22 周りの反応
騎士学校に戻って来たリアン達は今日も終業間近の食堂へ向かうのだが
校内に入ってからというもの廊下などですれ違う生徒たちが皆目を見開き一瞬立ち止まる。さすがのリアンも配膳カウンターに並ぶ頃にはいつもと違う周りの反応に気付いたようだ。
「えっ、僕そんなに変かなあ? まだ自分では見てないけれど
ベティ達が何も言わなかったしスッキリ纏まってるみたいだから
無意識にそのまま食堂まで来ちゃったけれど
やっぱりいつもの髪型の方が良かったのかなあ」
まだ本人は今の姿の見た目を確認しておらず 例え鏡を見たところで
自分の容姿に対して周りがどう思っているかなんて今まで気にした事が無い。
的外れな心配をしているリアンに
「この前の合宿でも目立っちゃたみたいだから注目されてんじゃね?
気にする事無いって」
と、リックが適当な理由をこじつけて納得させようとした。
ガッシャ~~ン !!
と、その時後ろの方でトレーが盛大な音を立てて床の上に落ちた・・・
終業間近で人が少なくなった事で静かになっていた学食に響いた音に
僅かに残っていた生徒達が一斉に音のした方を振り向いた。
当然配膳カウンターに並んであれこれ雑談しながら残り物の乗った
プレートを物色していたリアン達もびっくりして振り返った。
そこにはあんぐりと口を開け見慣れない姿のリアンを凝視したまま立ち尽くす
エイドリアンの姿が有った。
騒ぎの原因となったエイドリアンと目が合ったリアンが小首をかしげる。
「エド兄、どうしたの…… 大丈夫?」
リアンが真面目な顔で兄に問う。
「あ、 ああ。俺は大丈夫だが……リアンこそ何かあったのか?
ーーーその髪型はどういう経緯でそうなった?」
今まで邪魔になるからと長い髪を雑に纏めるだけであった愛末妹リアンの
突然の変化に動揺を隠せない。
「えっ、やっぱりどこかおかしい? 皆ジロジロ見て来るからちょっと不安になっちゃって。 折角ベティ達が綺麗に整えてくれたと思ってたのに似合っていないのかなあ…」
「い、いや…… そんな事は無い。全くないぞ! 良く… というか
似合い過ぎていて騎士学校では危険過ぎ・・・ あ~ いや ーーー
そう! 剣術の邪魔になるといけないから授業に出る時はリボンは
外しておいた方が良いと思うぞ…… 」
「ん~ そう… だね? エド兄がそう言うならそうするよ」
「で、何でまたリボンなんてつける気になったんだ? 今まで纏めるだけで飾りなんてつけた事無かったのに……」
「ーーー、 ベティ達がせっかく王都に出て来たんだからもう少しお洒落に気を使った方が良いって言ってリボンも選んでくれたんだ。髪型も色々考えてくれて…… 自分ではまだ見てないからちょっと心配だったんだけどエド兄が似合ってるって言ってくれたから安心したよ」
初めてのリボンを買う切っ掛けとなった 今までは日常茶飯事で気にした事も無い ”また男の子と間違われた” という出来事は何故か言いそびれて 差し障りのない理由をエド兄に説明する自分になんとなく落ち着かない感覚を覚えるリアンであった。




