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華甲二年の再会  作者: 有嶺 哲史
第二章 秋から冬
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第21話 その日の報告

 検査日の夕方、再び布沢副院長室でリーダーであるオジキの部下の中年の男が皆を集めて話を聞いていた。

比良野、高岡の監視をした者からは特に不審な動きはなく、何もなかったと報告された。

弓美子の監視者は弓美子が電話番号を書いたメモを比良野に渡したと言った。


 美矢子が病院に来てリーダーの男に挨拶してから少女が美矢子を尾行し始めた。

その報告で、少女は主語を省略してしゃべった。


「検査室の隣でねえ、なんか機械があってねえ、それからパンツ脱いでねえ……」


おっぱいナースが思わず口を挟んだ。


「あなた私を見てたんじゃない? 部屋を間違えたのじゃない?」


少女はうつむいて真っ赤になった。

少女の眼に有嶺の、生まれて初めて見るおぞましい形をしたアレがちらついていた。

これ以上何も言えなくなった。

美矢子が誰か男といたことは結局言わなかった。

同時におっぱいナースも自分の発言の意味するところに気付いて赤面していた。

周りの皆はナースの言う通り少女が監視する部屋を間違った可能性も十分あると解釈した。

 篤子を監視した古いナースは、比良野が弓美子と別れた後篤子が比良野の部屋に入り話し合って明日にでも二人そろって小料理屋に行くことを決めた、と言った。

篤子が調子に乗って部屋を出る時急にバンとドアを開けたので、そこに隠れていたナースはドアと壁の間に挟まれ鼻をしたたかに打たれた。

赤鼻ナースというあだ名が付いたのはこのときからである。

篤子への憎しみが燃え上がった。

 おっぱいナースは比良野を失神させ弓美子が秘術を掛け、再び目を覚ました比良野が普通に処置を終え、そのあと自分は空いているベッドに入って胸を開いて乳房を見せて、と言ってまた泣き出したナースは結末まで言わなかった。

ナースは中途半端な体の興奮が収まらずどんどんいらいらしてきた。

困ったリーダーの男はそれ以上聞かなかった。

おっぱいナースというあだ名がついたのはこのときからである。

二人のナースのあだ名は後に仲間以外にも通じるようになっていった。

 皆の報告をすべて聞いてリーダーの男は、作戦は順調だと思った。

病院では飲めないはずの酒を隠し扉から取り出して皆にふるまった。

男が病院に来たとき真っ先にやったのがこの隠し扉を作ることだった。

リーダーの男は記録された彼らの録画媒体を手に持った。

これからボスの所で行う編集で比良野を窮地に落とし込める決定的映像ができる。

リーダーの男はニヤッとし、酒をぐいっと飲んだ。

 だれも気づかなかった、チャチで不鮮明な病院カメラの致命的危険性に咄嗟(とっさ)に気づいた自分が誇らしかった。

ふと頭に浮かんだのは、別の部屋で録画しようとした者は何者だろう。

盗撮か? そうだろう。

スコープを隠したので驚いただろう。

他に自分達の企みを知っている奴などいるはずがない。

わざわざ姐みたいな老女を狙ってもしょうがないのに。

また酒をぐいっと飲むともう考えなかった。


 動画の編集は翌日から始まったが美矢子はその作業チームから排除されていた。

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