閑話 メルのプレゼント3
ポロリを書こうと思ったのですが……
「居りますなぁ」
「ええ、居ますね」
「かかか、確実に居るなぁ」
スレインとメルが目標を確認し、ベガはその旨そうなコカパスを見た。
草むらの影で待機し身をひそめるのは数十人の戦士たちだ。己の武器を確認し昼下がりの――晴天の中で食事をしているコカパスを狙う。
「魚を……食べていますね」
「あれはトカシ魚といい、鋭い牙や爪を溶かす特性を持った魚です。見た目は普通の川魚と変わりませんが、内臓にそういった毒があります」
「なるほど、だから他の生き物たちは襲わないのですね」
溶けた牙や爪はそのまま体を犯す毒へと変わる。
そうでなくても、牙を失った獣に未来が無いのは明白である。
生きるための知恵であるのだが、当然それを克服し天敵となる者が現れるのも自然の摂理で、克服した天敵こそコカパスなのだ。
「それで、メル様。作戦と言ったものはあるのでしょうか?」
「う、うーん。道中で考えが浮かぶかと思ったのですが、予想以上に大きいですし……魔法は効果が薄いんですよね?」
「そうだよ、メルちゃん。だからボクはここで他の魔物が来ないか見張っているよ」
スコットの問いに答えが出せないメル。
頼みの綱であるシフォンも魔法を封じられてはどうしようもない。
勿論、コカパスを殺せるほどの魔法を持っていることは持っているが、本人にやる気が無いのと範囲規模と威力を考えればシフォンに頼ると言う選択肢は無くなる。
まあ、ただ単純にシフォンは褌を付けたくなかったと言う理由もあったのだが。
「所詮は大きな鶏でしょう? 作戦などと言うものは必要ありません」
「ま、待ってください。レオジーナ!」
たかが鶏と侮り、特攻したレオジーナをメルは止めようとした。
しかしメルが止めるよりも先にレオジーナは駆けコカパスと対する。
確かにコカパスは大きな鶏であり、その尻尾がタコのそれであると言う以外に変わったところはない。
だからこそ、レオジーナは無知であったのだ。
タコがいかに恐ろしいものであったのか知らなかったから。
「コケ?」
「その首貰った!」
飛びあがり、大上段から剣を振り下ろす。
煌めいた太陽が銀に光る剣を映し、勝利を確信する。正しく化け物を退治する女騎士の一コマ。
気付いたコカパスであるがその剣を防げるものは何もない。
否、何も無いと思っていた。
ヌル。
「何?!」
コカパスの尻尾が――タコの触手が空中にいるレオジーナを捉える。
タコを知っている者からすれば常識なのだが、レオジーナはタコを知らなかった。
タコの触手は伸縮自在でそれこそ、人が予想していた以上に伸びるものだと。
そしてひとたび吸盤にくっつかれては簡単に引き離すことはできないことも。
「くっ! この程度――きゃ!」
異世界でタコ、触手というのは最早お約束。
加え女騎士が登場すれば言わずとも。
「あぁ……こ、この!……く、すぐった――い!」
鶏、もとい鳥とは獲物を丸飲みして食べるのだ。
いくら像ほどの巨体であってもレオジーナはコカパスにしては大きすぎる獲物だった。
それが食べられるのか食べられないのか。
吟味するためにコカパスはレオジーナを触手で擽るのだ。
「ひゃん」
空中で触手が雌ヒョウのポーズを取らせる。
その間にも触手は粘々とレオジーナに絡みつき、胸を強調させるグラビアチックなポーズ。お腹に巻き付き伸びをさせるようなポーズ色々と。
しばらくその確認が続き、汗と淫らに踊るレオジーナの演奏は終わった。
「ふぅ、ふぅ。くっ! 殺せ!」
「コケコケ」
淫らに髪を乱したレオジーナに触手と卑猥な粘液が絡みつく。
胸と股の間にヌルリとした触手が性的に弄っている。
太陽に照らされ更に煌めき、色を纏うレオジーナに男が見惚れるのは当然だったのだが。
「な、何をしているのですか?! は、速くレオジーナを助けないと!」
冷静を失ったメルはすぐさま駆け出した。
その声で正気に戻った男たちもすぐにメルと共に駆け出したのであったが。
「うわ!」
「ぬうん」
「ぎゃあああ」
逆さ吊りにされる者もいれば、股間を見せびらかすように股を開く者もいる。
そのどれもがハーフエルフの若い男たちなのだが、その姿はまるで――。
割愛しよう。
「あわわわ、皆さんが大変な目に……」
「まあ、こうなるのは当然じゃろうて」
「ど、どうにかできないのですか?!」
切羽詰まり助けを求めるメル。
対してベガは。
「知らぬ」
「え?!」
「メルが撒いた種じゃ。メルが何とかするのが筋じゃろう」
「っ!」
それは部下たちを御しきれなかった責任というものであった。
勝手に特攻したレオジーナが悪いと言えば悪いが、それでも騎士を預けるメルとしては彼女を止められなかった責は重い。
そうでなくても、メルはベガに頼りすぎているのだ。
呆然とするのはメル。
予想外のことで戸惑い思考が停止しているのが分かる。
でも、だからベガはこうも続けた。
「どうにかできるじゃろう? “英雄姫”であれば当然のこと」
「!」
その言葉で今までメルが如何に甘かったのかを悟った。
そうなのである。
メルはただの少女ではなく“英雄姫”なのだ。
今は戦でなくても、普段は日常を謳歌する少女でも、メルは竜を殺し、砦を守った一大の英雄。
忘れていた事実と勇気がメルを強くする。
それは眠りから覚めた竜のように、物語に登場する英雄のように。
平和ボケした黄金の瞳は変わる。
ベガは扇子で笑みを隠し、再び尋ねる。
「もう一度言おう――助けは必要か?」
「いえ、必要ありません。私は“英雄姫”ですから」
「くひひ」
笑うベガを勇ましい瞳で答えるメル。
そこにはさっきまで恥じらっていた乙女の姿は無く。
戦に臨む英雄の姿であった。
だから、女神は最後に口づけをする。
頬に。
チュ。
「それでこそ我らが英雄じゃ」
「ありがとうございます。ベガちゃん」
女神の加護を得た英雄は颯爽と化け物退治に向かった。
思っていたよりもメルが成長していた……。
ポロリも書こうと思っていたのですが、野郎のであったので自重しました。
ごめんなさい。まだ続きます。




