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村人の日々  作者: 昼の月
417/417

寄りすぎる場所

中央の場所に、道具が増えていた。


最初は数点だった。


だが今は、

細かいものも、

大きいものも、

そこに寄っている。


*****


「……集まってるな」

ノルが言う。


*****


ユルンが手を伸ばす。


「ここで全部済む」


*****


オルナが頷く。


「動かなくていい」


*****


グラドが言う。


「だが、重い」


*****


イセラが静かに見る。


「端が空いている」


*****


棚の近くも、

作業台の端も、

ほとんど使われていない。


*****


子どもが中央を見て言う。


「……多い」


*****


イルロは少し間を置いてから言う。


「戻しましょう」


*****


「戻す?」

ユルンが聞く。


*****


「一度、元の場所へ」


*****


オルナが頷く。


「流れを分け直す」


*****


グラドが言う。


「水も溜めすぎると濁る」


*****


イセラが道具を一つ持ち、

端へ移す。


*****


ユルンも一つ取る。


「これはこっちだな」


*****


少しずつ、

道具が散る。


*****


中央には、

本当に必要なものだけが残る。


*****


子どもがそれを見て言う。


「減った」


*****


ノルが頷く。


「軽くなった」


*****


ユルンが試す。


中央から取り、

端へ手を伸ばす。


*****


「……ちょうどいい」


*****


オルナが言う。


「動くが、無駄はない」


*****


グラドが頷く。


「流れている」


*****


イセラが静かに言う。


「偏らない」


*****


イルロは中央を見ながら呟く。


「……便利な場所ほど、

 使いすぎないほうがいいですね」


*****


中央は残る。


だが、

すべてを集めない。


*****


端も使い、

中央も使う。


*****


動きは分かれ、

そして繋がる。


*****


工房の中に、

少し均された流れが戻っていた。

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