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村人の日々  作者: 昼の月
419/425

外しすぎた配置

「……どこだ?」


ユルンの声が少しだけ低くなる。


作業台の上を見回し、

棚を見て、

もう一度中央を見る。


*****


見つからない。


*****


ノルが近づく。


「何を探している」


*****


「さっきの刃だ」

ユルンが答える。


*****


オルナも覗き込む。


「見当たらないな」


*****


グラドが言う。


「誰か動かしたか」


*****


イセラが静かに言う。


「外した」


*****


子どもが少し離れたところで手を上げる。


「……置いた」


*****


「どこに?」

ノルが聞く。


*****


子どもは少し考えてから指をさす。


「そこ」


*****


そこは――

いつも使わない端のさらに外。


*****


ユルンが取りに行く。


「……遠いな」


*****


オルナが言う。


「外しすぎだ」


*****


グラドが頷く。


「流れから外れた」


*****


イセラが布を整えながら言う。


「見えない」


*****


子どもは少しだけ肩を落とす。


「止まると思った」


*****


イルロがその言葉を拾う。


「止まりましたね」


*****


ノルが頷く。


「だが、長い」


*****


ユルンが笑う。


「止まりすぎた」


*****


少しの間、

皆が考える。


*****


オルナが言う。


「外すのはいい」


*****


グラドが続ける。


「だが、戻れる場所の中だ」


*****


イセラが言う。


「見える範囲」


*****


ユルンが刃を中央に戻す。


「ここからなら動ける」


*****


子どもが小さく頷く。


*****


イルロは静かに言う。


「……外す場所にも、範囲がありますね」


*****


作業台の上は、

また少し整え直される。


*****


中央。

端。

そして、その間。


*****


外すことは残る。


だが、

遠すぎない。


*****


手は止まる。


だが、

すぐに戻る。


*****


動きは再び流れ始める。


*****


止めることと、

止まりすぎないこと。


*****


その違いが、

少しはっきりしてきていた。

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