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さよなら、オリーブビーチ  作者: 花守郁
第四章:旅立ちの汽笛
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08.

入試当日。受験会場には迷わず到着できた。航にナビの使い方と地理を習っておいてよかったと、心底感謝する。道に迷っていたら、もうそれで心に余裕はなかったと思うくらい、緊張していた。

 昇降口すぐで受付をしたあと、案内された教室は1階にあった。通常は一年生が使用している教室だそうだった。つまり、入学したらここが自分の教室になるかもしれない。そう思うと、わくわくした気持ちになる。

 ガラスのむこうには、小さな中庭が広がっていた。花が咲いている。よく見ると、食用も可能な花ではないだろうかと気づく。

 さすが食品関係の学科がある学校、と感動した。自分たちで材料を育てているのかもしれない。なんて、楽しそうなんだ。

 この学び舎で過ごす自分を想像する。絶対に、この上なく楽しい三年間になると確認した。


 着席し、受験票や筆記用具をカバンから取り出す。先に来ていた人たちは、問題集や参考書を手に静かに自習している。ぴりぴりとした緊張感が教室のなかに漂っていて、つられて緊張してくる。先ほどまでの高揚感は落ち着いて、姿勢を正すような、そんな集中力が湧いてくる。

 大丈夫。そう自分に言い聞かせた。特進が推薦で決まっている航に勉強を教えてもらってきたんだ、筆記は問題ないはず、と。水斗のおかげで、何回も同じ問題を繰り返して解くこともあったし、反復もかなりこなした、と。

 二人と過ごした日々が、自信になって、現れていた。


 入試は、つつがなく終わった、と言えないかなと思う。

 筆記は途中、緊張で右手が震え出すハプニングがあった。頭の中が真っ白になり、涙がこぼれそうになったが、左手でしっかりと支え、深呼吸すると落ち着いた。解答欄が白紙のまま、時間を無駄に過ごしてしまった科目もあったが、なんとか自分の言葉で埋めていけたと思う。

 筆記のあとに面接というスケジュールだったが、かなり早い順番だったおかげで、中だるみせずに集中した状態のままで、本番に臨めた。三つほど質問され、うち一つは食品業界についてだった。前日に姉から聞いていた話題を出せたのは、本当に幸運だったと思う。面接官たちの反応も良かった気がする、どこまで本当かは分からないけれど。

 いまはただ、出来ることはやったという、開放感に満ちていた。一抹の不安は残るけれど、あとは人事を尽くして天命を待つのみだった。

「水斗…待ってるだろうなぁ」

 これから帰る先に、思いを馳せた。航を見送って、かなり泣いたんじゃないだろうかと邪推する。慰めてほしくて、待たれている気がした。早く帰ってあげなければ。

 入試が終わった今、これからはできるだけ、彼らとの時間を大切にしたいと思っていた。

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