11 合同合宿 其一
翌日、学食で食事を済ませた生徒たちは各班に分かれてそれぞれの合宿場所へと向かって行った。
一班リーダーであるエイドリアンも入学試験総合で主席。しかしその成績は学科よりも実技試験の結果に依るところが大きい。
リアンの場合は中等科で勉強について話しが聞ける女友達が出来た。進級してからは一緒に駆け回っていたエイドリアンが王都に行ってしまった事もあり落ち着いて勉強する時間も持てるようになっていた。
そんな妹とは違い中等学校在学中の三年間、暇さえあれば仲間と領地を駆け回っていた事もあり学科の試験結果はそこそこであったのだがそれを補ったのが実技試験の成績である。
そのエイドリアンが入学して間もなくの合同合宿の魔物討伐実戦。同級生たちはエイドリアンの同郷以外の者はほとんどが魔物と対峙するのは初めてである。
今後の為にと後輩たちを指導する事を任されている二年生は一年生で経験した合同合宿後、学年単独合宿に参加したり小物の魔物討伐の場に何度か駆り出されるという経験も有ったりしてかなり場慣れしてきていた。
数人のグループに分かれて森の手前でいざ出陣!という瞬間、そのざわついた気配を感じたキラーウルフが三頭、森の中から飛び出して来た。
予想だにしなかった出来事に場慣れした二年生もその場で立ち尽くす。当然一年生は乾いた悲鳴を上げるのがやっとだ。
引率の先生がかろうじて前に出る。その間を縫ってエイドリアンを先頭に三人が教員の前へと躍り出た。一人はエイドリアンの騎士学校入学以来の親友で現サブリーダーを務めるサイラス。もう一人は貴族学園から本人の希望で特別参加していた一年生であった。
それぞれ飛び出して来た魔物に臆することなくほぼ一太刀で止めを刺した。
今度は乾いた悲鳴ではなく歓声が上がると共に初めて目にした魔物討伐の光景に戸惑いのどよめきが起こった。
突然の光景に失神寸前やら嘔吐する生徒が続出して討伐実習は一旦の中断を余儀なくされる事態となり、その後いくらか時間を置いて再会された。
そんな予想できない何かが起こる合宿である。今回の合宿の開催に当たり他の上級生が食堂で噂していたその突然の出来事とエド兄達が一年生だった時の武勇伝を伝え聞いたリアンたち仲間はワクワクが止まらない。
「でも一年生で魔物討伐に態々参加したいなんて俺達みたいな奴だよな」
「俺らはまともな精神の持ち主だけど、貴族学園のしかも一年生で魔物討伐に進んで参加するなんてちょっとサイコパスみたく危ない奴なんじゃないか?」
「それを言ってたらやっぱり僕等だって 変な奴の部類になっちゃうよ。きっと僕らみたいに13歳から冒険者やって強い騎士になるのが夢なんじゃない?」
「やっぱ強くても王都警備団目指してる学園生もいるんだ」
「警備団目指してるかサイコパスのどっちかだな」
「ボブはどうしてもそっちに持ってくんだ・・・」
リアンたちはエイドリアンの影響で入会年齢に達した時に冒険者登録を済ませている。今年リアン達と一緒に騎士学校の試験を受けた仲間で合格できなかった者の内何人かは冒険者稼業で食べていく事を決めて活動している。
エイドリアンは見えない所でも周りの者に良い影響を与えているのである。
昨日と同じく早足で歩きながら周りの生徒が徐々に無口になっていっても話に花を咲かせる面々であった。




