手が止まらないとき
「……早いな」
ノルがぽつりと漏らした。
ユルンの手が止まらない。
中央から取り、
端へ置き、
また別のものを取る。
流れるように続いている。
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「いいことじゃないか」
ユルンが言う。
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オルナが少しだけ首を傾ける。
「……考えてるか」
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ユルンの手が一瞬止まる。
「考えてる」
だが、すぐにまた動く。
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グラドが言う。
「水も、流れすぎると
形が分からなくなる」
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イセラが布を持ちながら言う。
「手が先に動いている」
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子どもが作業台の前で見ている。
「速い」
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イルロはその動きをしばらく見てから、
一つ道具を持ち上げる。
そして――
中央ではなく、
少し離れた場所に置く。
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ユルンの手が止まる。
「……どこだ」
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少し探す。
中央を見る。
端を見る。
そして、見つける。
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「そこか」
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オルナが言う。
「止まったな」
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グラドが頷く。
「見た」
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ユルンは道具を手に取り、
少しだけ考えてから使う。
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「……確かに」
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イセラが言う。
「一度止まると、見える」
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子どもが真似をする。
わざと少し遠くに置く。
そして探す。
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「見つけた」
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ノルが言う。
「速いだけじゃ足りないか」
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オルナが答える。
「見る時間もいる」
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グラドが言う。
「流れの中に、
一度の溜まり」
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ユルンが笑う。
「わざと迷うか」
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イルロは静かに言う。
「……少しだけ外すと、
手ではなく目で動きますね」
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作業台の上は整っている。
だが、
少しだけ乱れがある。
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その乱れが、
手を止める。
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そして、
また動き出す。
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速さと、
間。
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その両方が、
自然に混ざり始めていた。




