二日目の侵攻
どちらの陣営も賢くかけているでしょうか?
鉄砲とか使ってロンドルを上げていますが、中々難しいです。
夜が明け、二日目の朝を迎える。
憔悴しきるのは昨晩も警戒をし続ける兵士たち。
何時襲撃してくるかも知れない敵を待つのは精神的にも肉体的にも疲労する。
力なく警備する彼らだが、朝日が昇ったのを見て歓喜し、今の生に感謝するのだった。
場所と時間は変わり、ソルムード邸の一室での昼。
「ソリティ、密文の方はどうだ?」
「暗号化したものを昨日の内にしたためました。深夜に送ったので、早くても明日には着く予定です」
カチャリとソリティの分を抜かして五人分の紅茶を置く。
お盆を持ち定位置に立つソリティを皮切りに始まる。
「敵の狙いはやはり兵糧です。今朝水を汲みにいった兵士が殺されているのを発見しましたから」
大きな机を囲む男たちの中で発言したのはヴァルカ。
皆いつ戦闘が起きても大丈夫なように鎧と武器を付けている。
カルマとマチェスを指すのはロンドル。
アガレスの着る鎧がギラリと光る。
「なるほど、納得した。……兵糧攻めの利点は補給路を断てば、例えどんなに強固な城でも落とせると言う点だ。時間はかかるが手堅い一手か……」
「対策としてはこちらから打って出るか、援軍が来るまで待つのみだな」
アガレスはヴァルカの考えに賛同を示し、ロンドルは即座に解決策を提示した。
盤面を見つめ、どうしようか迷うのはロンドル。
が。
「今は動く必要無しか……」
コトリと指したロンドルの手は相手を挟撃する手であった。
対戦相手である唸るカルマとマルカはその真意が分からない。
青色の髪のマルカが尋ねた。
「何故ですか? ロンドル様」
「武器の特性上だよ。私たちが持つ銃は集団であるからこそ威力を発揮する。三段撃ちも隊が崩れれば大した威力がない。どちらかと言えばこの武器は防衛として使った方が良い」
訓練を積めば鉄砲隊として運用することも可能になるだろうが、その訓練時間よりも援軍が来る時間の方がはるかに速いと考えられる。
コロンコロンと駒で遊ぶロンドルはポツリと呟いた。
「……今思えば敵が民を逃がしたのも、このためであったか?」
「どういう意味です?」
「弓と比べ、この銃の利点は訓練時間が圧倒的に短いことがあげられる。そのことを敵が知っているのであれば、民兵を減らすと言う意味で民を逃がした手も納得がいくと言うものよ」
包囲される前に逃げるのはカルマの駒。
ロンドルは足の速い騎馬の駒で追撃する。
この戦争を考えるのはソリティを含めアガレス、ヴァルカ。
マチェスの戦局が徐々に決まりつつあるが――。
「……なるほど、そういう手もあるのか」
「た、大変です!!」
慌ただしく部屋に入るのは連絡兵。
汗をかき無礼に入室する彼を今、咎める者は誰もいない。
「て、敵が森に火を放ちました!!」
撤退するカルマの駒は火計という手を指した。
「くひひ、良く燃えるのぅ」
「うわあ……えげつない……」
遠目でその様子を見るベガとイナバ。
ソルムードに隣接するようにある森は薪拾いのための場所だ。
小川から水を汲みたいのだが、それを邪魔するオリエスタとフランシス。
森とは反対側に流れる川はせき止められ、守られている。
大軍を率いて川を取り戻しても、その間に炎は燃え広がるだろう。
「魔術師が頑張っていますが……」
「無理であろうな。ともあれこれで勘違いをするじゃろう」
「ど、どうするんでしょうかね?」
「どうもせんよ。取りあえず、兵をぶつけよ」
「う、うわ~」
燃え広がる森を眺め、更に進軍を指示するベガに火の粉が漂い笑う。
否が応でもベガの軍を相手しなければならないこの状況は、正しく挟撃と言ってもよい盤面であった。
火の粉が舞う戦場。
