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21 夕暮れの公園


その後シズ婆さんの食堂で合流し皆でわいわいがやがやと賑やかに作った昼食を済ませ、何時ものようにセントラルパークへと移動して来た一行。


男子は男同士で集まって近況の情報交換をしている。

今日の女子は何時もの流行などの情報交換はそこそこに 一人ベンチに座らせたリアンの長くて艶のある髪を ポーチから出した櫛で梳きながらハーフアップにしたり両サイドで纏めてみたり・・・数人がお喋りしながら色々な形に変えていく。


「いつも一つに纏めて紐で縛っているだけだから勿体ないと思っていたのよね」

「そうそう。いい具合の巻き毛でこんなに艶があって羨ましいわ」

「華やかな感じも似合うけどリアンはどんな髪型が好みなのかしら?」


「やっぱり剣術の邪魔にならない様に一つに纏めておいた方が

良いと思うんだけど」


一通り思い付く髪型を試した女子達は最後にリアンの意見を取り入れて

両サイドの髪を編み込んで残った髪と後ろで一纏めにして 朝、市場で見つけた

白いレースで縁取られたレモンイエローのリボンを結んだ。

優しい感じの色の取り合わせがリアンにピッタリと皆が満足した様に頷いた。


「編み込みの仕方、覚えた? リアンは器用だからその気になれば毎朝自分で出来るでしょ?」

「うん。ありがとう。寮に帰ったら鏡で見てみるよ。色々試してくれたみたいだけど 今の髪型、すっきりした感じで邪魔にならなくて良いと思う」

「ちょっと面倒かもしれないけどリアンは元が良いんだからもう少しおしゃれに気を配ればいいのに」

「ダメよ。リアンがその気になったら騎士学校中が大変な事になるわ」

「その点は大丈夫よ。何といってもエイドリアン様が

睨みを利かせているんですもの」

「でもあと半年したらエイドリアン様、ご卒業でしょ」

「でも今度は同じ王都内にいるんだから何時でも会えて

心配する事も無いでしょうね」


同郷の者の間ではエイドリアンがリアンに対して未だ過保護だと思っている節があるのだが 二年間離れているうちに其々の行動に対して干渉するという事は少なくなりつつあった。



その様子が丁度公園を通り掛かった貴族学園の三人の目に留まった。


「あれ、あそこの団体この前の騎士学校の一年じゃないか?」

「ホントだ。あの近くにいる女子達もうちの学校で見かけた事ある気がする」

「おい、あのベンチに座ってる騎士学校の制服の子

この前のリーダー格の子じゃないか?」

「そうだよ。やっぱり女の子だったんだ。今日はリボン付けてるから間違いないな。髪型の所為かこの前より一段と可愛いし一目で女の子って分かるよな」


一向に話に加わらないシリルを不思議に思い振り返ってみると

話題の女子学生に見入っている。


「どうしたシリル、 また黙り込んで?」

「んーー あ、いや、俺この前あの子の事 男子生徒だと思ってたから ”リアン君” て呼んでしまって……」

「はあ? いつ?」

「この前の北の森の合宿で一緒だった時」

「マジ? 北の森って、一番ヤバい所じゃん。あそこで合宿って事は結構な腕の持ち主って事だよな」


「討伐する場所が違ったから剣術の腕は分からないけど一緒にいる連中と

北の森へ移動した次の朝早くから走り込みとかしてたし

今年の一年は討伐数も例年になく多かったらしい」


「そうなんだ。俺ら二人は王城騎士団志望だから一緒になる事は無いと思うけど

シリルは近い将来一緒に仕事する事になるかも知れないんだろ?

 ”君” 付けで呼んで気まずい雰囲気にならなかったのか?」


「いや、全く顔色も変えなかったから まさか本当に女の子だなんて

思わなかったよ」

「本当に? でもその事と言い、この前の事と言い何ていうか 

大らかって言うか寛容って言うか ちょっと気になっちゃうタイプだな」

「それ、解る。その上可愛いしな」


「彼女は駄目だよ」

「なんだ、シリルもか? お前、例の女の子一筋じゃなかったのか?」

「そんなんじゃなくて親しそうな人がいたから」

「えっ、彼氏持ち? どんな奴?」

「騎士学校の合同合宿実行委員長兼リーダーでおまけに生徒会長」


「何それ。シリルといい勝負?」

「どうだろ。確かに魔物討伐はいい勝負だったけど、積極性はあっちが上かな」

「そっかぁ。あの女の子にしてその彼氏かぁ。世の中なんてそんなものかなあ」

「そんなものなんだろうな」


夕暮れが迫り解散して帰路に着いた同郷の面々をそれとはなしに見送りながら

なんとなく呟く三人であった。



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