13 合同合宿 其三
合宿するに当たって砦内での注意事項などが説明されてその場は解散となった。
ここから先は各学年約30人が五つの班に分かれそれぞれの学年一つずつの班と貴族学園の参加者2,3人を合わせた20人ほどの5グループでの行動となる。
三年生が務める各グループ長の元に集まりそれぞれのグループのキャンプ設営にと散っていく。
テント設営後、グループごとに用意された食材と調理器具を受け取り、既に経験のある2,3年が主導しながら調理した夕食を摂った。
就寝時は合宿と言えども男女一緒のテントという訳にはいかないので一つのテントに女子が集まる。
今年は三年生が二人、二年生と一年生がそれぞれ一人ずつの4人で過ごす。
リアン以外の女子はエイドリアンの妹が参加しているという事で目を輝かせている。エイドリアンは朴念仁で自覚が無いが騎士に見合った体格と性格、標準以上に整った顔立ちで成績優秀、中等学校の頃からかなりの注目株である。女子が集まると度々話題に上るのでリアンは兄が女子にもかなり人気があるのをを知っている。
そんな女子達は夜更けのテントの中、思い人の妹を前に恋バナで盛り上がりたいのであった・・・
「エド様って中等学校の頃もモテたんでしょ?誰か好きな人っていなかったのかしら」
「どうなんだろ、本人はモテるって事に興味ないみたいで男子とばかり連んでたし」
「それでも好みの女性位はいるんでしょ?やっぱり綺麗な人?それとも剣が命!みたいな強い人?」
「好みの女子の話って聞いた覚え無いです。よく話してるのは ”強い魔物と出会いたい” とか ”誰それの持ってるソードの切れ味には惚れ惚れするぜ” とか?」
「そ、そうなのね… じゃあどんなプレゼントをしたら喜んでくれるかしら?」
「食べ物だったら何でも喜んでますよ。この前も売れ残ったからって貰ったパンを凄く幸せそうな顔して食べてました」
「「「・・・」」」
恋バナは花開く事無く
合宿一日目の夜は静かに更けていった。
リアンの仲間たちが成績優秀な理由はリアンの人気にあった。中等学校に入学したリアンが女の子であったと知った時、それまではエイドリアンの可愛い従者と思い込んでいた面々は面食らった。女の子と知って改めて見てみるとかなり可愛い・・・
しかし傍には常に鉄壁の守り人であるエイドリアンが付いている。エイドリアンに認められなければお付き合いなんて許される訳が無い。おまけにそのエイドリアンが何処で何をする時でも涼しい顔で付いて行けるリアンである。本人も相当な実力者なのである。
エイドリアンは元よりリアンにも認められる存在になりたいと競って切磋琢磨した結果が今の状況なのである。しかし持てる力を出し切って頑張ってもこの二人には及ばなかった。
騎士学校に入学する頃にはリアンは中等学校学友のカリスマ的存在となり
抜け駆けどころか思いを告白するという対象からは外れていった。誰とでも気軽に接する性格も相まって徐々に ”気の置けないリーダー的存在の仲間” という意識に変わっていったのである。
早朝、合宿に参加している生徒の殆んどは昨日の長時間徒歩と慣れないキャンプ設営などで疲れ果てて熟睡している。
そんな朝早い時間にリアンは目覚めた。そっと衣服を着替え砦の防壁を目指す。
昨日の合宿場所についての説明で防壁の上は通行可能となっており見張りの騎士の邪魔にならなければ自主トレーニング等を行っても良いと通達されている。見晴らしもよく距離もそこそこあってジョギングするのに丁度良い。
階段を上っていくと既に先客がいて屈伸運動を行っていた。




