に男の子と間違われた” と言っていた。それまでは男の子と間違われた事など当たり前の様に気にも留めた事が無かったというのに。


その心境の変化の原因を探る為にちょっと試してみるのも良いかもしれない。場合に依ってはこの不器用な幼馴染の為に手助けをしてあげるべきなのかもしれない。


半年後には貴族学園高等部へ進学が決まっているアイリーンは同じ学園の学生という事もありデイジーやベティと共通の話題などで盛り上がってすっかり打ち解けた様で三人並んで前を歩いている。


その後ろをシリルとリアンが付いて歩いている、といった状態なのだが

こちらの二人は会話も無く何となく落ち着かない。

シリルは家族以外の女性と街中を並んで歩くのは初めての事である。

リアンは何時も騎士学校の仲間と一緒に出掛けるので異性と出歩く事は日常茶飯事で平気…… なはずであるのだが何故か何を話題にしていいのか分からない。


リアンは今まで経験した事の無い気まずい雰囲気に何とか前を歩く三人の会話に入ろうと試みるのだが貴族学園内の話題や今時流行りのオシャレ情報にはどう割り込めばいいのか戸惑うばかり。

最近になって ”女の子らしく見える様に成りたい” って自覚したけれど 女の子らしい振る舞いが出来る様に成るのにはまだまだ道のりは遠いのかと思って少し落ち込みかけていた時、やはり気まずい雰囲気に耐えかねたのかシリルが声を掛けて来た。


「そういえば今日のリアンの髪型、初めて目にするけれど

 とても似合っているよ」


思ってもいない言葉を掛けられ嬉しくてシリルを見上げたが目が合った途端

何とも気恥ずかしくなりすぐに下を向いてしまった。


「あ、ありがとうございます。実はリボン付けて街に出たのは生まれて初めてで……。ちょっと勇気が要ったというか周りの目が気になっちゃって。お世辞でもとても嬉しいです」


シリルは、といえば一瞬とはいえ大きなライラックの瞳をキラキラ輝かせたリアンと目が合った事に動揺して思わず斜め上に顔を反らした。


「お世辞だなんて。改めて男性と間違えていた自分が恥ずかしいと思うよ・・・」


目を泳がせながら何とか答えたが次の会話に繋がらない。

顔を赤くして俯きながら歩くリアンと視線を彷徨わせながら並んで歩くシリルは

前を歩く三人が上手くいったとばかりに

にんまりと頷き合っている事には全く気付く事が無かった。



シリルは祈りの泉に参拝してからというもの落ち着きを取り戻した様で

以前にも増して剣術の鍛錬や学業に力を入れているように見えた。

そんな兄を見てアイリーンは一緒に出掛けて賢明であったと安堵した。


エイドリアンは、というとリアンから剣の莢に付ける貴石の珠のお守りを渡されて大変喜んだのではあるが、それ以降のリアンが今までとは違ってはにかんだ様に笑ったり、時々見せる何気ない仕草が女性らしく成って来た様な気がする。リアンの些細な変化を見つけては益々気分的に落ち着きが無くなったのである。

まるで思春期の子を持つ親の心境そのものであるのだが朴念仁のエイドリアンが知る由もない事である。


   ーーー


そして迎えた王都警備騎士団入団試験当日

実技試験では思った通りシリルとエイドリアンの二人が群を抜いて目立っていた。

力技のエイドリアンに対して技が冴えているシリル。対照的な二人であるが故に好敵手と言って良いだろう。


学科試験は…… 王城警護騎士団に入団したとしても通用する実力の持ち主のシリルが群を抜いていた。


結果、主席でシリルが、次席でエイドリアンの合格が決まったのであった。


入団試験合格発表から間を置かずしてエイドリアンはタウンハウスに滞在中のベンジャミンから呼び出しの手紙を受け取った。

入団も決まり下宿先を探して騎士学校の寮を退去したり、その他にも色々な手続等やらなければならない事は多い。

そんな忙しい時期真っ只中の呼び出しに苛立ちが隠せない。


要件を書簡にて知らせてくれと手紙に認めた。すぐに

「ジョゼフィーヌの事で学園から呼び出された。注意しても聞かず、自分の文官としての立場も危うい。エイドリアンに目付け役を代わってほしい」

という内容の返答が届いた。


「冗談じゃない。今まで両親が甘やかして来た結果なのだから手に負えなければ退学させて領地に送り返すべきだ。

両親が当てになら無いのであれば次期当主であるアッシュ兄に現状を知らせる手紙を出して相談しろ。三男の自分もリアンも もう一人立ちして家を出ているのだからそんな事で当てにしてもらっては困る」


そんな内容の返答を送ってから暫く後

「アシュリー兄に相談してジョゼフィーヌは領地に送り返し自分は官舎住まいとなって王都に残り、今まで管理費等を無駄に掛けてきたタウンハウスは処分された」

という内容の手紙がベンジャミンから届いたのであった。




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