死
刃を折るだけならまだしも、その反動がその場の全てを吹き飛ばす。
かおりは勢いに負け足が地面から離れると、その背には奈落の底がある。手を伸ばして誰かに助けを求めるが、奈落の底の手引きが強すぎて視界がすぐに暗くなった。
────死ぬ────
そう思ったもの刹那のことに過ぎなかった。
灼熱の翼が辺りを灯すせばそれが誰だかわかった。
「あのバカヤロウ。やりすぎだっつうの」
深くため息を吐く槇に、嬉しそうにうなづくかおり。
2人は急いで元の場所に戻った。
雷獣。そう呼ぶに相応しい蒼雷を纏った者が、漆黒を強める兵者を睨みつけていた。
「良くもやってくれたね。怒っちゃったよ」
カンナは再び湾曲する剣を創り上げ、雷獣に矛先を向けた。
「消えろ」
『よけて!!』
康貴のいたその場所が黒く爆発したと思えば、その場所からなにも無くなる。
その瞬間を目の当たりにしたかおりは恐怖に駆られた。
「なに……あれ……」
「…………小さなビッグバンって所か……?」
間一髪避けた康貴は地面に足をつけると、次々襲い来る黒い爆発を避けながら近づいていく。
「援護しよう」
「うん」
かおりをその場におろし、上空から康貴を追いかけていく。
かおりは直ぐに歌い出し、力を溜める。
カンナが剣を投げ上げる。
その直後に康貴の強烈な一撃をその漆黒にで受け止め、投げた剣に目を向けた。
落ち始めるそれは康貴を捕らえまっすぐ落ちていく。それを容易に避けようとした。
「まったく、腕っ節はいいけど、オツムがね……」
「……!!?」
足に巻き付く闇が愛憎に離さず、康貴は身動きとれない。
なんとか逃げようと滅茶苦茶に動くが、むしろきつく締め付けられていく。
「あらぁ、みっともないわよぉ。死ぬ時は潔く死ななきゃ」
湾曲した剣から、強力な魔力の上昇を感じたかおりは咄嗟に銃でその剣を弾こうとする。
「そんなことさせないよ」
ぬっと目の前に現れたカンナ。
あまりに気配がなかったためトリガーを引いてしまった。狙いなんか定まっていないのに。
その蜃気楼をすり抜け放たれた先は剣のすぐ横。
「ざーんねーん」
嫌味の効いた言葉を置いて消えていった。
次の瞬間には康貴いた場所が抉り取られていた。
『こればっかりは厳しいかと思ったよ』
「ホントに、危なっかしい」
かおりの側に降り立ったのは火の鳥と彼に鷲掴みされている雷獣だった。
「死ぬかと思った」
「死んだかと思ったわよ、バカ」
かおりはため息を吐くと、この空間を埋め尽くす冷気が一挙に集まる。
それが氷の鳥を装うと、全て揃った。
「やっと溜められた」
「遅いっつうの」
「どっかの熱いやつのせいね」
「オレかよ!」
3人はその瞳を金色に輝かせる。目の前の闇を切り開かんとばかりに。
その瞳を見てニヒルに笑うその男は、正真正銘の魔王だった。
「さぁ、始めようか」
『避け……』
3人はその鎧ごと真っ二つに切り裂かれる。




