置きすぎる場所
作業台の端に、道具が集まりすぎていた。
重なっている。
小さい刃。
細い棒。
金具。
一つを取ると、
別のものがずれる。
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「……多いな」
ノルが言う。
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ユルンが手を伸ばす。
一つ取ろうとして、
別の道具を落とす。
「取りにくい」
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オルナが頷く。
「集まりすぎた」
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グラドが言う。
「流れが止まるな」
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イセラが静かに道具を一つ持ち上げる。
「重なっている」
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子どもが少し離れた場所で見ている。
昨日はここに置けばよかった。
今日は――
置きにくい。
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イルロは作業台に手を置き、
少しだけ間を取る。
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「……分けましょう」
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「分ける?」
ノルが聞く。
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「一つでは足りません」
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オルナが言う。
「二つにするか」
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グラドが続ける。
「種類で分ける」
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ユルンが笑う。
「小さいのと、大きいのか」
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イセラが言う。
「使う頻度でもいい」
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子どもが小さく言う。
「軽いのと、重いの」
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少しの沈黙のあと、
ノルが頷く。
「分ける」
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作業台の端に、
二つの場所ができる。
一つは細かいもの。
一つは大きいもの。
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道具が少しずつ移される。
重なりが減る。
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ユルンが試す。
「取りやすい」
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オルナが頷く。
「迷わない」
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グラドが言う。
「流れたな」
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イセラが静かに言う。
「重ならない」
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子どもが一つ道具を置く。
迷わず、
場所を選ぶ。
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イルロはその様子を見て言う。
「……一つにまとめると固まり、
分けると動きますね」
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作業台の上は、
少しだけ広がる。
道具は散らばらない。
だが、
詰まらない。
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置く場所が増え、
起点も分かれた。
それでも、
迷いは増えない。
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流れは、
また少し軽くなった。




