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村人の日々  作者: 昼の月
416/417

行き来する手

「……遠いな」


ユルンが作業台の前で呟いた。


細かい道具を取り、

次に大きい道具を取ろうとして、

手が少し止まる。


*****


場所は二つに分かれている。


取りやすい。

だが――


少し離れている。


*****


ノルが様子を見る。


「どうした」


*****


「行ったり来たりだ」

ユルンが答える。


*****


オルナが頷く。


「畑でも同じだ。

 離れすぎると往復が増える」


*****


グラドが言う。


「水も回り道は重い」


*****


イセラが布を持ちながら言う。


「近いほうがいい」


*****


子どもが二つの場所を見比べている。


「……真ん中?」


*****


全員がその言葉を見る。


*****


イルロはゆっくりと頷く。


「中間を作りますか」


*****


「三つ目か」

ノルが言う。


*****


「ええ。

 よく使うものだけ」


*****


ユルンが笑う。


「いいな、それ」


*****


オルナが言う。


「全部は置かない」


*****


グラドが頷く。


「流れを軽くする」


*****


イセラが静かに言う。


「通る場所」


*****


作業台の中央に、

小さな場所ができる。


ほんの数点だけ。


よく使うもの。


*****


ユルンが試す。


細かいものを取り、

中央の道具を使い、

大きいものへ。


*****


「……いい」


*****


オルナも動く。


「止まらない」


*****


グラドが言う。


「流れたな」


*****


イセラが道具を置く。


迷わず、中央へ。


*****


子どもが小さく笑う。


「真ん中」


*****


ノルが頷く。


「繋がったな」


*****


イルロはその動きを見ながら言う。


「……分けたあとに、

 繋ぐ場所があると整いますね」


*****


二つだった場所に、

一つが加わる。


だが、

増えた感じはしない。


*****


行き来は減り、

流れは滑らかになる。


*****


動きは止まらない。


ただ、

少しだけ楽になる。


*****


工房の中に、

新しい動き方が静かに残った。

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