不死鳥の如き
3人はゆっくりと地面に落ちていく。なにが起こったのかさえわからずに。
『何が起こった?』
『あんぐらい避けろ。バカか?』
『まだまだ未熟だな。ガキども』
どこから聞こえているのかわからない声。聞き覚えのある声。励ますわけでもなく、嘲笑うわけでもなく、その言葉はそこにあった。
「嫌な気配だな。……いい加減出てこいよ!」
3人が倒れた瞬間。金色の光が3人を庇うように現れた。
「まったく、不死身なの? それともまた復活したの? 誰かを代償としてさ」
『嫌味な言葉だね。ボクは常にここにいたし、いつでもここにいる。それを感知できなかったのはお前だろ?』
「はっ! 今更出てきてもオレ様を倒せるやつはもう戦えない。それでも強気でいられるのかい?」
『たしかにそんなもの無かったことなんてできないけれどね。少なからず、あんたを倒すことができるよ』
彼女が両手を広げる。すると膨大な魔力がその場を埋め尽くす。
その魔力はどんどん可視化され、天使のような翼にかわる。
「今更……なにを、」
笑いが消えた。その力は彼を封印した力なのだから。
『ボクとまた一緒にいこうか』
「ふざけるな! 2度と同じ手は喰らわん!」
『どうだろうか。ボクはできると信じてるけどね』
「クソ野郎!」
カンナは彼女を黒く消し飛ばす。一瞬の出来事に、
『彼は勝利を感じることもなく、ただただ焦るのだ』
「どこにいやがる!!」
声のする方へ顔を向ける。しかし、魔力も足音も気配も声も全てが別々の場所から聞こえてくる。
「出てこい!」
虱潰しに探せどどこにもいない。
「卑怯者!!」
カンナは力を溜め、一気に解き放つ。その爆風さえなにも捕えなかった。
『本当に何も無いように、本当に誰もいないように、ボクは君を倒す』
その金色は、彼の目の前にいた。
『終わりだよ』
「終わりだよ」
漆黒の剣は彼女の心臓を貫いた。
「2度目はない! この! わたしに!!」
金色の力が散っていく。彼女の実体も、すすが風で飛んでいく様に消えて行く。
「これで!! 勝ちだ!!」
『そうだ』
『それがお前らの』
『本当の力よ』
金色の光。さっき消し去ったはずのその力が、3体に増えていた。
「ふ、ふざけるな!」
『さぁ、オレらの本気、見せてやろうぜ』
『何言ってるのよ。彼らのでしょ』
『そうだ。図に乗るんじゃない』
燃え上がる炎が七色に輝く。不死鳥の如きその姿は紅蓮の太刀をかまえる。
絶対零度の鱗はオーロラに光り、朱鷺のような姿に氷爪の槍を持つ。
黒き雷雲を電光石火に動き回る。その姿確認できるや獅子の如き雷獣が巨斧を担ぐ。
「……なんだこれ?」
「究極進化的な?」
「デジタル世界じゃないっつうの」
「これなら負ける気がしねぇぜ!」
槇、かおり、康貴。
今までとは比べ物にならない力が3人の手の中にあった。
『さぁ、これで最期だよ』
金色の光が3人の背中を押した。
『君たちなら倒せる』
炎は飛び上がり、氷は歌い、雷は彼をねじ伏せた。
「終わりにしてやるよ!!」