それともう一つの戦場は今まさに始まったばかりだ。
「敵部隊が動き出しました!」
「分かった。すぐに向かう」
兵が集まる広場で指揮をするアガレスとロンドル。
マルカが冷氷の魔剣で炎を消そうとするが、無理である。
魔術師たちも必死に水をかけるが――。
「……ロンドル様、私はあなた様の判断に従います」
「わかった。すまないアガレス」
一礼して、すぐに敵兵に向かうアガレスにカルマも遅れながら向かう。
大きな決断をするときが来たのだ。
正々堂々と胸を張るロンドルは敵の策略に感心しながらもこの綱渡りを楽しむ。
ガツンと剣を地面に突き刺した。
「全員に告げる。貯水槽の水を使用し、炎を消せ!!」
「っ! しかし!!」
驚く騎士たちはロンドルの言葉を疑う。
それもそのはずである。
兵糧攻めを受けている最中で水とは最も重要な物資であるからだ。
食糧と違い水は三日飲まなければ死の危険が高まる。
「確かに敵の思惑通りに事が運んでいるだろう。だが、私たちが優先すべきはこの都市の存続だ!!」
力強く意思を決定させるロンドル。
彼の頬に火の粉が舞う。
が、それよりも強い輝きを宿すロンドルの瞳は炎よりも熱かった。
上官の指示であり、それを信じるのは彼ら騎士。
奮い立たせるように応答する。
「「「応!!」」」
鎧を煤が汚すが、彼らのその返答と姿勢に一片の汚れなどなかった。
決意を新たに指示するロンドルに彼らは迅速に答えた。
一刻でも早く、この焔を消し去り東門に向かわなくてはならないのだ。
「押し返せ!!」
東方に位置する正門は現在敵と交戦中だ。
矢の雨がぱらつく天気の中で獅子奮迅する兵士たちであるが。
武装した門番が忌々しく呟く。
「〈スケルトン〉!!運用次第でここまで厄介になるか!!」
その名は最下級に位置する死者だ。
骨の身で貧弱な装備を持つそれであるが如何せん骨の身であるが故、矢が効かない。
頭などの弱点を矢で射抜かない限りそれが活動を止めることは無いだろう。
「打って出ましょうか?!」
「この人数だ。火を消し止めるまで粘るのが俺の案だ……」
「で、ですがこのままでは――」
口論する二人の鼻腔を金髪がくすぐる。その会話する二人の間にフワリと女性が降り彼らを見下ろすのだ。
天使を彷彿とさせる美貌と握るのは乙女の御旗。
空白の背景で男たちはゴクリと唾をのみ、その金髪と青い瞳に見つめられる彼らは次の瞬間。
肉塊に代わる。
門の上、回廊にて敵を迎撃するその場所で仁王立つ。
「参戦しますは、〈御旗の乙女 ジャンヌ〉。この門は私たちの物とします」
宣誓した〈ジャンヌ〉に剣を抜き、殺害しようと兵士たちは向かう。
それに対してジャンヌは一瞥しまた、適当に旗を振る。
それだけで物も言えない死体が幾つも生まれた。
戦場に漂う匂いは二つ。森が焼ける匂いと人が死んだ鉄の匂い。
どちらも熱い風に漂い不快感を残す。
たじろぐ男は未だ矢が振る戦場で冷や汗をかいた。
どうすればいい、何をすればいい。そんな自問自答で時間を潰す男の前に兎耳の少女は現れる。
偶然に目が合う。
長く沈黙し目が合う。
「な、何だお前は?!」
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
長く響く絶叫の下からムクリと〈赤竜〉が頭を出す。
唖然と茫然とする男はここが城壁であると言うことを頭の片隅に残しながら、ホバリングする竜を見ることしかできない。
無慈悲に振り下ろされる竜の腕は城壁を削り、男の四肢をバラバラにした。
蒼くその死体を見るのはイナバで、つまらなさそうにするのはフンスと鼻息を吐く〈赤竜〉であった。
戦闘描写が多いので、かっこよく書けたらと思います。
ベガに関してはらしくかけていると思います。




