寄りすぎる場所
中央の場所に、道具が増えていた。
最初は数点だった。
だが今は、
細かいものも、
大きいものも、
そこに寄っている。
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「……集まってるな」
ノルが言う。
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ユルンが手を伸ばす。
「ここで全部済む」
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オルナが頷く。
「動かなくていい」
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グラドが言う。
「だが、重い」
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イセラが静かに見る。
「端が空いている」
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棚の近くも、
作業台の端も、
ほとんど使われていない。
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子どもが中央を見て言う。
「……多い」
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イルロは少し間を置いてから言う。
「戻しましょう」
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「戻す?」
ユルンが聞く。
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「一度、元の場所へ」
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オルナが頷く。
「流れを分け直す」
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グラドが言う。
「水も溜めすぎると濁る」
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イセラが道具を一つ持ち、
端へ移す。
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ユルンも一つ取る。
「これはこっちだな」
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少しずつ、
道具が散る。
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中央には、
本当に必要なものだけが残る。
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子どもがそれを見て言う。
「減った」
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ノルが頷く。
「軽くなった」
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ユルンが試す。
中央から取り、
端へ手を伸ばす。
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「……ちょうどいい」
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オルナが言う。
「動くが、無駄はない」
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グラドが頷く。
「流れている」
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イセラが静かに言う。
「偏らない」
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イルロは中央を見ながら呟く。
「……便利な場所ほど、
使いすぎないほうがいいですね」
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中央は残る。
だが、
すべてを集めない。
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端も使い、
中央も使う。
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動きは分かれ、
そして繋がる。
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工房の中に、
少し均された流れが戻っていた。




