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24 入団試験前


合同合宿が終わってからの騎士専門学校の三年生は最終学年という事もあり

卒業後の進路を見据え希望する騎士団の入団試験の準備などに追われて慌ただしく過ごしていた。ほとんどの者が王都警備騎士団を希望しているが 中には騎士学校を通して募集のかかっている辺境伯領地やその他の領主お抱え騎士団に入団を希望する者もいる。


エイドリアンは騎士専門学校に入学して間もない頃から王都警備騎士団に入団して北の森の詰め所勤務に就く事を希望している。幼い頃から誰にも負けない強い騎士になる事が夢なのだ。

その夢を叶える為に日々努力してきた事を物心ついた時から間近で見て知っているリアンは エイドリアンが最近他の者は気付かない程度にどこか落ち着きがない事に気付いていた。


きっと試験を前にしてあのエイドリアンでも緊張しているのだろうと結論付けたのだが いつもリアンの事を気遣ってくれている兄が試験に臨む上で 自分が何かしてあげられる事は無いだろうかと思案する。

丁度週末は同郷の者の中でも仲の良いベティとデイジーと三人で街で会う約束をしている。自分一人であれこれ悩んでいるよりもこの機会に二人にも相談してみようと思い立った。


自分の将来が決まると言って良い就学最終年の者にとってこの時期は慌ただしい

というのは王立貴族学園高等部三年生にとっても同じである。


その一人であるシリルは無自覚とはいえ親友のお陰で胸に遣えていた正体不明のモヤモヤした感情から解放された、という事もあり王都警備騎士団入団試験に向けて集中して取り組んでいた。


普通に考えれば生徒会役員経験者というのは就職試験に於いては箔付けになる。

しかし強くなることを目標にしてきたシリルにとって生徒会役員という立場は今まで煩わしいだけであまり意味のない物だと思っていた。


しかし同じ王都警備騎士団入団試験に臨むエイドリアンは今まであらゆる面において常にトップを狙って来た様だ。

合同合宿の時にもなぜか張り合うように討伐に参加していた彼は

王都警備騎士団入団試験に挑む場合も確実にトップ合格を狙ってくるだろう。

同じ騎士団に籍を置く事になった場合、そこから先は自分にとってはライバルとなる存在だ。良い意味で常に競い合える相手となるだろう。


好敵手となるであろう彼の 実の妹と知った彼女とはその後再会のチャンスには恵まれないでいた。

オスカーが仕入れて来た情報では 毎月広場で市の立つ日に同郷の者達と交流しているという事が分っている。丁度その日に出会い、そして女性だと知った後に見かけた時も同郷の仲間達と交流していた日であった様だ。


その時は楽しそうに友人とやり取りする姿につい声を掛けそびれて見入ってしまったが、 ”本人は慣れていて余り気にしていない” と友達伝手に聞いた ”男性であると勘違いしていた”という事を謝るだけの為に態々その日に合わせて公園をうろつく訳にもいかない。

彼女が騎士団に入団して来る迄会うことは無いのだろうかと思ってしまう。


最近何時もより学習に集中しているかと思えば 時々授業中に窓の外に目を向けて上の空になっている事に気付いたオスカーが揶揄ったりするのだが本人は無自覚なのでどう仕様も無い事だ。


そしてもう一人そんなシリルの様子に気付いた者がいた。妹のアイリーンである。今までは何をする時も集中を切らさず最後までやり終えていた兄が 机に向かい学習する時には途中でペンを動かす手を止め顔を上げて溜息をつく。朝の日課となっているジョギングする姿を窓越しに見ていれば急に立ち止まり木立を見上げ疎らに咲く花や盛んにお喋りしている小鳥達をぼーと眺めている。


やはり入団試験前という事もあり 何時もは冷静沈着な兄でもプレッシャーで気分が落ち着かないのかもしれない。それならば気分転換もかねて今、学園で ”受験者の為に流行っている” と話題になっている願掛けに二人で出向くのも良いかもしれないと兄を連れ出す事にした。



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