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村人の日々  作者: 昼の月
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混ぜるという考え

朝、工房の前の籠には昨日の青い実が少し残っていた。


数は減っている。

だが、まだ多い。


イルロはそれを見て言う。


「……どう使いますか」


*****


オルナが来る。


「そのままは酸い」


*****


グラドが続く。


「火に通すといい」


*****


ユルンが袋を抱えてやってくる。


「だが、全部は使えない」


*****


イセラが布を持って言う。


「残る」


*****


少しだけ、考える間ができる。


*****


ノルが言う。


「混ぜるか」


*****


「混ぜる?」

ユルンが聞く。


*****


ノルは続ける。


「他のものと」


*****


午前中、

それぞれが少しずつ試す。


*****


ユルンは焼き場で

柔らかい生地に混ぜる。


「どうだ」


*****


一口。


「……軽いな」


*****


グラドは水に少し入れる。


「味が出る」


*****


オルナは刻んで、

別の作物と合わせる。


「酸さが弱まる」


*****


イセラは布を染めるために使う。


「色が少し変わる」


*****


昼前、

工房の前に皆が集まる。


「どうだった」

ノルが聞く。


*****


ユルンが答える。


「そのままよりいい」


*****


グラドが頷く。


「水にも合う」


*****


オルナが言う。


「混ぜると使える」


*****


イセラが静かに言う。


「単体では早い」


*****


イルロは実を手に取りながら言う。


「……足りないものは、

 足すのではなく

 混ぜるほうがいいですね」


*****


午後、

青い実は少しずつ形を変える。


そのままではなく、

他のものと一緒に。


*****


夕方、橋の上。


ユルンが言う。


「熟すまで待たなくてもいいな」


*****


オルナが頷く。


「今でも使える」


*****


グラドが川を見ながら言う。


「流れに入れればいい」


*****


イセラが布を畳む。


「混ざると残る」


*****


イルロは籠を見ながら呟く。


「……完成していなくても、

 使い方で形になりますね」


*****


セレン村の初夏は、

足りないものをそのままにせず、

混ぜることで活かしていく。


早い味。

未完成の形。


だが、

それは欠けているのではない。


ただ、

まだ一つではないだけだ。


明日もまた、

何かと混ざるだろう。


それで十分だった。

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