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村人の日々  作者: 昼の月
415/416

置きすぎる場所

作業台の端に、道具が集まりすぎていた。


重なっている。


小さい刃。

細い棒。

金具。


一つを取ると、

別のものがずれる。


*****


「……多いな」

ノルが言う。


*****


ユルンが手を伸ばす。


一つ取ろうとして、

別の道具を落とす。


「取りにくい」


*****


オルナが頷く。


「集まりすぎた」


*****


グラドが言う。


「流れが止まるな」


*****


イセラが静かに道具を一つ持ち上げる。


「重なっている」


*****


子どもが少し離れた場所で見ている。


昨日はここに置けばよかった。


今日は――


置きにくい。


*****


イルロは作業台に手を置き、

少しだけ間を取る。


*****


「……分けましょう」


*****


「分ける?」

ノルが聞く。


*****


「一つでは足りません」


*****


オルナが言う。


「二つにするか」


*****


グラドが続ける。


「種類で分ける」


*****


ユルンが笑う。


「小さいのと、大きいのか」


*****


イセラが言う。


「使う頻度でもいい」


*****


子どもが小さく言う。


「軽いのと、重いの」


*****


少しの沈黙のあと、

ノルが頷く。


「分ける」


*****


作業台の端に、

二つの場所ができる。


一つは細かいもの。

一つは大きいもの。


*****


道具が少しずつ移される。


重なりが減る。


*****


ユルンが試す。


「取りやすい」


*****


オルナが頷く。


「迷わない」


*****


グラドが言う。


「流れたな」


*****


イセラが静かに言う。


「重ならない」


*****


子どもが一つ道具を置く。


迷わず、

場所を選ぶ。


*****


イルロはその様子を見て言う。


「……一つにまとめると固まり、

 分けると動きますね」


*****


作業台の上は、

少しだけ広がる。


道具は散らばらない。


だが、

詰まらない。


*****


置く場所が増え、

起点も分かれた。


それでも、

迷いは増えない。


*****


流れは、

また少し軽くなった。

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