外しすぎた配置
「……どこだ?」
ユルンの声が少しだけ低くなる。
作業台の上を見回し、
棚を見て、
もう一度中央を見る。
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見つからない。
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ノルが近づく。
「何を探している」
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「さっきの刃だ」
ユルンが答える。
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オルナも覗き込む。
「見当たらないな」
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グラドが言う。
「誰か動かしたか」
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イセラが静かに言う。
「外した」
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子どもが少し離れたところで手を上げる。
「……置いた」
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「どこに?」
ノルが聞く。
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子どもは少し考えてから指をさす。
「そこ」
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そこは――
いつも使わない端のさらに外。
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ユルンが取りに行く。
「……遠いな」
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オルナが言う。
「外しすぎだ」
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グラドが頷く。
「流れから外れた」
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イセラが布を整えながら言う。
「見えない」
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子どもは少しだけ肩を落とす。
「止まると思った」
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イルロがその言葉を拾う。
「止まりましたね」
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ノルが頷く。
「だが、長い」
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ユルンが笑う。
「止まりすぎた」
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少しの間、
皆が考える。
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オルナが言う。
「外すのはいい」
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グラドが続ける。
「だが、戻れる場所の中だ」
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イセラが言う。
「見える範囲」
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ユルンが刃を中央に戻す。
「ここからなら動ける」
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子どもが小さく頷く。
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イルロは静かに言う。
「……外す場所にも、範囲がありますね」
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作業台の上は、
また少し整え直される。
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中央。
端。
そして、その間。
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外すことは残る。
だが、
遠すぎない。
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手は止まる。
だが、
すぐに戻る。
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動きは再び流れ始める。
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止めることと、
止まりすぎないこと。
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その違いが、
少しはっきりしてきていた。




